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田中宇氏が書く「イエメン内戦の真相」が実に的確で素晴らしい

2019-12-13 19:08:38 | インテリジェンス
2019年の12月現在、 「イエメン空爆」 は、悲惨なことになっています。
宮田律氏の著書 「黒い同盟~米国、サウジアラビア、イスラエル~反イラン枢軸の暗部」  より引用します。
「はじめに」P.15~16
・人道危機をもたらすサウジのイエメン空爆
2015年3月から始まったイエメン戦争
サウジのムハンマド皇太子は、イエメンで勢力をもち実質的に首都サナアをするシーア派武装集団ホーシー派がイランの支援を受けていると考え、イエメンに対する執拗な攻撃を行っている。(・・・)
国連食糧農業機関(FAO)、国連児童基金(ユニセフ)、世界食糧計画(WFP)は、
2018年12月8日に共同で声明を発表し、「世界最悪の人道危機の中、2000万人ものイエメン人が満足に食べ物を手に入れられない状況にある」
「イエメンでは、すでに1590万人が空腹で目を覚ましている」と世界に向けて注意を喚起した。
空爆は貯水池など水道施設も標的にするため、18年10月現在で1600万人の人々が深刻な水不足に見舞われている。
イエメンでは家計の3割が水道代に費やされ、子供たちは遠隔の場所に赴いて繰り返し水を運ぶために、学校に行けず、同様に水汲みの行き帰りに女性たちが性被害にあう例も報告されている。
また、水不足は、コレラの蔓延をもたらし、世界保健機関(WHO)によれば、
2017年4月から18年10月までに10万人がコレラに感染し、2300●人が死亡したという。
(注――原文には「万」が入っているが計算があわないのでカット)
・関連サイト記事
から引用
・2017年6月24日に UNICEFとWHOが発表した共同声明によると、イエメンでは紛争による衛生環境の悪化によりコレラが急速に拡大し、感染が疑われる症例が20万件を超えた[66]。また、WHOによると、同年9月13日までにコレラによる死者は2074人に達した[67]。



第一章から引用
「UNDP(国連開発計画)の予測では、2019年に戦争が終われば、23万3000人の犠牲者が出るが、そのうち半分以上の14万人は5歳以下の幼児である。(・・・)
イエメンでは25万人が飢餓状態におかれ、13万1000人が餓死すると予測されている。」
・関連記事サイト
視点;サウジによる成果なき5年間のイエメン攻撃((日本語のナレーション付)


・・・・・

難民化しているイエメン人

では、このような「地獄絵図」が起きた経緯を押さえておきましょう。
最低限、以下の構図を押さえておきましょう。
  • 概略
1.イエメンでは、長期政権を敷いていたサレハ大統領が
2011年の「アラブの春」(オバマ大統領・DS側が仕掛けたもの)で失脚した。
2.「サレハ大統領の後継ハーディー大統領の政権」(サウジが支援)
 vs 「北部を中心に活動すフーシ派勢力」(イランが支援)
3.「フーシ派によるアデン攻略」で「ハーディー大統領が逃亡」
4.「サウジ側による大反撃」として「イエメン空爆」を開始
・・・・

ウィキの解説を読んでみましょう。
「イエメン内戦」
・内戦の推移
2015年3月25日 - フーシ派が、ハーディー暫定大統領の拠点である南部の港湾都市アデン へと進撃し、ハーディー暫定大統領は大統領宮殿からボートで脱出[24]。
フーシ派がハーディー暫定大統領の捕縛に2000万イエメン・リアル(約1100万円)の報奨金をかけ、行方を追う事態となった[24]。
3月26日 - ハーディー暫定大統領を支援するサウジアラビアなどスンナ派のアラブ諸国が空爆を開始[22]。
フーシ派はイランが支持し、スンナ派対シーア派の構図の内戦となった[22]。
・・・・引用終了・・・・・・

以上、現在の「イエメン空爆」がもたらしている惨状と
ウィキの「イエメン内戦」の基礎知識を踏まえた上で、
本日の標記の件、
田中宇氏の記事をみてみましょう。
◆米国に相談せずイエメンを空爆したサウジ
2015年3月31日   田中 宇

引用・・・
ほぼ全国民がイスラム教徒のイエメンは、スンニ派が50-55%、シーア派が45%前後の人口比だ。スンニは南部に、シーアは北部に多く住んでいる。イエメンはもともと英国の植民地で、英国が1960年代に財政破綻してスエズ以東から撤退した時期に、イエメンも完全独立した。
・・・

ここからが、超重要です!
引用・・・
しかし、インド・パキスタンやキプロスに象徴される英国お得意の「撤退前に植民地内の民族・宗教対立を扇動して分裂・弱体化させてから出ていき、撤退後も内政干渉できるようにする」策によって、イエメンも、先に独立していた北部(イエメン王国、イエメン共和国)と、ソ連に食わせるかたちで68年に社会主義国として独立させた南部(南イエメン人民共和国)が恒久対立する構図を背負わされた。
・・・・

↑イギリスが、アジアでもやっている、超悪質な工作ですね!
ソ連の影響が強い南イエメン人民共和国は、サウジアラビアにも共産主義者の同志を作って、サウジアラビアの王政転覆をも目指していたので、サウジアラビアはこれを見過ごすことができませんから、南イエメンを潰す工作をしました。
そして、北側によって南イエメンは併合されました。


引用・・・
フーシ派は、03年からの米軍イラク占領に反対するシーア派青年たちの政治運動(イラク国民の多数がシーア派だから)から始まり、反米反イスラエルを掲げている。モデルとしたレバノンのヒズボラと同様、イランの影響や支援を受けている。
・・・

そのあと、続けて、
田中宇氏は、「フーシ派とイランの繋がり」は、(薄いという見方があるが、いやそうではなく)かなり深いだろうと見ていますね。

田中宇氏は、更に続けて

引用・・・
加えて、近年の米政府(オバマ政権、ブッシュ政権)は(隠れ多極化戦略の一つとして)「親イスラエルのふりをした反イスラエル戦略」をやっており、その一環で「イラン敵視策のふりをしたイラン強化策」もやっている。(・・・)
最近オバマがイスラエルの反対を押し切ってイランと核協定を結ぼうとしているが、これは米国の「親イスラエル・イラン敵視策のふりをした反イスラエル・イラン強化策」の最高潮である。
・・・・

としています。
この点は、まことに真実です。
田中宇氏が、2015年の時点で、こうした「真実」を見抜いていたのは、
「凄い炯眼」としか言いようがありませんね。

但し、田中氏は、なぜ、ディープステートが、
「親イスラエル・イラン敵視策のふりをした反イスラエル・イラン強化策」
をしているのか、その真意まではさすがに思いもよらず、
「多極化戦略の一貫」としていますが、彼らは単なるグローバリストではなく、
実は、ディープステートは、悪魔礼拝者一味なので、中東ハルマゲトンを起こそうと画策していたのであり、「イラン・イスラエル大戦争」を画策していたのです。

ゆえに、現在、「反ディープステート」であるトランプ政権「チームQ」は、
「イラン・イスラエル大戦争」を阻止する方向で動いている、というわけです。
トランプ政権による「イラン核合意」離脱は、その文脈で理解すべきであることは、当総研の過去記事でも解説している通りです。
(フェイクメディアは、離脱すると大戦争勃発だから離脱するな、と騒ぎますが)

また、田中宇氏は、
「シーア派が国民の6割のイラクを民主化したらシーア派(親イラン)の国になることがわかっていて侵攻したイラク戦争がその最たるものだ。」としています。

しかし、当総研は、米国が「イラクに米の傀儡政権を樹立しようとしていた」のは本気であったように思います。
米DSが、イラクをも「イラン・シーア派勢力圏内」に組み込むために、イラクのフセイン政権を打倒した、とまでは、見ていません。(が、今後更に検討します。皆様はどう見ますでしょうか?)

田中氏は、米(DS)が「隠れイラン支援」策を実行した、
その一貫として「ハーディー政権弱体化政策」を打ち、これをきっかけにして、ハーディー大統領は逃亡することになった、と見ています。
この点は、間違いなく正しいでしょう。

引用・・「米国主導のIMFは、すでに弱体化していたハディ政権がフーシ派に倒されるかもしれないと気づいていたはずなのに、燃料補助金を削減させ、米国の仇敵であるはずのイランに支援されたフーシ派がハディを追い出して政権をとることに道を開いた。」

更に、アメリカは、ハーディー大統領の支援から手を引く動きを見せます。

引用・・「今年(2015)2月、ハディは首都サナアでフーシに軟禁された状態から逃げて第2の都市アデンに移動し、そこから反抗を開始しようとした。ところが、ハディ大統領が反抗を開始した直後、ハディの後ろ盾だったはずの米国が、事態が危険になったといって、米軍と外交団(大使館)の全員をイエメンから撤退してしまった。」

更に更に、アメリカは、ハーディー大統領の支援から手を引く動きを見せます。

引用・・「ハディ大統領が立てこもる第2の都市アデンを攻略するため、フーシ派が南部に進軍すると、それに先だってアデン近郊の空軍基地にいた米軍が「近くの町をアルカイダに占領されて危険になった」という理由で、総撤退してイエメンから出ていってしまった。」

引用・・「米国がイエメン駐留の軍と外交団を総撤退し、フーシが使えるように5億ドル分の武器や戦闘機などを残していき、アルカイダが近くにいるので怖いというたわけた理由で米軍までハディ大統領を見捨てて撤退したことは、まっとうな作戦として考えるにはあまりに馬鹿げた行為だ。」

ここまでやると、客観的に見ても、「完全に意図的」と言えますね。

引用・・・
サウジは「ハディ大統領が政権に戻れるまでイエメンへの攻撃をやめない」と強硬姿勢の宣言をしている。
イエメンでは、空爆を受けながらもフーシ派の優勢が続き、ハディが政権に戻れる見込みがない。
・・・

サウジもかなり困った状況ではあります。

引用・・・
サウジの駐米大使は先日、米国のCNNテレビに出演した際、必要になったら核兵器を作るかもしれないと発言した。こうした発言も、サウジが米国の核の傘の下から出て行く(行かざるを得ない)傾向を示している。
・・・・

↑実は、トランプ政権「チームQ」は、
「サウジアラビアの核武装」には反対せず、むしろ、推奨する立場のようです。
そして、日本に対しても、「核武装を推奨する」立場であることが内示されています。
(「ストロングジャパン政策」こそがアジアの安定になるという軍事戦略の考え方)

最後に、田中氏は、こう締めくくります。

引用・・・
「永久に続くと思われた米欧のイラン敵視が終わろうとしている。中東の国際政治が大転換している。」

まさに、4年前に、田中宇氏が見通した通りになって行きそうです。
いよいよ、英米の「イラン敵視政策」の「終焉の鐘の音」が鳴り響く時は、近づいていると言えます。
しかし勿論、それは、トランプ政権が英米ディープステートをぶっ潰す、
ということ完全なる連動しての動きになります。
そしてそれは、「Syria敵視政策」の「終焉の鐘の音」にもなり、
「北朝鮮敵視政策」の「終焉の鐘の音」にもなることでしょう。
(理由・・ディープステートがこれらの国を「悪魔視するプロパガンダ」を展開して来た故に)

本日は以上です。
それではまた。


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1 コメント

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Unknown (hide3378)
2022-05-09 18:33:35
貴重な情報、ありがとうございます
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