A Diary

本と音楽についてのメモ

祝発売!レムコレクション第三弾

2005-10-28 22:47:28 | その他の読書
愛すべき作家の一人、スタニスワフ・レムの選集が国書刊行会から出版されているが、このたび待望の「レムコレ」第三弾、『天の声・枯草熱』が発売された。

前回の第二弾が発売されたのはいつだったろう。もうすでに思い出せないくらい。調べてみたら、去年の12月だった。

ちなみに第一弾の『ソラリス』が出たのは2004年の9月。国書刊行会からは、もうずっと以前から「レムコレクションが発売されます」と発表されていたが、予定は延期され、やっと出たのが去年の初秋。そんな経緯もあるから、レムコレのファンたちは、今回みたいに10ヶ月待たされたって文句は言わない。第一弾が出版されるまでにものすごく待たされて、待つことには十分教育されているから(永遠に出版されないかと思った)、これくらいのことでは何とも思わない。

というか、出版されるだけでも恩の字というものだ。今回の「天の声」も「枯草熱」も、かの名高いサンリオ文庫に収録されていた。両作品とも当然絶版。そして他のサンリオ文庫の例に洩れず、価格は高騰。実際には入手困難というほどではなく、お金さえ出せばインターネット古書店で簡単に買うことができる。だが、このように、装いも新たに、レムの優れた小説が再び容易に手に入れられるようになったことは、大変すばらしい。

今回のコレクションは新訳ではない。以前のサンリオ文庫版に多少手を入れた程度のものとのこと。「コア」なレムのファンならば、すでに両サンリオ版とも当然必須アイテムだったから、今回のレムコレは、内容的にはあまり斬新ではない。(それに対し、第一弾の『ソラリス』は新訳だったし、第二弾の自伝風エッセイ『高い城』は、初めて翻訳出版されたもの。)それでもやはり、今回の出版もまた高く評価されるべきだ。「天の声」も「枯草熱」も、有名な『ソラリス』とはまた異なる、レムの小説のおもしろさ、奥深さを示しているのだから。

毎回思うのだが、レムコレは「鮮度」が高い。今回の場合、訳者あとがきの日付は10月5日。たった20日足らずで印刷して書店に並んでいる!刷りたてホヤホヤ。…いや、もしかすると、訳者はあとがきの日付を、実際に書き上げた日よりも少々未来にしているのかもしれない。そうすれば、「原稿が完成次第、大、大、大至急で印刷して用意しました!」という印象を購入者に与える。そして、「出版社は遅れを取り戻そうと、がんばっているんだな」と購入者は感じるわけで、コレクションの出版に時間がかかっていることも許してあげようという気になってしまう。国書刊行会も、なかなかあなどれない。

さて、次は第四弾。いったい今度はいつ発売されるのだろうか。また忘れた頃に本屋さんに並ぶことだろう。


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