平和の為に何をやれるか、愚行積善備忘録、園田幸二のブログ

人間『死ぬまでの暇潰し』と思ってみても、日本人として、日本文化を愛し、歴史伝統を護りたい。日本の安寧祈願。旅

原子力規制委員会へ意見を

2016-01-12 22:16:18 | 悪人の所業
日本のイノベーションを衰退させる
原子力規制委員会!

産経新聞・桜井よし子
『美しく勁い国』から、
抜粋

原子力規制委員会の不合理な審査で日本が誇る世界最先端の研究が停止に追い込まれている。

年間数十人規模で助けることのできる命が、

2年間も犠牲にされ続ける許し難い事態が発生している。

 京都大学原子炉実験所は原子炉による実験および関連研究の拠点として昭和38年に開設された。

以来、ここを舞台に全国の大学研究者が最先端の研究を進めてきた。

2つの原子炉をはじめ各種加速器施設、

大強度ガンマ線照射装置などを備える日本最大規模の統合的核エネルギー・放射線関連教育・実験施設である。

 世界が注目する京大の研究の核は中性子を使った基礎研究だ。

それが規制委の壁の前で完全に中止された状態が続いているのである。

 中性子は物質の構造を比類なく正確に探るのに欠かせない。

惑星探査機はやぶさが持ち帰った

小惑星イトカワのサンプルの微量な元素の成分も中性子を当てることで分析できた。

京大が中性子を活用して行う研究のひとつが

ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)という癌治療である。

1990年以降、

京大のBNCTの臨床研究は500例以上、

症例数および適用範囲の広さで世界最高水準にある。

原子炉実験所・原子力基礎工学研究部門の宇根崎博信教授は、

京大が社会貢献として最重視するのが癌治療のBNCTで、

京大は研究の傍ら週1日をBNCT治療に割き、

近年は年間40人から50人を救ってきたと指摘する。

BNCTの治療では、特殊なホウ素を含んだ薬剤を投与し、

癌細胞が薬剤を取り込んだタイミングで中性子を当てる。

するとホウ素が中性子を吸収して2つにパンと割れ、

その際の放射線で癌細胞が死滅する。

小さな爆竹を癌細胞に送り込むイメージだ。

 BNCTは癌の患部と正常組織がまじり合っている悪性度の強い癌にも有効で従来困難だった治療を可能にした。

進化を遂げたBNCTの適用範囲は、

当初の脳腫瘍と皮膚癌の黒色肉腫から舌癌、口腔癌、耳下腺癌、肺癌、肝癌に広がり、

いまや癌克服の決め手として期待されている。

 治療の成功には、

原子炉を運転して作る中性子を安全に扱う原子力工学、

ホウ素を含む薬剤を開発する薬学、

放射線治療専門の医学の、3チームによる高度の連携が欠かせない。

それが全てそろっているのは世界でも京大原子炉実験所だけだ。

ところが、

このBNCT治療が中性子を用いた基礎研究とともに規制委に止められているのである。

規制委が2013年に商業発電用原発の規制を、
強化した厳しい新基準を打ち出し、



実験・研究用原子炉にも適用したからだ。

京大の原子炉は出力5000キロワットと100ワット、

近畿大のそれは出力わずか1ワット、

関西電力大飯原発1基の約30億分の1、

豆電球だ。これは空気で十分冷却される。

にもかかわらず、

規制委は大規模商業用発電原子炉と同じ基準をこの研究用小規模炉に当てはめる。

地震、津波、竜巻、テロ、航空機、火災、活断層など全てを網羅した厳しい対処と、

数万から40万ページ(九州電力の川内原発)にも上る膨大な量の書類作成を求める。

 京大の宇根崎氏ら教授・研究者は過去2年間、

規制委対応に追われ、書類作りがメーンの仕事となり、

本来の研究の遅延遅滞が続いている。

 なぜこんなことになるのか。

規制委の役割は、現場を一番よく知っている事業者と対話し、

原発および原子力利用施設の安全性を高め命を守ることだ。

だが、強大な権限を与えられた3条機関としての独立性を、

事業者とは意見交換しないとでも言うかのような孤立と混同しているのではないか。

規制委は現場の実情を無視した見当外れの審査に走り、

人命を脅かす結果を招いているのである。

 原子炉施設の安全確保が万人共有の目標であるのは論をまたない。

しかし現場に十分耳を傾けない規制委は非現実的なまでに厳しい要求をするだけでなく、

具体策になればなるほど彼らの基準は揺らぐのである。



たとえば放射線に関して十分な安全性を要求するのはもっともだが、

何をもって十分とするのか、

工学的要素やリスクをどう評価するのか、

その基準は曖昧である。

京大は核燃料物質関連の施設改造で補正申請を4回、繰り返させられた。

宇根崎氏が「生みの苦しみ」と表現した同プロセスは、

最終審査までに1年半かかったが、

生みの苦しみの主因は規制委の基準が定まっていなかったことにある。

 審査に臨むに当たって、

規制委は本来、最初に明確な基準を示すべきだ。

だが、現実はそうではない。

これまでの取材で審査のたびに規制委が新しい要求を出す事例は幾つも見てきた。

規制委は実習しながら規制について学んでいるのかと問いたくなる。彼らが原子力研究を左右し、

放射線医療の進展までも止めている現状は、
日本のみならず人類にとっての不幸である。

 癌治療だけではない。
研究も教育も停滞中だ。
大学の研究用原子炉の運転停止で学生たちが学べなくなり、

近畿大学は窮余の策として彼らを韓国水原に送り、

慶煕大学の試験研究炉で学ばせている。

かつて日本は慶煕大学をはじめソウル国立大学など韓国6大学の精鋭学生約20人を毎年京大原子炉実験所に迎え、
教えていた。

現在の逆転を、
宇根崎氏ならずとも「情けない」と思うのは当然であろう。

あらゆる研究分野で先駆者としての地位を守り続けることが国益であり、
日本人の幸せである。
政府は規制委の的外れな規制を正し、
彼らが正しく機能するように、

専門家会議を設置し、
医療や研究が完全ストップのわなから解き放たれるように、

国会の監視機能を強めなければならない。

原子力規制委員会への意見を!

原子力規制委員会HPの意見ページ

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