花師のここだけの話し

花師がお届けする熱い想い。気ままに気まぐれに、ぼちぼち更新。ええ塩梅でお届けします。

古からのラブレター

2006-01-28 19:05:36 | Weblog
もうすぐ1月も終わります。
旧暦で数えると、日本を除くアジア諸国は、今が年末となるそうです。
日本では、古より節分を1年の節目と数え、厄を払います。
もうすぐ新年が明けます。

日本の古には、それはそれは素敵なことがいっぱいある。
そのひとつに短歌がある。
今で言うと、メール?・・・ラブレター?
五七五七七の文字の中に、恋する気持ちを詰め込んで・・・
その恋の短歌をやり取りする。
メールの交換のようなもんやね。
でもな・・・メールでする愛の告白なんかよりも、艶っぽくて色気がある。
大江千里(おおえのちさと)がこう詠う。

「月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの あきにはあらねど」

歌の意味は・・・
月を見ると、あれこれと際限りなく物事が悲しく思われる。
私一人の秋ではないけれども・・・

どうです?艶っぽいでしょ?
平安時代初頭から、秋を悲哀の季節として捉える感覚って・・・素敵です。

それをぼくなりの返歌を探してみると、藤原道信朝臣(ふじわらのみちのぶあそん)が詠っています。

「明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな」

歌意はこうです。
夜があけてしまうと、やがて日が暮れ、あなたにまた逢うことができるとわかっているものの、それでもやはり恨めしい夜明けですよ。と・・・

この時代って、全てにおいて、恋を素敵な捉えてまして、例えば夢を見るとすると、「あなたが私の夢の中にまで現れてくれた。」と解釈するそうです。
自分が好きで見たのではなく、好きな人が夢に出てきてくれたって・・・
この時代に生まれたかった・・・

この短歌ひとつとっても、理屈では割り切れない恋のせつなさを、なんとも素敵に詠いあげてるんでしょうか・・・
時代が時代です。
恋に夢中にはなるか、出世のことを考えるかしか、楽しみはなかったんやろうけど、それにしても・・・素敵すぎる。
何が素敵かって・・・恋の短歌をお坊さんが堂々と詠い上げてるんやから・・・脱帽するしかない。

前回の個展が終わった時に、次の個展のテーマを話し合った。
その時に出てきたのが「百人一首」。
恋を綴った短歌を、花師なりに解釈して、花で表現する。
口に出すのは簡単やけど、実際にやって見るとなると・・・難しいに決まってる。
でもそこに挑戦することで、古の先人の声が聞こえてくるかもって思うと、怖気ずく気持ちを奮い立たさないといけない。

楽な道を進むのは極めて簡単。
でも・・・険しい道を進む事で、得ることの多さは計り知れない。

先日、仲のいい同級生が、店に来てポツリと言った。
「おまえ・・・去年と比べて、えらい変ったな」って
1年間でどれくらい変ったのかは、自分では測定できない。
でも、きっと少しは前に進めたのだと、その言葉で確信した。

紫 式部が詠っています。

「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな」

こんな風に思っていてくれたのなら、素直にすごく嬉しい。
でもコレだけは伝えたい。
もし本当に成長しているんやったら・・・
それを口に出すおまえの方がすごく素敵やって。






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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
古の時代にも (花師)
2006-01-29 17:55:52
>かさぶらんかさん

供花から始まった花も、実はその当時から、花を女性に渡す習慣があったそうです。

でも・・・今のように束ねて渡すのもではなく、短歌にそっと桜の花びらを添えたり、枝を1本つけたりと、今も昔も変りなくです。

そう考えると、いつの時代も、男は女性に花をプレゼントするという本能があり、貰った女性は喜ぶというのも、これまた本能なんでしょうね。
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いい作品期待してます (かさぶらんか)
2006-01-29 15:23:42
花師さま

藤井寺のすぐ隣が、古都奈良になるのですか。

いい所ににお住まいなのですね。

温故知新

日本が邪馬台国と言われていたときからも約1800年、紫式部や清少納言が情緒のある歌を読んでいた頃も今から千年も前のこと。

しかし、いいえ、この頃だったからこそメールや電話では伝えられない情緒深いものあったのでしょうね。

ちなみにお華という文化ができてからも、室町時代と言われてますから五・六百年前のこと。ただしお華はやはり始まりは供花からといいます。

色恋や、今のようなプレゼントに使われていたかは、わかりませんね。これは今のほうが素敵なことですね。

今のようにプレゼントとして使われるようになったのは、いつ頃のことなのでしょうかしら。欧米の文化が入ってきてからでしょうか?

しかし花の美しさや自然の美しさそれにかけて思いを寄せている方へ詠んだ歌は古くからたくさん残っていますが。





作品づくりのために探索して、また、前回に勝るドキッとさせて下さるものをお創り下さい。

私が興奮してどうするのでしょうね。



日々のお花屋さんとしてのお仕事も地道にこなしながらのこと大変かと存じます。

ファンとして本当に応援しております。



また、長文書いてしまいました。

失礼お許し下さい。
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短歌って素敵ですね。 (花師)
2006-01-29 09:38:35
>かさぶらんさん

おはようございます。

百人一首お好きでしたか。

それはよかったです。

あまり詳しくは知らないんですが、短歌は本当に素敵な日本の文化です。

藤井寺のすぐ隣には、万葉の古都奈良があります。万葉の地をぶらりと歩くイベントもたくさんあり、いつか参加したいと思っています。
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Unknown (かさぶらんか)
2006-01-29 00:04:39
花師さま

本当にロマンチストですね。

次の作品を待ちわびているファンとしては本当に楽しみです。

日本の古典文化には本当に素晴らしいものがたくさんあると私も思います。

さぁどんな花師さまの古典という題材の中から、花師ワールドが繰り出されるか楽しみです。



それにしても、百人一首ひとつにしてもなんと切ないのでしょう。それで且つ美しい。



「明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな」

なんて、素敵なうたでしょう。

このうたは男の方のうたですが、

では、調子に乗って私も・・・

うまく、花師さまの想いに添えるだどうかわかりませんが、これを拝読して思い出した一首を・・・



その夜お別れしてしまうと、次はいつと簡単にはたずねられない時代ゆえ、

「いまこんむと いひしばかりに 長月の ありあけの月を まちいでつるかな」   素性法師



愛し合うもの逢う時間は短く感じられ、約束したとはいえ

待つことの苦しさこれはいつの時代も同じだと思います。



今日も花師さまいいお話しありがとうございました。

本当に楽しみにしております。
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