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横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

年末のカンファレンス

2018-12-29 12:19:54 | 心臓病の治療
 どこの心臓血管外科の施設でも年末はその年の締めくくりとして、一年間の症例をまとめ、カンファレンスなどを行うのが一般的です。
 その内容を年報にまとめて、情報公開もしています。

 当施設ではグループ内の施設が集まって、Mortality & Morbidity Conferenceを行って各施設の情報交換をかねて毎年年末にさいたまに集まって行っています。
 うわまち病院心臓血管外科では、一年間で300件あまりの手術を実施し、その中で心臓胸部大血管手術は110例でした。そのうち、三分の一の症例で小開胸の手術=いわゆる低侵襲心臓手術となっています。今後はこの傾向は続くと思いますが、うわまち病院はグループ施設の中でも最もこの低侵襲手術の比率が高い病院となっています。また、110例中、51例が弁膜症手術で、他の施設よりも弁膜症の割合が多くなっています。
 

化膿性脊椎炎と感染性心内膜炎の合併

2018-12-29 00:03:17 | 心臓病の治療
 感染性心内膜炎に化膿性脊椎炎が合併する頻度は約10-15%と言われます。

 化膿性脊椎炎は一般的に強い腰痛や背部痛を伴うため、見逃すことは少ないと思います。MRIでT2強調画像で脊椎がHigh Intensityに描出されれば強く疑います。確定診断は、生検で脊椎組織に感染所見を確認し、菌種の同定も行う事になります。化膿性脊椎炎は高熱を伴うとは限らず、比較的持続する微熱程度ということもあります。しかし、高熱がみられなくても血液培養で細菌が陽性であることも少なくありません。治療は基本的に感染性心内膜炎と同じく。数週間の抗生物質治療を継続することです。

 見逃してはいけないのは、化膿性脊椎炎に細菌性心内膜炎を合併していることがあるということです。必ず、心エコーで確認する必要があります。強く疑う場合は経食道エコーが必要です。特に皮膚に細菌性塞栓症(Osler結節)を伴う場合は早急に検査が必要です。