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農ある暮らしの中で

片田舎で過ごす 静かな農ある暮らしを色々な思いをこめながら日々綴っていきたいと思います。

雨の森を歩く

2012年09月09日 | 山登り

  


 雨の降りしきる中 匹見の森に入った。
靄のかかった薄暗く深閑とした森もまた幻想的で魅力がある。
成熟した広葉樹の森の中は まるで森の精たちが住んでいるのではないだろうかと思うような錯覚をうける。
笹を漕ぎながら 森の中へ吸い込まれていくような感覚に捉われ 酔いしれていく。
みなさんが 地図で確認される間 疲れた身体を休めながら呼吸を整え 森の空気に浸りきる。

 久しぶりの登山だった。
雨足が強くなる中、カッパに着替え山に入った。
カッパを着ながら 気持に気合を入れた。
どんな試練が待っているのかドキドキが治まらない。

 沢沿いの林道を歩く間 ぼっちさんがこのあたりの歴史を語って下さる。
川沿いにひっそりと建つ神社 沢の岩の窪みの云われ 山に入り住み着いていたであろう木地師。
こんな山の奥深くにまでも歴史は生き続けている。
こうした歴史を古文書や文献などで確かめながら辿る登山もまた味わい深い。
登山にも 登る人によって色々な楽しみ方があるものである、

 雨に濡れるガクガク岩 まわりの樹木を見上げながら 
ずっと昔から鎮座し変わらずあり続ける自然の姿に
ただただ圧倒されるようで改めて 跪かずにはおれない。
 イワタバコ 天人草 ひなのうすつぼ あの牧野富太郎が新しく命名したという大和草
野草の名前を尋ね 花や葉っぱの様子をじっくりと眺めるのも楽しく 疲れを忘れさせてくれるようだ。 

   

 ガクガク尾根から 西のヨケ岩
ああ これが何度も聞いたあの 西のヨケ岩かあ
岩の上に立ち 眼前に広がる小五郎山の雄姿を想像した。
今日は ガスがかかり見ることが出来なかった。

 
 それにしても 私ときたら なんと軟弱者であろうか・・・。
力がだんだんと尽きてきて へとへとになっていく自分が情けなくなった。
こんなことでは ご一緒する資格はないなあと思った。
どうしても 遅れ気味になり歩かれるリズムをくるわせてしまい迷惑をかけてしまうので
もうこれで終わりにしようと思った。


 
   


弟見山

2012年04月05日 | 山登り

  「母さん、頑張りいよ てっぺんに着いたらおいしいうどんが食べれるんじゃけえ。」
 と 何度も疲れたお母さんを励ましている○くん。
 小学四年生になる○君は 山へ登るたびにその姿が少しずつ逞しくなり また母親への気遣いや優しさがあったかくって
 傍で見ていて微笑ましい。

                                  
  
  4月1日日曜日 モンチさん家族と弟見山へ登った。
 「ねえ 父さん なんで人は生まれてきたんかねえ 死んだらどこへ行くんじゃろうか。」
 と、それまで
 「俺は 塩焼きそば~塩焼きそば~」
と、今日のお昼ご飯を楽しみに連呼していた○君が急に哲学的な疑問を投げかける。
 「ブータンという国ではねえ 人はまた生まれ変わるということが信仰の中あるから 死ぬことにたいしては怖くないんよ。」
 「ふ~ん。」 
 
 「ねえ、聞こえる?あの鳥ねえ いつも山へ登ると鳴いているよ ツーツーピー ツーツーピーっておばちゃんには聞こえるよ。
  見えるかなあ?」
 と言って私が指差す。
 立ち止まり見上げた樹木の上高く 野鳥が見える。
 「あっ、あそこにいるよ。二羽いるよ。」
 「かわいいねえ~。」
 しばらく 足を止め、野鳥の動きを観察する。

  ああ、こんな時代もあったよなあ~
と、モンチさん家族の温かい家族のやり取りを見ながら この時期が一番よかったかもしれないなあ・・・と過ぎてしまった子育てを懐かしむ。

 自然観察をしたり 色々な会話をしながらの本当に楽しい山歩きだった。

                                              

白滝山

2012年02月12日 | 山登り


  なんとなく、ちょっぴり 気分が沈んでいて 一言書いては次の言葉が続かず・・・
 結局 一週間も書かずじまいで ああダメだダメだ(*^_^*)
 
 とっても山に 登りたくって登りたくって仕方なく悶々とした日々を送っていた。

 
 
  さあ~ 今日は 登ってきました。
寿限無さんと モンチさんと 白滝山へ、 GO!
駐車スペースには 続々と車がやってくる。
この季節 みんなゴルジュの氷柱を目当てに来られるのかなあ。

 私は 白滝山は 二度目なのだが 前回は全く凍っていなくて残念だったが、今日は違った。
ゴルジュに入ると氷柱が見え始め 滝の周りの氷柱はそれは見事だった。
寿限無さんが
「お~う、こりゃあ すごい ええぞ~」
と 言われながら 何度もシャッターを切られている。

 その様子を見ながら、私は

 自然が作り出すなんとも言えず美しい造形、
光の加減で反射する綺麗な氷柱、滝から流れ落ちる水音 
そして、 時折 木々からパサッと落ちる雪音を聞きながら、自分の身体の中の細胞がなんだかピチピチと音を立てて弾けていくような感じがした。
 いつもの事だけど ああ気持がいい。 
やっぱり山はいいなあ~ 
自然の中に入ると、こんなにも気持が晴れやかになれる。


 時々、寿限無さんが立ち止まり谷と谷がぶつかり合うポイントをジーピーエスと 地図を見ながら
「ここですよ、わかりますか。」
と、教えてくださる。
周りの地形を歩きながら見ていると 生き物としての感覚が呼び覚まされていくようでもある。
 こうして、自分の立ち位置を確認する作業は 大地に立ってるっていう事を改めて感じることが出来るのだ。


 よ~し 明日からまた 頑張るぞ~! 

虎ヶ岳

2012年01月07日 | 山登り


   今日は さくらさんと虎ヶ岳に登った。
 

 地元の方々が整備された登山道には 新しいきれいな立派な木板の案内板が据えられていた。
 頂上の眺望もよく 人気の山だ。
 
 これが今年の山の初登りだ。

 女二人 色々な話をしながら ゆっくりと足を進めた。
乾いた落ち葉の上を歩くサクサクする音が心地がいい。
頭上では山に入るといつもの聞くあの野鳥がかわいい声でさえずっている。
登りながら 少しずつ少しずつ気持が満たされていく。
 
 山の空気はいい。

「ストちゃんは元気にしてるかね~」
「一緒に登ったよね~」
登りながらストちゃんを思い出した。

 人生の先輩でもある さくらさんからは 教わることも多く 
 時には 胸の内にある苦しいところを 聞いてもらったり
 話されることに うん、ああそうだな~と頷くことも多い。

  頂上には地元の方が数名登られていた。

眼下には島田川 キラキラと輝く光の海 その向こうに広がる国東半島
しばらく ずっと眺めていた。


  さくらさんは 少し風邪気味 腰の調子も悪いのにご一緒してくださった。
ありがとう、さくらさん。

帰りは大岩コース
京都嵯峨野を思わせるような美しい竹林が広がっていた。


さくらさんのお宅に寄って かわいいワンちゃんを見せてもらった。
さくらさんの後を ずっと追いかけまわるワンちゃんがかわいかった。

  ワンちゃんと さくらさん・・・・とっても微笑ましくって絵になりました。

広高山

2011年11月26日 | 山登り
 

 8時10分出発ー9時20分山葵田林道終点(休憩)-10時ヨケ岩のエキー10時50分尾根ー10時55分寂地山山頂(休憩)-11時半(ボーギのキビレ)-11時40分(昼食)-12時10分出発ー13時30分1056ピークー14時30分尾根(休憩)-15時20分(駐車場)
 
   

心臓がドキドキしながら 集合場所に集まられるみなさんを見て ますます鼓動が高鳴る。
「うわあ 私大丈夫かなあ・・・」
  こんな プロフエッショナルな方々の中に私のような弱輩者が加わるなんてもっての外なんだけど・・・

 「お前 迷うぐらいじゃったら行ったら。」
と 夫の後押しもあり
 意を決して お誘いくださったヤブ山さんにお返事をした。


  みなさんについて行くのが必死で気持にゆとりなど全くなかったけれど 洗い呼吸の中、時々ふっと見上げた時の 
深閑とした深い森や谷は 言葉では言い尽くせないものだった。


     「これは、しそ科の植物ですが 霜柱が立っているのですよ」
と ぼっちさん。
「根っこから水分を吸い上げていることによって こうして霜柱がたつのです。しっかりと 根っこは生きているのです。」
「へえ~そうなんですか」
いままでも きっと山では見かけていたのだろうけれど なんか 昆虫の卵の泡くらいにしか思っておらず 見過ごし通り過ぎてしまっている。 知らないって 恥ずかしい。
 こうして林道を歩きながらも ぼっちさんは ルリビタキやカッコウの托卵の話など自然観察をされた色々な興味深い話をしてくださる。
 ぼっちさんは冒険家とお呼びしてもいいくらい 海底 地底 そして未踏の山々を精力的に単独行をされている。

 
 林道途中
「あ、ここから 寿限無さんと入ったな」
と思い出した。
 山葵田のその後を目の当たりにして さあいよいよ突撃開始。

「よ~しっ。」
と 自分の中で気合を入れる。
 ところが 入ってしばらく 沢を渡るとき飛び越せないで まごまごしていたら クマ対策部長のiさんが手を差し伸べて下さる。
iさんの腕を思いっきり つかんでピョンと飛び越えた私・・・
「すみません」
しょっぱなから こんな事では これから先どんな ご迷惑をおかけしてしまうことか・・・ああ いけないいけない 頑張らなきゃ!

 ルート確認されながら ぼっちさんがどんどん先を登られ その後をヤブ山さん 
そして突撃隊隊長さんが 続かれる。
私が 這いずるようにして登っていると
「登るときは つま先を蹴るようにして足場を確保したらいいですよ。」
と 登り方を教えて下さる。
「はい、わかりました。」    

「這いつくばって~♪ 這いつくばって~♪」
と時々 歌を口ずさんでくださったり
「ほうほう、出ました。これが○○ですね~」 
と ヤブ山さんとのやりとりが 可笑しくって なんだか気持がとっても楽になる。
突撃隊の三人のバランスが良くって 息もピッタリ合っていて ああこうして山に入られるんだなあ・・・と思った。

「休憩しましょう」
ぼっちさんが 声をかけられる。     

あと もうひと踏ん張りで尾根に出られそう
昨日の冷え込みで 山は うっすらと雪に覆われている。
この雪が 冬の山の静けさをより一層感じさせてくれる。

 それから頑張ってやっとこさの思いで 尾根に出た。
「これで 前半戦終了です。」
とぼっちさん。
「はい、わかりました。」

 うわあ 後半戦はどんな苦行が待ち受けているんだろう・・・心の中は不安でいっぱいになった。

休憩ごとに 一服されるぼっちさんやヤブ山さんの煙草の煙を 私もそっと吸い込んでみた。   
すると、す~っと疲れまでを吸い取ってくれる気がする。


  昼食を終え 広高山へ
途中 ブナの木の上高く クマ棚を発見
「こんな 高いところまでクマさん よく上がるねえ~」
とヤブ山さん。
私は クマ棚を見たのは 初めて。
こんな 高い所で木をへし折って集めて坐る場所を確保し餌を食べるのかあと 感心した。 
 
 「ああ、いい森だなあ」
と 途中何度も ヤブ山さんが 足を止められ呟かれる
「この谷はいい。 びっけさん ここは写真ですよ。」
「はい わかりました。」


 「ブナ林の中にこうしてアシオ杉が点在する これがこの辺りの山々の特徴です。」 


 しばらく歩くと笹が消え 間隔を程よくあけ 光の差し込む明るいブナと広葉樹の森に出た。
「もうこれは、極相林と言えるでしょう。」と山口山の会のYさん。
「極相林ってなんですか?」
と 私が尋ねると
「このまま変化をしない 成熟し安定した森です。」
と、ぼっちさんが説明してくださる。
「ああ、そうですかあ。」
私は 改めて森の状態を眺め納得した。

 さあ、これから後半戦の開始
「びっけさんは ぼくの後をついてきてください。」
「はい わかりました。」
かなりの 急勾配を降りるのだが 下手くそな私は 枝にステッキが何度もひっかかったり お尻で滑りこんだりで もう大変。
「かなり 早く降りましたねえ~」
と ヤブ山さんが笑われる。
私も 可笑しくって笑ってしまう。
軍手ももうびっしょり お尻は真っ黒 なんかズボンの中まで木の葉や木の枝が入ったみたいでチクチクしている。

 最後 今度は谷を登って行く

と 思ったら
「これは ルートが違っていました 引き返しまーす」
とぼっちさん。
「は~い。」

「びっけさん ここは登った印に写真です。」
「はい、わかりました。」

そして また しばらく行った谷を登り始める
「は~は~ あともうちょっと 頑張れ~ は~は~」
と一人言を言いながら 必死になって ヤブ山さんの後をついて行く。
 私の鼻息の荒さに ヤブ山さんが 何度も笑われている。
「すみません、うるさいでしょう。」

やっと尾根に出て休憩 
それから 谷筋を降りて林道へ

 駐車場で登山靴を脱ぎながら 満ち足りた達成感でいっぱいになった。
山のエネルギーを体いっぱいに蓄えて また明日から頑張れそう。

 帰りの車中 ヤブ山さんの土地を守り継ぐことの大変さや 兼業農家の話に共感した。
穏やかに語られる中に ヤブ山さんの内に秘められた確かなものを感じた。

帰ってお風呂に入ってみたら 太い足のあちらこちらに 黒あざや傷があった。
枝に突き刺さったり 岩にぶつけたり・・・
お湯に浸かりながら もう一度振り返り なんとも無様だったろう私の山行姿に一人笑った。