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貝原益軒の養生訓―総論下―解説 045 (修正版)

2016-01-26 23:44:57 | 貝原益軒の養生訓 (修正版)
(原文)

聖人やゝもすれば楽をとき玉ふ。わが愚を以て聖心おしはかりがたしといへども、楽しみは是人のむまれ付たる天地の生理なり。楽しまずして天地の道理にそむくべからず。つねに道を以て欲を制して楽を失なふべからず。楽を失なはざるは養生の本也。

長生の術は食色の慾をすくなくし、心気を和平にし、事に臨んで常に畏慎あれば、物にやぶられず、血気おのづから調ひて、自然に病なし。かくの如くなれば長生す。是長生の術也。此術を信じ用ひば、此術の貴とぶべき事、あたかも万金を得たるよりも重かるべし。

万の事十分に満て、其上にくはへがたきは、うれひの本なり。古人の曰、酒は微酔にのみ、花は半開に見る。此言むべなるかな。酒十分にのめばやぶらる。少のんで不足なるは、楽みて後のうれひなし。花十分に開けば、盛過て精神なく、やがてちりやすし。花のいまだひらかざるが盛なりと、と古人いへり。

 (解説)

 聖人の説いた「楽」には大きく分けて二つの意味があります。一つは音楽(music)であり、もう一つは楽しみ(pleasure)です。ここでは益軒は後者を取り上げていますが、前者の意味もあることを知っておきましょう。そしてこの二つの「楽」は相即不離のものであり、これは政治や礼儀、道徳などにとって非常に大切なものでありました。詳しくは『荀子』楽論にありますが、長いので割愛します。

ここでの「古人」とは明代の思想家、洪自誠のことであり、彼は『菜根譚』でこう述べています。

花は半開を看、酒は微酔に飲む。此の中に大いに佳趣有り。若し爛漫もう(酉+毛)とう(酉+匋)に至らば、便ち悪境を成す。盈満を履む者、宜しく之を思うべし。

 これらは、「貝原益軒の養生訓」の中で何度も繰り返されてきましたね。

(ムガク)



(これは2011.3.16から2013.5.18までのブログの修正版です。文字化けなどまだおかしな箇所がありましたらお教えください)


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