気紛れ書評

かなり偏りがありますが、それでもよろしければ・・・

診療室にきた赤ずきん―物語療法の世界

2006-09-01 22:06:41 | 男性著者
著者:大平 健
出版社: 早川書房 (1994/06)

童話を患者さんに読ませての治療の過程を描いています。
なんとなく読んでしまうとなんとなく終わってしまう作品。
精神科の患者さんの治療という、ホントは理解するのが難しい話題なのに
誰でも知っている童話を元に話が進むことと
著者が難解な文章を使わずに描いていることで、すんなり理解することができる。
けど、そのまますんなり読んでしまうだけではもったいないなぁと。。。
ホントに数時間で読めてしまいますから。

童話によってどのように患者が自分の現状を把握するか、原因を見つけられるか、解決策に気付くか…
なんとなく読んでいると、とてもスムーズに治療が行われているかのように思いますが
実は一人の患者が糸口を見つけるまでには時間がかかっていることがわかります。
このへんは、やはりちゃんと現実に治療をしていた記録なんだなぁと感じます。

私はこの本を、謎解きをするように
患者の立場と医者の思惑と童話の内容とを考えて解決の過程を予想したり
登場する患者や家族とともに童話を読み、自分を整理していくプロセスを共有したりして
何度か読んでいます。

もちろん心理療法はこれだけではありませんが
心理系未経験で興味がある人に、この本はきっかけとしておすすめです。

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