竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

新型コロナウィルス感染拡大の中、地域新発見と新しい都市計画

2020年08月15日 | 地域エネルギー
長い梅雨の7月が終わり、忽然と猛暑の夏がやってきた。太陽光発電事業者としてはホッと一息だが、生身の生き物としては、2週間以上続く酷暑に溶けてしまいそうである。振り返ると、こんな気温が続く夏は過去になかった。8月4日に69回目の誕生日を迎えたが、高校生の頃、夏は炎天下でサッカーだった。40年前の夏には奄美大島で石油コンビナート反対イベント。高知の窪川で原発反対イベントがあったのもその数年後。その頃はエアコンなんかほとんどなかった。20年前には炎天下の参議院選挙を経験した。候補者の黒いTシャツが夕方には汗で白くなったが、まだ街頭で動けた・・。10年前は、我が家のエアコンをつけるのは年に1週間程度だねと話していた・・。今年8月、エアコンはフル回転している。
確実に暑くなってきているのだ。酷暑と豪雨、そして巨大台風・・日本の気象はどこまで変わるのだろうか。地球温暖化は確実に進行し激化している。変化は赤道直下や北極や南極で顕著に現れるのかと思っていたら、四季のある温帯地方の、海洋気候と大陸気候がぶつかりあうこの一帯でより激しく現れているようだ。

4月から完全テレワークを体験中

そんな気候変動まっただ中の地球を、新型コロナウィルスという未知の脅威が襲っている。感染してもなかなか発症しないが、重症化すると致死率は高い。しかも未発症でも感染させるという厄介なものだ。放置すると感染は拡大するが、未発症感染者を発見し入院させると医療機関がパンクする。かといって野放しにすると、ある日突然クラスターが発生、重傷者も増える。感染拡大が止まらないので人の行き来を止めると経済も止まる。それでは経済だとGOTOなんとかをするとウィルスが日本中に運ばれる。残念ながら日本政府は、全く無策あるいは逆効果策を繰り返しているとしか言えない。
このような中、私の会社GPP(グリーンピープルズパワー株式会社)とEGP(イージパワー株式会社)は、4月から完全テレワークに入っている。最初は1ヶ月とか2ヶ月の短期を想定していたが、ここに来て、もはや秋や来年前半の回復すらおぼつかないと、日常営業のベースをテレワーク方式にしようと考えている。
GPPは電気の小売会社で、これまでは相談会という対面営業を基本としてきた。顔を合わせれば信頼感も増すし、細かなことも聞ける。いろいろな社会問題をテーマにセミナーも企画した。会場やゲストに工夫をこらし、人々に集まって考えてもらうことで、広い意味で営業につなげる。しかし、これら全てが行えなくなった。私自身の講演会も軒並み中止となっている。
そこで行きついたのが「オンライン」営業だった。オンラインツールは、海外との交流を中心に、仕事でも市民運動でも少しは使っていた。そしてテレワークへの舵を切ったことで、その強みやメリットを実感することにもなった。たまたま昨年秋に社内のインターネットセキュリティを強化し、社員一人一人が社外から社内サーバーにアクセスできるようにしていたのは幸運だった。これがなければ、思い切ったテレワークはできなかっただろう。



GPPの公募増資とオンラインセミナー

オンライン営業に踏み込むきっかけは公募増資だった。GPPはちょうど4月1日から公募増資申し込み受付を開始したところだった。通常は会議室などを借り切って、増資セミナーなどを開く。そこに人が来なくても、そのセミナーの告知をすること自体が公募増資の情報を拡散することになる。そこで踏み切ったのが、オンラインによる増資セミナーだ。とにかく企画を作り、どんどん拡散しようと。
ところが企画を広報すると、どんどん申し込みが舞い込んだ。昨年実績では多くても20人、少なければ10人以下だったものが、3回目で40人超え、最後の8回目には申し込みでは100人を超えた。参加者の住所は青森から九州まで(北海道がいなかった?)。四国、北陸地域からの参加も多かった。東京の会議室でやっていたらあり得なかった広がりである。
8回のオンラインセミナーの最初2回は私自身が話をした。いわばオンラインの練習だったが、それでも20〜30人くらいの参加者があった。私が使っているオンラインツールはZOOMというものだ。思い切って有料ライセンスにしている。毎月たった2200円(消費税込み)である。最初これをケチって(無料版は時間が40分しかないので)、大変な苦労をした。はたと気がついたのは、コロナ禍で全く夜飲みがなくなれば、毎月何万円!・・という出費が減る。年間24,000円は、それに比べれば安いものじゃないか・・と。今は快適にZOOMライフを送っている。
今でもリアルでないと嫌と言われる方にたまに行き当たる。しかし交通費は要らないし、その移動時間もいらないというのは凄い。オンラインは顔を見合わせており、バーチャルとは違う。実はリアルよりも、資料の画面共有などもしやすいし、細かな説明ができる。多分集中度が違うのだろう。リアルの代わりではなく、交流の新手段なのだと伝えたい。
移動時間が消えた結果、その時間が仕事時間になり、私は普段より2倍から3倍の仕事をしている(と思う。たぶん・・“)。ほとんど、自宅のダイニングテーブルにいる。朝、メールをチェックして、文章を書いて、ZOOM会議して、食事して、ZOOM会議して、メールやりとりがあって、またZOOM会議。気がつくと窓の外は暗くなっている。濃密な生活だ。

GPP 新・オンラインセミナー
https://www.greenpeople.co.jp/information/2062/

新型コロナウィルスについての考察

私は医療や感染症の専門家ではないので、これまで新型コロナウィルスやその対策について発言することは控えてきた。「あべのマスク」を笑うことはできるが、かといって私が代わって感染対策を牽引はできないからだ。それでも、マスコミ等から流れてくる様々な情報の中で、以下のようなことを考えてしまう。
新型コロナウィルスの感染力は弱い。だから心配するなと主張する人がいる。無症状の人が感染させているのだから「感染力が弱い」はどうも正しくない。正確にいうなら「発症する力が弱い」のだろう。新型・・は長いので欧米と同じコビット19(以下「コビット」)とするが、コビットは弱いので、普通の人の自然免疫で撃退される。この段階では抗体はできない。自然免疫で撃退できなかった場合は、獲得免疫というより強力なチームが出動する。これで撃退したら抗体ができる。撃退できなかったら発症し、場合によって重症化する。
ほとんどの人が自然免疫で治るが、感染はし易いので、1億人が感染するという仮定も誇張ではない。自然免疫で90%撃退できるとしても、1000万人は撃退できないということを意味する。それでも獲得免疫チームが出動するのでさらに90%は撃退できるとする。それでも100万人は撃退できず発症する。発症しても軽症で終わる人がほとんどだが。
実は軽症の意味が不思議で、人工呼吸器が必要になってもまだ軽症らしい(真偽は不明)。重傷は集中治療室に入りエクモという特別な人工呼吸器に繋がれることのようだ。最後はサイトカインストームや血栓症など、コビットの毒性ではない方法で宿主である人間の命を奪うが、その比率0.1%としたら、感染者1億人のそれは10万人になる。現在の死者数は1090人(8月14日16時現在、NHKまとめ)、これが1年以内に10万人に上昇することもあるということか。
10万人から1090人を引いて365日で割ってみたら約270人になった。8月13日は死者11人。せいぜい7、8人だったところが、この日一気に10人を超えたもよう。毎日1人ずつ増えても260日後には270人になる。2021年5月11日だ。あまり非現実的な話でもないように思える。そうならないようにするには、重症化する前に治療することではないか。
ところが今、軽症の人は病院に入院させるわけにはいかない(病院がパンクする)ので、自宅待機かホテル療養になる。「自宅待機」があるので、せっかくホテルを用意しても、行かない人が多く、結果、家庭が最大の感染源になっている。そして、そこで重症化させている。軽症を「本当の軽症」と「人工呼吸器等」が必要な中等症に分け、軽症はホテル療養を義務化し、その間の家族やペットのケアを政府が10兆円の一部で補償し雇用を作ってはどうだろう。今職を失っている人に担っていただけば、コビット対策、ホテルの救済、雇用対策というトリプルの効果を出せるのではないだろうか。

図1 NHKがまとめたコビット死者数グラフ
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/
このグラフでは、死者数は9人(8月14日分)が増えて、1099人となっています。
URLのサイトに行けば、右にスクロールして5月ごろの死者数を見ることができます。
その頃は、毎月20人以上が亡くなっていました。



おかげさまで「宮前散歩」地域新発見

さて、コビットによるテレワークのおかげで、自分が住んでいる川崎市宮前区をくまなく歩いている。ZOOM会議、ZOOM会議で気がつくと夜と書いたが、こんな生活を続けるといっぺんに腰にくる。毎朝1時間以上のストレッチは日課だが、体を柔らかくするだけでは体力はつかない。そこで毎日1時間以上散歩することにした。散歩というのは、別の見方をすると地域を歩くことだ。今まで知らなかったこの地域のパワーに接することになった。
第一のパワーは農地だ。宮前区にはまだ農地が多く残っている。しかし、ものすごい勢いで失われているのも事実だ。私が住んでいるのは有馬という町だが、鷺沼駅に向かう一本道の両側に住宅街が広がる。住宅街はそのまま丘になり二つの丘陵になる。西側の丘陵は分水嶺の道が横浜市との境界になっており、向こうに下りると横浜市だ。もうほとんど畑などない。東側はまだ住宅街の後ろに梨畑などが広がる。最近は多様化しブドウやイチジクなどもある。私が引っ越してきた頃は長十郎梨の畑一色だったように思う。
それら果樹畑以外にも畑は多い。東の有馬丘陵をこえて、降りていく途中にはビニールハウス栽培の畑が広がる。トマトやナスもあるが、宮前メロンというマスクメロンの産地なのだ。現地即売で、車で消費者が買いに来るらしい。夕方の散歩時には、完全に売り切れているので現物を見たことはない。
そしてさらに行くと忽然と景色の変わる空間がある。ここは来たことがある。そうだ長野だ!ところが川崎市宮前区なのだ。おそらく農家が土地を売らず、山の畑を守り通しているのだろう。清々しい異空間が広がっていた。その発見の時から、この道は必ず通る散歩コースになった。

東有馬の異空間


第二のパワーは有機野菜。実はこの農家は有機野菜を育てる、こだわりの農家だった。ある日、農家の入り口に「有機野菜売ってるよ!」の看板を発見。ところが販売時間は朝の8時半から。しかも火水木と土日だけ。それで、次の日曜日の朝、意を決して行ってみた。その時は運が良く、まだとれたて枝豆があった。あとはトマト、ピーマン、新鮮ニンニク、リーフレタス、インゲン、人参、ジャガイモなどなど。枝豆ほか4点合計で500円みたいな格安値段にもびっくり。もちろん美味しかったが、とくにニンニクの旨味がすごく、それから我が家のスパゲッティ料理の頻度が高くなった。

有機野菜売ってるよ(今日はお休みだけど・・)


三つ目のパワーは大樹だ。宮前区には川崎市の保存樹種となっている木が多い。しかし木と書くには申し訳ないほどすごい大樹に出会った。高さ、幅ともに50メートルはあろうかという巨木。それが冒頭の写真だ。由来などは調べていない。実は紹介した三つは共に東有馬の谷戸(谷になった部分)にある。長く開発の手が入らなかったのだろう。

農地ソーラーを軸にした夢・都市計画

残念ながら、今、東有馬の谷戸が開発の最前線になっている。ここは有馬丘陵と野川丘陵に挟まれた場所。電車もバスも通っていないし、駅までも遠い。だから宅地化されなかったのだろうが、宅地化された野川丘陵側から谷戸側に宅地が降りてきている。

しのびよる住宅開発


宮前区には他にも素晴らしい農地が残っているが、住宅街に囲まれポツンとしているところが多い。理由は簡単で、宮前区は政令指定都市の一部で、大都市空間の農地は「生産緑地」とされているからだ。本来は宅地並み課税となるところ、営農継続を条件に農地並み課税とする特例措置が「生産緑地」だ。ただしこの法律は2022年に期限切れを迎える。2022年以後、営農はできても宅地並み課税では農業が成り立たず、高齢化により営農を継続できない農家は一斉に土地を売ると言われている。それ以前に、地主が亡くなり、農業継続ができずに土地を手放す農家がポツリポツリとある。そこが住宅団地となったのだ。
このままでは農地はみんな宅地になる。生産緑地は貴重な都市の緑化空間であり、それを失って良いのかと、生産緑地法を管轄する国土交通省も考えはじめた。いろいろな特例措置で、農地を残せるようにしようとしているが、宅地化の勢いはすごいということを、地域歩きで改めて教えられた。
本当にこんなに宅地が必要なのだろうか。地域歩きは別の現実も教えてくれる。空き家の多さだ。庭の植物が伸び放題で、ここは空き家歴1年だな、2年だなというのがわかる。数十年前に開発された住宅街は虫食い的に空き家が広がり、素晴らしい農地の方は開発され宅地化しているのだ。皮肉なことに、その新住宅のほとんどが太陽光発電をつけている。農地にソーラーではないが、農地を宅地にしてソーラーをつけている。それならば、農地をそのままに、ソーラーをつけた方が良いのではないか。
一度宅地化すると、そこを農地に戻すことは難しい。しかし、巨大マンションになるほどの広い土地が空き地になるならば、農地化も不可能ではないかもしれない。法整備が必要だが、空き家は農地に、農地は農業者か農業法人にしか売れないという仕組みにしてはどうだろう。農地の4メートルほど空中は発電所になる。そして地域の住宅に電気を供給する。そういう、農業とエネルギーと住宅の「共生圏」が全国に無数にできて行ったら素晴らしくはないか。

比較的街の中のソーラーシェアリング (厚木市民ソーラーの開所式)


安全な電気を使い、安全で美味しいとれたて野菜を食べ、樹々に囲まれた谷戸の中で、そよ風と共に暮らす・・。もちろん仕事はテレワークだ。農家はとれたて野菜と電気を産直で販売する。新住民はテレワークに疲れた時は、ちょっと農業も手伝う。こんな「共生圏」が日本中に誕生するというのは夢物語だろうか。

ちなみにGPPは8月から、改めて定期的にオンラインセミナー(トークセッション)を開催することにした。その第1回は、鮎川ゆりかさん(千葉商科大学名誉教授)をお迎えし、「再エネならなんでもいいわけじゃない!」と題して行う。ぜひご参加ください。
https://www.greenpeople.co.jp/event/2136/


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