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尼崎宝塚線・拡幅工事ストップの背景(その1)

兵庫県道42号尼崎宝塚線は阪神間の南北を結ぶ重要な幹線道路です。

この道路は、1920年代に阪急電鉄と阪神電鉄が阪神間でせめぎあっていた頃、阪神が阪急の牙城・宝塚に攻め入ろうと、子会社「尼崎宝塚電気鉄道」を設立して尼崎と宝塚を結ぶ鉄道を着工したものの、尼崎市内のルートが決まらずに頓挫して中止となり、すでに出来上がっていた鉄道の路盤を舗装して阪神バス専用道としたのが起源で、現在も「尼宝線」(あまほうせん)の通称があります。

沿線は完全に市街地となっており交通量が多くなっています。そして、尼崎市北西部から中国道宝塚ICにかけては鉄道駅から遠く離れたエリアを貫いているため路線バスも頻発しており、中でもこの道路のルーツである尼崎と宝塚を結ぶ阪神バスは昼間でも10分間隔で走っています。

1990年代まではほぼ全区間が2車線でしたが、渋滞多発を鑑みて4車線化が順次進められており、2022年11月現在は以下の2区間のみが2車線で残っています。

1.阪急立体工区・・・尼崎市内で阪急神戸線をオーバークロスする地点の前後区間

2.小浜南工区・・・宝塚市内の「福祉センター前」交差点から中国道宝塚ICまでの区間

このうち2.については、拡幅と同時に中国道宝塚ICと接続する部分を平面交差から立体交差に切り替える大掛かりな工事が進められており、既に立体交差の構造物がかなり形になっています。

https://corp.w-nexco.co.jp/newly/r3/1105/

https://corp.w-nexco.co.jp/newly/r4/0727a/

2020年時点の兵庫県の投資事業評価調書によれば、2022年度中に完成予定となっています。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks04/documents/r02-k-07-kohamaminami-amagasakitakarazuka.pdf

 

一方、1.については、オーバークロス前後の2車線のままになっている約600mについて、取付道路の盛り土の法面を作り変えて4車線分の幅を確保し、オーバークロス部分の橋梁を4車線に拡幅する計画です。したがって用地買収は必要ありません。2015年時点の兵庫県の新規事業評価調書によれば、2016年度に設計を開始して2023年度内に完成予定となっています。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks04/documents/h27s-1-toshikeikakudoro-amagasakitakarazukasen.pdf

https://web.pref.hyogo.lg.jp/hsk06/documents/h-kendo_57.pdf

ちなみにこの部分は、まさに「尼崎宝塚電気鉄道の未成線の遺構」です。取付道路の勾配は一般的な幹線道路と比べ明らかに緩く、電車のみが走る鉄道並みの規格です。

参考・・・2015年7月当時のオーバークロス南側のストリートビュー

(つづく)

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