吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

昭和初期 小樽の小学校 十一

2006年11月17日 04時52分51秒 | 玄界灘を越えて
昭和初期 小樽の小学校   十一                  
 
 中村くんに聞いたら旭川でうまれたがはやくから母と死にわかれしていまは父ちゃんと二人くらしで兄ちゃん二人は根室の海で漁師の手伝いしてると言った。
 …アイヌ人ってまだおおぜい北海道におるんか?…
 …よくわからんさ!…
 …ぼくも大阪から転校してきたんや!友達は番くんだけやさかい、ぼくと友達にならへ  んか?…
 …うん…
 その日から友達は三人になった。入船川とびも、チカつりもいっしょやった。中村くんの家は川のむこうがわの路地の入り口の木小屋みたいな家で入り口に荷馬車のソリや、古い丸太やリンゴ箱がごちゃごちゃおいてある。なにやら青臭い匂いがした。
 かべに熊の皮がぶらさがていた。
 …おっそろしい熊、父ちゃんがとったんか?…
 …そうや、父っちゃんがわかいとき、てしお山でとった熊だ…
 …ふーん父ちゃんは強いんやなァ
 ちずこにもらたサケのほしたもんが台所の天井からさがっていた。
 …これうまいやろ!ぼくの家の工員さんにこないだ貰うてたべたんや!…
 …サケトバだべ、食うかい?…
 …おおきに、大好きやから…
 中村くんはきまえよく長いすじを二本ひきぬいてくれた。
 毎日のようにたべるスズコと同じあじがしてちずこのよりうまかった。
 三人でメンコ遊びをした。
 番くんがいちばん下手くそで中村くんが一番上手やった。
 小さな庭で釘たおしをしたらやはり中村んがいちばんやった。

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