お城の荷物は、一人で移動しようと思っていた。
自分で運んだのだから、自分で戻せると。
ところが夫が突然、
「思い立ったら一気に全部運んでしまおう!」
と言い出し、車で3往復した。
・・・気にしていない顔をしていたけど、
やはり気にはなっていたようで。
最後にがらんとした部屋を見られてしまった。
私はなんだか意固地になって、
見せるまいとしたのだけれど。
まあ、夫が一緒だったから
カナシミ感は薄れたかもね。
一人で運んでいたら、泣いたかもしれない。
夫に「絶対に中は見るな」とか
「荷物の多さに文句を言うな」とか
言いながら運んだから、涙も冗談にした。
「あーあ。終わっちゃった~。シクシク」と
泣きまねを装いながら、寂しさを振り切った。
間違ったことをしたとは思っていない。
短いお城生活で得たものは大きかったから。
でも、自由を知ってしまって
それを失った喪失感が大きいことも否めない。
私のさまよい旅はまだまだ続く。