つれづれなるままに

恐れ多くも、兼好法師のような文才はありませんが、日常の出来事を「ブログ」に表現できれば幸いです。’05.01.27.大安

◆名目成長率目標(インフレ目標)

2006-01-21 05:43:29 | Weblog

20日に第164通常国会が召集され、小泉首相は最後の施政方針演説を行った。9月退陣後も改革続行を訴えたが、デフレ対策については一切触れなかった。しかし、改革のコアは、600兆を越える財政赤字の解消問題である。報道等で周知の通り、日銀も「量的緩和解除」時期について検討をはじめ、閣内でも消費税の早期引き上げを求める増税派と歳出削減推進派で対立が見られる。ところが、2月に「インフレ目標値」提唱者・バーナンキ氏(昨年10月26日投稿・「最近のニュースから」に紹介済み。参照されたし)がグリーンスパン氏に代わって就任する。FRB理事当時も日本の長引くデフレ対策として、減税と日銀による国債の買い入れで物価を押し上げる必要性(インフレ政策)を主張。昨今のドル高対策としても、当然ながら圧力がかかる筈である。そんな背景の中で、最近「増税か、インフレか」の論争に変わってきた。私も財政再建には、ある程度のインフレ策は不可欠と考える。とくに、景気回復が鮮明になってきたことで環境が整ったと判断される。
ただ、インフレの言葉に抵抗がある。代わって名目成長率目標という言葉が登場した。名目成長率は、実質成長率に物価の変動分を足した数値。(下表参照)
★内閣府「改革と展望」2005年よりマクロ経済の姿(実績・試算)★
       04年  05年  06年  07年 08年 09年 10年
実質成長率 1.7% 2.7% 1.9% 1.8% 1.8% 1.7% 1.7%
名目成長率 0.5% 1.6% 2.0% 2.5% 2.9% 3.1% 3.1%

長 期 金 利 1.5% 1.4% 1.7% 2.4% 2.9% 3.3% 3.7%
実質成長率は外国との比較や経済の実力を比較する指標で、暮らしや経営など日常の経済活動の目安は名目成長率である。戦後、わが国は名目成長率より長期金利が低かった。軽いインフレが企業の投資意欲を刺激して高度成長が続いた。名目成長率が上がれば税収が増える。2010年代の早い時期に財政の基礎的収支をバランスさせる、という政府公約を達成する為には名目成長率を引き上げなければならない。「4%の名目成長が続けば、消費税を上げなくても財政はバランスする」(竹中総務相)。成熟した日本経済は成長力2%前後と言われる。あと2%程物価が上昇してもらわなければ名目成長率4%は達成できない。名目成長率を目標に定める事は、即ち「インフレ目標」を決めるに等しい。デフレ脱却⇒名目成長率アップ⇒資産インフレ⇒税増収⇒財政再建、というシナリオには[長期金利の封じ込め]が重要課題。「金融政策で長期金利に影響を与えることはできる」(竹中総務相)。従って、当面の焦点は日銀による「量的緩和」解除である。過去に、三重野総裁当時「量的緩和」解除を急いで、景気回復の機会を潰した経緯がある。日銀の「量的緩和」を2006年春にも解除する、との観測に、不快感を示した自民党の中川秀直政調会長が「日銀法改正も視野に入れなければならない」と発言したのは昨年の11月。増税もインフレも庶民の懐のカネを政府に移すという点では同じ。しかし、どちらに軸足を置くかで、景気は左右される。目が離せない。尚、「インフレ目標」設定に否定的な福井俊彦総裁は、90年前後の土地バブルの教訓から、「量的緩和」解除に向けて、より客観的な指標を作り、景気を後退させないような金融政策を考えているようだ。

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