エルミタージュのネコたちは、案外たくさんのご飯をもらえている。新入りは別として、長くここにいるもので、痩せこけているネコはいない。
ところで、ロシア人家庭に夕食にお呼ばれになると、物凄いたくさんの料理でもてなされることが多い。小柄な日本人の私にはとても食べきれない。というか、ツライ。美味なるものをほどほどに出していただければ、美味しくいただけるというのに・・・
「お食べ!さあ、お食べ!遠慮は要らないよ!」という具合に張り切って出してくる。食べないと、遠慮していると思われるのだ。もちろん、遠慮などしていない。「もう食べられない、これ以上は食べたくない」とはっきり意思表示することのほうがためらわれる。日本であれば「いやぁ、もうお腹一杯!美味しかったです~」といえば、ホスト側もピピンと察して、「じゃあ、お茶でもいかが?」となり、お茶をいただいて、少し歓談をしたら、そろそろおいとまして家路につく決まりになっている。
ロシアはそこから、さらに砂糖使いすぎの大きいケーキまたは、アイスクリームが出てくる。大体、レストランで食後のデザートにバニラアイスを注文すると、3玉は皿に乗っている。日本なら、口直しにさわやかなレモンのシャーベットでも出てくるところだろう。どうして、もう食べ切れなくてふーふー言っている人に、大盛りのアイスクリームを出してくるのか・・・
さっき、ニュース番組を見ていたら、ちょうど世界各国の正月料理(ホームパーティ)に使う国別平均金額が発表されていた。1位はアイルランド、5位にロシアが入っている。どうやら、アメリカや日本はロシアよりもずっとかけるお金が少ないようである。国が崩壊しようと、経済危機だろうが、どこからともなくご馳走やウオッカが出てくるのは、この国のお家芸なのかもしれない。いやいや、茶化すだけでは悪い。実際、ロシアの人々は、ソ連時代から、お客を自宅に招いてご馳走することが好きな国民として有名なのである。レストランよりも、少しずつ食べ物を持ち寄って、ホームパーティを開く。温かいボルシチ、お祝い用のオリビエサラダ、黒パンにイクラ、スモークサーモン、自家製のピクルス。シャンパンを景気良く開けて、ワイン、ウオッカと続き、そして歌が始まる。
今日は31日。街のあちこちでそんな光景が見られるだろう。
良いお年を!