見えざる声

感じたこと・思ったこと・追想、思うままに書きなぐった文章の
羅列を目指し・・。

浅田ワールドを描けなかった映画「ラブレター」

2007年04月10日 | 映画
浅田次郎の短編は、文字を殺ぎ落とし、そのくせその言葉の裏にある
深い思いを、行間から匂わせる見事な手法で、物語をきっちりまとめ
読後感を清清しい気持ちにさせる。
だけに映像化される作品が多いし、「鉄道員」「壬生義士伝」は映画
としてもなかなか良かったと思うが、ことこの「ラブレター」に話題
を戻せば、いかんとも主役の真面目さに、キャラクター的無理があり、
小説の醍醐味は失われている。
しかしやはり、ここでも「手紙」の古典的表現方法は、前後を無視して
見れば、手紙を書いた白蘭の心情に同情心が沸き、浅田ワールドの凄さ
を見られる。中国といえば思い浮かぶ「初恋の来た道」に似た普遍の恋
心が、手紙に凝縮している。
もっとも浅田が考える女は、すべからく理想であり、実際中国女でこん
な日本的情緒を持っているかは、甚だ疑問である。
そして手紙で思い出すのは、やはり岡林信康の歌だ。
メロディも良く、また詩も岡林らしさが溢れていて、しんみりさせられる。


http://www.youtube.com/watch?v=A1RTbWoJ8wg&mode=related&search=

勿論岡林はただのラブレターを歌にしたわけでなく、「差別」をさりげなく
それでいて心に突き刺さる「手紙」という手法で歌っている。
この画像は、実際は「加川良」を探していて偶然に見つけたもの。
なぎら健一がフォーク・シンガーだったのを知らない人にとって違和感がある
かも知れないが、私などリアルタイムで聞いた年寄りには、とても懐かしい。
デュエットしているのは「アルフィ」のめがねである。
「手紙」という古典的手法は、今現在でも「恋愛もの」には必須アイテムだが
この二つみたいな心情を、現在の人々が吐露できるだろうか・・・。



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