竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

参議院選挙のど真ん中で思う

2019年07月15日 | 政治
久しぶりのブログで、しかも久しぶりの選挙ネタで書いてみました。
我が国は、いま参議院選挙の真っ最中です。しかし、テレビやラジオからはほとんどその状況が流れてきません。申しわけ程度に、各党党首の発言みたいなのがニュースで流れてきましたが、国政を決める選挙をやっているにしては情報が少なすぎます。これで投票率が低くなるのは、当然だと思います。

じつは憲法改正選挙だった

では、今度の参議院選挙には見るべき争点がないのでしょうか。いや実は今回、参議院で与党側に維新を入れて3分の2の議席をとるのではないかの予測も出ています。憲法改正の発議ができる議席比率です。
すでに衆議院では与党+維新は3分の2以上の議席を持っています。参議院でもすでにあったんじゃないの・・というご意見も出そうですが、それは微妙です。今回の選挙前の参議院の議席配分は与党147、野党90でした。ただし維新+希望が15、保守系無所属2があり、与党と合計すると164議席で67%を超えています。確かに3分の2以上ですが、希望や無所属の誰かが反対であれば、3分の2には届きません。公明党も憲法改正には積極的ではないので、とても絶妙なバランスだったとも言えます。今回の選挙はこのバランスを崩すかもしれません。
日経新聞は改憲勢力が3分の2に届く・・、毎日新聞は3分の2に届かず・・という記事を出しています。大接戦をしているということです。そんな重要な政策の可否が、この選挙にかかっているのですが、これらの一部新聞を除いて、マスコミではあまり報道されていませんよね。

世論調査の結果は与党の圧勝

この時期には、マスコミ各社は世論調査の結果を発表します。どの選挙区で誰が勝つか、ほぼ情勢が見えてくるのです。日経新聞の調査では、32の一人区のうち野党統一候補が勝てそうなのは3つだけ、与党は20です。複数区を入れても野党側が確実なのは18議席、激戦状態が12です。激戦区を全て野党側が勝っても、獲得議席は30で非改選の51と合わせ81議席で、ギリギリ33%です。ほとんど絶望的な状況ではないでしょうか。
この選挙前に私も各選挙区の状況をざっと見たのですが、一人区の半分以上は野党が取るのではないかと予測しました。ところが、野党側勝利と見た宮城、岩手、秋田、山形、新潟、滋賀、大分が大激戦になっています。複数区は与野党が票を分け合うので、だいたい拮抗します。一人区で野党側が上回れば、この選挙は勝ちとなるのです。
一人区を作るというのは、衆議院の小選挙区制もそうですが、与党側にとってもリスキーなのです。野党側が候補者を立てあって、お互いに相争ってくれれば、与党側に漁夫の利の議席が転がり込むからです。そこで、一人区では野党側が協議して、候補者を一人に絞ることが重要なのです。そして野党側は、今回、それを実現しました。それなのにこの予測はなぜでしょう。

投票率というマジック

野党大敗予測の最大の原因は、投票率です。世論調査は投票率を想定して作成されるものではありませんが、その結果の中に投票率の行方が反映されているとも言えます。投票率が低いとは、この選挙に興味がない、関心が低いということです。世論調査でも回答なし、投票者なしなどとして現れているはずです。
私が常々言っていることに、与党側の票数はほぼ一定というのがあります。得票数は大きく変わらないのに、投票率が上がるとその比率は小さくなり、投票率が下がると比率は上がります。与党側を当選させるも落選させるも、実は投票率次第だということです。
もちろん、投票に行っても白票を書いたのでは、与党側を落選させることにはなりません。対立候補の名前を書かねば、あまり意味はないのです。でも多くの人は、白票を書くためには投票所に足を運ばないのではないでしょうか。自分の意中の候補がいなければ投票に行かないという人が多いのでは。
価値観が多様化した現代では、自分にズバリの候補者などほとんどいません。投票は「この人はダメ」という候補を当選させないために行う・・というような戦略性が必要なのです。でもそんな高等戦略は教えられていないですよね。
おまけに今年は亥年です。亥年は統一地方選挙と参議院選挙が同じ年内にある12年に一度の年。事前に統一地方選があるので、選挙を担う地方議員が選挙疲れして投票率が上がらない・・というのです。今回の参議院選挙も、2013年、2018年の選挙よりも低くなると予測されています。(NHK政治マガジンよりhttps://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/19804.html )
解説が若干わかりにくいのですが、世論調査の結果の「関心なし」が2013年、2018年には63%で、投票率は53%から54%だった。今回は世論調査の「関心なし」が55%だったので、投票率はどんなことになるんだ・・ということです。ちなみに投票率は総務省の公式データがあったので掲示します。参議院選は、ここのところずっと55%を切っています。


比例区も自民党が圧勝?
 投票率が低いと、固定票を持っているところが断然有利になります。とくに比例選挙では「浮動票」みたいな層があまり動かないことを意味するので、新興勢力には逆風ですし、「れいわ新選組」などには不利です。朝日新聞の世論調査に基づくと、30%程度の「棄権」でも、自民が24、立民9、公明4、共産4、維新4・・というような数字になります。
 良くても40%以上の棄権率となりそうという予測ですから、自民は比例議席の過半数を制し、社民、国民は1議席、れいわは1議席も取れずということになるかもしれません。少なくとも山本太郎氏当選ラインの3議席には到底届かないという予測です。
改憲については与野党で分けても正確に反映しないので、与党+維新を改憲派とします。その比例区獲得議席数は32、反改憲側は18という予測です。選挙区の獲得議席数予測は改憲派41、反改憲側18、激戦中15です。反改憲がこの激戦区を全て制して、改選議席は改憲派73、反改憲側51となります。非改選の議席は、改憲派79、反改憲42なので、合計すると改憲派152、反改憲93、合計245議席。
 改憲派議席比率は62%です。かろうじて3分の2を超えていません。反改憲側が激戦区の一人区全てを制すれば、かろうじて改憲の発議はさせないことができるという状況だということです。なかなか簡単ではないと思います。
与野党がわかりにくいこの構図は、おそらく改憲に限ったものではないと思います。立憲民主党などが国会に提出した「原発ゼロ法案」は、ずっとたなざらし状態で審議もされませんし、消費税増税は経済情勢に構わず引き上げられるでしょう。政策連合のようなものが必要だなあと思います。選挙の時だけ、共闘しようというのではなく、常日頃の国会戦略の段階で、情報の共有と共同戦略と、役割分担が必要ということです。

 ということで、参議院選を冷徹に分析して見ました。おしどりマコにも若林ともこにも、石川大我にも川田龍平にも、山本太郎にも安富歩にも・・・頑張ってほしいが、比例選挙は一人しか投票できません。立憲民主と共産と「れいわ」に一緒に投票することもできません。私たちが政治を変えるにはどうするか、実はこのあたりにも答えが隠されているように思います。


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