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ペロブスカイト発光ダイオードの発光効率が4倍に

2019-11-18 | 科学・技術
 九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センターの安達千波矢教授、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の松島敏則准教授、Changchun Institute of Applied Chemistry(中国)のQin Chuanjiang(シン センコウ)教授は、京都大学化学研究所、Chinese Academy of Sciences(中国)、Sorbonne Universite(フランス)、CNRS-Universite de Strasbourg(フランス)と共同で、適切な有機材料を選択することによって、擬二次元ペロブスカイトLEDの発光効率を約4倍に向上させることに成功した。本研究成果は、令和元年11月12日(火)(日本時間)に「Nature Photonics」誌でオンライン公開。
 金属ハライドペロブスカイトは太陽電池の光吸収材料として注目を集めている。その光電変換効率は、シリコン太陽電池に匹敵する25.2%に到達している。また、金属ハライドペロブスカイトは発光ダイオード(LED)の発光材料としても有望である。しかしペロブスカイトLEDの発光効率には問題が残されており、発光効率を向上させる技術の確立が望まれていた。
 ペロブスカイト薄膜は簡単に作製でき、色純度が高い発光を示す。そのため、ペロブスカイトLEDは低コスト・高色純度な次世代型ディスプレイ用途として期待されている。本手法を用いればペロブスカイトLEDの発光効率を大幅に向上させることができるために、ディスプレイ産業分野に大きなインパクトがある。また、本手法を用いればペロブスカイトからのレーザー発振特性の向上も期待でき、医療や通信分野にも貢献できる。
 研究概要
 LEDの発光材料として用いた擬二次元ペロブスカイトは金属ハロゲンと有機アミンで構成される。擬二次元ペロブスカイト中で電子とホールが再結合すると一重項励起状態と三重項励起状態が1:3の比で形成される。擬二次元ペロブスカイトの有機アミンとしてナフチルアミンを用いた場合では、擬二次元ペロブスカイト中で形成された三重項励起状態エネルギーはナフチルアミンへと移動し消滅した。これは、ナフチルアミンの三重項励起状態エネルギー準位が擬二次元ペロブスカイトの三重項励起状態エネルギー準位よりも低い位置にあるためである。その結果、発光に関与するのは1/4の割合で形成された一重項励起状態のみであった。ところが、有機アミンとしてフェニルアミンを用いた場合、高い三重項励起状態エネルギー準位を持つフェニルアミンへのエネルギー移動は生じないために、擬二次元ペロブスカイトの三重項励起状態エネルギーを発光に利用できるようになった。本研究では三重項励起状態の物理を解明し、その重要性を明らかにした。
 本研究で採用したペロブスカイトLED構造は、透明陽極/有機ホール輸送層/擬二次元ペロブスカイト発光層/有機電子輸送層/金属陰極である。擬二次元ペロブスカイトに紫外線を照射すると一重項励起状態のみが形成され明るく発光する。しかし、LED構造中では発光機構が異なる。ペロブスカイトLED中ではキャリアの再結合により一重項励起状態と三重項励起状態が1:3の比で形成される。通常は三重項励起状態からの発光は観測されない。ペロブスカイトにおいては一重項励起状態と三重項励起状態のギャップエネルギーが小さいために(<20meV)、これら状態間で移動が生じやすくなる。三重項励起状態が一重項励起状態へと変換されると、効率の良い発光が一重項励起状態から観測される。ここで、擬二次元ペロブスカイトの有機アミンとしてナフチルアミンを用いると一重項励起状態に変換される前に三重項励起状態が消滅する。本研究では、三重項励起状態を消滅させないフェニルアミンを用いるとペロブスカイトLEDの発光効率が約4倍に向上することを見いだした。
 ◆用語解説
 〇金属ハライドペロブスカイト
 金属ハライドペロブスカイトはABX3型のペロブスカイト構造を示します。Aサイトとしてメチルアミン、ホルムアミジニウムアミン、セシウムなど、BサイトとしてはPb2+やSn2+などの金属カチオン、XサイトとしてはI-、Br-、Cl-といったハロゲンアニオンが用いられます。BX6八面体が頂点共有により連結されることにより3次元構造が形成されます。BX6骨格の持つ負の電荷と電気的バランスを保つためにAサイトにカチオンが配置されます。比較的大きなナフチルアミンやフェニルアミンを添加すると、金属ハロゲン層の厚みを制御することができます。このペロブスカイトのことは擬二次元ペロブスカイトと呼ばれ、高い発光効率を示すことが知られています。金属ハライドペロブスカイトは太陽電池の光吸収層、LEDの発光層、電界効果トランジスタの半導体層、レーザーデバイスの活性層などとして用いられます。
 〇電子とホール
 電子は全ての物質を構成する素粒子でマイナスの電荷を持っています。材料から電子が1つ引き抜かれると空の部分ができます。この空の部分はプラスに帯電しておりホールと呼ばれます。
 〇一重項励起状態と三重項励起状態
 電子の持つスピンには上向きと下向きの2つの状態があります。ある分子の最高被占軌道と最低空軌道のそれぞれに電子がある場合、スピンが逆向きであるのが一重項励起状態、スピンが同じ向きなのが三重項励起状態と呼ばれます。三重項励起状態から一重項基底状態へ戻る過程はスピン反転が伴うために禁制(非発光性)となります。
 〇カチオン
 正に荷電したイオンのこと。
 〇アニオン
 負に荷電したイオンのこと。

 今日の天気は曇り。雨が降らない程度に明るい、夕方から雨?。
 近くの公園には様々な木々が植えられている。その中の”ソヨゴ”に花が咲いていた(6月20日のブログで紹介)。今日の散歩で見つけた、赤い実が沢山付いていた。
 ”ソヨゴ”は雌雄異株なので、この木は雌株。
 名(ソヨゴ)の由来は、風が吹くと葉などがこすれて音をたてて揺れる(→戦ぐ:そよぐ)様から。岡山県では「ふくらしば」・「ふくらし」と呼ぶそうで、葉を熱すると膨れて音を立てて弾ける事から。
 ソヨゴ(冬青、戦、具柄冬青)
 別名:フクラシバ(膨ら柴)
 学名:Ilex pedunculosa
 モチノキ科モチノキ属
 常緑広葉樹、中高木
 雌雄異株
 原産地は日本
 開花時期は6月
 花色は白、花弁は5枚(4枚もある)で長さ2mm程
 果実は径8mm位で、秋に稔り、橙色~赤色に熟す
 果実の色に、黄色(キミソヨゴ、と呼ぶ)のものがある



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