花のある生活

花はあまり出てきませんが。

心理学とは「心を科学的に分析する学問」

2024-01-22 | 読んだ本
手に取るように心理学がわかる本 著目白大学教授 渋谷昌三 目白大学教授 小野寺敦子


この本は「心理学の始まり」から「心の病気」まで、人間の心理全般について書かれています。

まさに「心理学を知る」のにうってつけの本。



人間は「同じモノを見ても人によって見え方が違う」と言います。

私たちは常に五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)を働かせて、あらゆる情報を取り込んでいます。

しかし、実は「現実の周囲の環境」をそのまま受け止めて見ているわけではありません。

人間の感覚に加えて「そのときの心理状態」や「今までの経験」なども合わさって、目の前の情報が重要かどうかを認識して判断しています。

ですから、同じ環境にいても「自分の感じること」と「他人が感じること」が違う、ということが起きるのです。

それから、「自分の経験や感情が合わさって感じている環境」と「現実の客観的な視点からの環境」にズレが生じていることもあります。



過去に経験したことを必要に応じて思い出せるように保持することを「記憶」と言います。

「文字や音」などを見たまま、聞いたまま保持することを「感覚貯蔵の記憶」と言い、バラバラの文字と音として認識されます。
たとえば「あかるい」という言葉は「あ」「か」「る」「い」という風に。
視覚なら数百ミリ秒、聴覚なら数秒で消失。

たとえば道行く人を「自分のタイプかどうか」をチェックしながら歩いてると思っている人も多いようだが(するのは本人の自由だけど)、通りすがりぐらいなら、他人の顔どころか服しか目に入っていないこともあるわけだし。


そこから注意を向けられた情報だけが、次の記憶過程である「短期記憶」に貯蔵されます。
視覚・聴覚の情報として入力された「あ」「か」「る」「い」の文字は、この段階で「あかるい」とつなげて認識されます。
たとえば、本や取説を読んだり、計算したり、推理したりして「認知的な課題」を遂行するために一時的に記憶を保持する作業台のようなもので「作業記憶」とも呼ばれます。

一瞬で記憶できるのは4~7文字で、15秒~30秒ほどで消失するので、この「短期記憶」を長期間とどめておくためには、この時間内に何度も反復(リハーサル効果)などして、長期記憶に送り込む必要があります。

よくあるのが、銀行の暗証番号を繰り返しながらお金をおろしに行くような感じ。


いつまでたっても思い出すことができる永続的な記憶を「長期記憶」と言います。
たとえば、幼いころの友人の名前や昔の住所など、ときに思い出すのに時間がかかることもありますが、一度、長期記憶に落ちた記憶を忘れることはありません。
忘れたと思っていてもそれは思い出せないだけで、何かのきっかけで思い出したり、という経験は誰でもあるでしょう。

「長期記憶」には言葉によって記憶される「宣言的記憶」と、自転車の乗り方のように言葉で記憶されず、体で動作を覚える「手続記憶」があります。
「宣言的記憶」には、一般的な知識としての記憶を「意味記憶」、ある特定の出来事に関する記憶を「エピソード記憶」に分けられます。

また記憶というのは、客観的に正確に記録されているわけでもなく、思い込みで事実と異なることを覚えていたり、空想と混同したりして「創作に満ちた記憶」が出来上がっていたりする場合もあります。

たとえば「自分は誰それと交際したことがある」などは「思い出が美化されている」だけならいいですが、「まったく存在しない記憶」を捏造する場合もあるので注意が必要です。



現代社会ではテレビや、ネット環境から絶え間なく情報が流されています。
外に出れば、看板や標識、お店のショーウインドや広告のポスターなど、あらゆるモノが目に飛び込んできます。

このように情報が多すぎて脳が情報処理しきれないような状況になることを、アメリカの社会心理学者ミルグラムは「過剰負荷環境」と呼んでいます。
心理的負荷の多い環境に何とか順応して自分の身を守るため、外ですれちがう人に関心を向けずに「自分のしていること」に集中したり、「マニュアル的な対応」でやり取りを最小限で済ませようとしたりするなど

「心理的な負担」を減らすため他人との接触を避け、飲み会や宴会などに参加しない、電話番号など連絡先を教えない、自分から相手を誘ったりしないなど、できるだけ他人との関わりを持たないことで「過剰負荷環境」から自分の身を守っているということです


大勢の人が暮らす都会では通勤や通学の電車のホームやバスの停留所などで、いつも同じ時間帯に乗り降りする他人を見かけることがあると思います。
このような「顔はよく見かけるけど、どこの誰かは知らず挨拶をしたこともないし、話をしたこともない見慣れた他人」のことを、社会心理学者のミルグラムは「ファミリア・ストレンジャー」と呼んでいます。

ミルグラムは実験を行い、まず通勤電車のホームで待っている乗客の写真を撮り、次の週に同じ時刻の電車に乗り込み乗客に、この写真を見せました。
その結果、1人あたり平均して4人の「ファミリア・ストレンジャー」を認識していることが分かりました。


自分の身近な生活空間にいる「ファミリア・ストレンジャー」に興味や関心を持って、何かのきっかけがあれば「お互いに知り合いたい」と考えていることもあるようですが、「相手との接点が無い状態」で相手を追いかけるような行動をとると「ストーカー」と認識される場合もありますから注意が必要です。


私たちは会ったこともない芸能人や有名人の話をするとき、まるで「良く知っている友人」のように語ってしまうことが多いと思います。
その相手の人柄を、ネットやテレビから得た情報をもとに判断することを「間接認知」と呼び、直接本人と会ってその人柄を判断することを「直接認知」と呼びます。

それに「テレビで見る印象」と「実際に会った時の印象」が違うということもよくあるでしょうから、やはり直接に対面して会話を交わすことが重要なのではと思いますがね。




はじめに

プロローグ「心理学」ってなんだろう?

「心理学とは?」 人間の心を「分析する」とはどういうことだろう?
・心を科学的に探究するのが「心理学」
・人間の存在するところには心理学がある

「さまざまな心理学」 心理学にはどんな分野があるのだろう? 
・あらゆる分野に存在する心理学

「心理学の歴史①」 心の研究はアリストテレスにはじまった
・心理学のはじまり
・自然科学と心理学の発展の軌跡
・「心理学の父」ヴントの学説

「心理学の歴史②」 現代心理学の基礎となる科学時代の心理学
・行動主義心理学の挑戦
・条件反射でなんでもできる?
・ゲシュタルト心理学の台頭
・フロイト登場~精神分析学
・日本の心理学の歴史


PART1「人間の感覚」と心理学

「脳と心」 脳と心にはどんな関係があるのだろう?
・脳がわかれば心もわかる?

「認識のしくみ」 人間はものごとをどうやって認識しているのだろう?
・同じものを見ても、人によって見え方が違う
・「認知心理学」は人間の知的活動を分析する

「情報の処理」 さまざまな情報を人はどうやって処理しているのだろう?
・無意識に行われる情報処理
・頭の中にあるネットワーク

「記憶①」 瞬間保存から長期保存まで、記憶の保存方法はさまざま
・すぐ忘れる記憶と忘れにくい記憶がある
・さまざまなかたちの記憶がある

「記憶②」 覚えたはずなのに、思い出せないのはなぜだろう?
・思い出せない記憶、失われた記憶

「記憶術」 記憶のメカニズムを利用して効果的な記憶方法を身につけよう
・記憶力をよくする5つの方法

「顔の記憶」 人は他人の顔をどうやって識別しているのだろう?
・個々の顔をどう識別している?
・子どもと大人で顔の識別能力が異なる

「視覚」 「目に映ったそのもの」ではなく、もともと知っている通りに知覚する
・目に映るものはいがいとあいまい
・錯覚にもいろいろある

「残像現象」 相手に気づかれないうちに潜在意識に働きかけることができる?
・刺激が感覚として残っている
・サブリミナル効果で人間の行動を操れる!?

「色彩」 「色」と「心」の関係を探る色彩心理の世界
・色が感情に影響を与える
・色はさまざまな場所で活用されている
・日本人が好む色とは?
・色の好みで性格がわかる?

「音楽」 心の健康に音楽を。 音楽心理学の世界
・音楽は心を健康にする
・音楽療法の方法とその効果は?


PART2「人間の成長」と心理学

「発達心理学とは?」 誕生から死に至るまでの心身の変化を解明する
・人間の発達を心理学的に分析してみる

「発達の基本」 子どもが発達でたどる道筋
・子どもの発達における主な特徴
COLUMN 人間は未成熟な状態で生まれてくる

「愛着の発達」 親子の絆はいつからはじまる?
・乳児期の母親との関係が人間関係の基礎となる
・感情は2歳までに急速に発達する
・母親との愛着関係があるから人見知りする
COLUMN 微笑みにも発達段階がある
COLUMN 赤ちゃんはぬくもりで愛着を抱く
COLUMN 親子の絆は刷り込みでつくられる?

「乳幼児期」 赤ちゃんには限りない可能性を秘めた能力がある
・赤ちゃんはなにを見ている?
COLUMN 赤ちゃんにもさまざまな個性がある

「自己の確立」 子どもはどうやって自己を確立していくのだろう?
・赤ちゃんが持つ母親との一体感
・少しずつ自己を確立していく

「知的発達」 生まれた瞬間から知的発達がはじまる
・子どもから大人までの知的発達の過程

「頭のよさ」 「頭がよい=知能指数が高い」は本当?
・「頭がよい」ってなんだろう?
・IQが高ければ頭もよい?
・天才の家系はあるのか?

「知能と創造性」 知能が高ければ創造性も高い?
・創造性は思考の柔軟性に負うところが多い
・知能と創造性の関連性は低い
・「創造性豊かな人」とはどんな人?
・頭のよさだけでなく心の豊かさも大切

「やる気と行動」 やる気はどこから湧いてくるのだろう?
・「やる気」とはなんだろう?
・本物のやる気は内側から湧いてくる
・パヴロフとスキナーが発見したメカニズム
・失敗続きで無力感に陥ることも・・・・・・
COLUMN 嘘でもいいから高い評価を!?
COLUMN 期待がやる気を引き起こす――ピグマリオン効果

「子どものしつけ」 子どもはマネをして成長していく
・親の態度が子どもの性格に影響する
・子どもにとって親は一番身近なモデル
・モデリングによる”しつけ”

「ギャング・エイジ」 子ども同士の遊びの中で社会のルールを身につける
・遊びの中で社会性が育まれる
・道徳観が生まれ社会のルールを学ぶ
・消えつつあるギャング集団

「反抗期」 子どもの成長には反抗期が欠かせない
・第一反抗期は正常な発達の証し
・第二反抗期は大人への登竜門
・大人であるための条件

「発達のつまづき」 軽度発達障害は早めの発見と適切な援助が大切
・軽度発達障害とは?

「青年期」 アイデンティティを確立し子どもから大人へ脱皮する
・アイデンティティの確立は青年期の重要課題
・大人になることを先延ばしにする
・「モラトリアム人間」は現代社会の象徴!?
COLUMN 青年期に起こる身体の変化「第二次性徴」
COLUMN 青年期を卒業できない現代人

「成人期」 人生で最も充実するはずの成人期にはストレスも多い
・成人期は人生の正午
・成人期の発達課題とは?
・体力の衰えと責任の増大でストレスが生まれる
・ストレスによる出社拒否や帰宅拒否
・中年期クライシスから脱却するためには?
COLUMN 男性にも増えている更年期障害
COLUMN 増加し続ける熟年離婚

「高齢期」 幸福に年齢を重ねていくために大切なことは?
・生涯発達における「高齢期」のとらえ方
・幸福な老いを迎えるための3つの理論
COLUMN サクセスフル・エイジングとプロダクティブ・エイジング
COLUMN 年齢とともに大きくなるアフォーダンス知覚と現実のズレ


PART3「性格や感情」と心理学

「性格とは?」 人は仮面を付け替えるように人生を演じている?
・パーソナリティとキャラクター
・「個性」とはなんだろう?

「性格の分類」 性格の分類方法にもいろいろある
・2つの性格分類「類型論」と「特性論」
・ユングの性格分類――内向型と外向型
・体形で性格がわかる!?
COLUMN 五大特性で人間を捉えるビッグ・ファイブ説

「フロイト」 フロイトは人間の心をどのようにとらえていたのだろう?
・心理学上の新見地を確立したフロイト
・フロイトは意識を三層で考えた
・自我防衛機制は自分を守る心の動き
・フロイトが唱えたリビドーとは?
・夢からわかる心の動き

「ユング」 フロイトと袂を分かち、分析心理学を立ち上げたユング
・ユングとフロイト~出会いと別れ~
・「コンプレックス」はユングがつきとめた
・内向型・外向型「タイプ論」の裏話
・フロイトとは異なるユングの無意識説
・人は誰でも無意識の仮面をかぶっている

「夢①」 現実では満たされない思いを充足させるために夢を見る
・睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠の繰り返し
・一晩に4~5回の夢を見る
・夢を見られなければイライラが・・・・・
・夢は睡眠の保護者
COLUMN どうして同じ夢を何度も見るのだろう?

「夢②」 フロイトとユングは夢から心を分析しようとした
・フロイトは抑圧された願望を読み取った
・ユングは夢の解釈法にこだわった
・ユング派の夢分析の特徴
COLUMN 正夢は本当にある?
COLUMN ステッキは男性器、箱は女性器のシンボル!?

「夢③」 自分の夢を分析してみよう
・夢にはメッセージが隠されている

「遺伝と性格」 性格は遺伝と環境が作用し合ってつくられる
・性格は生まれつき?
・双生児研究が明らかにしていることは?

「きょうだいと性格」 兄は兄らしい、妹は妹らしい性格になる理由は?
・親の接し方が性格をつくる
・きょうだいの役割に応じた性格になる
COLUMN きょうだいはナナメの関係にある

「性格テスト」 本当の自分がわかる? 性格テストの種類と方法
・性格テストは大きく3つに分けられる

「男らしさ・女らしさ」 男は「男らしい」、女は「女らしい」ほうがよい?
・異性から見た男らしさ、女らしさ
・「らしさ」は時代とともに変化する
・「男らしさ」も「女らしさ」も大切
COLUMN 社会によってつくられる性差「ジェンダー」

「血液型と性格」 「B型は自分勝手」「A型は神経質」は本当?
・血液型性格判断に科学的な根拠はない
・血液型性格判断が人気の理由は?

「嘘」 なぜ人は「嘘」をつくのか?
・人間は誰でも嘘をつく
・嘘は身体にあらわれる
COLUMN 子どもの嘘は自立への第一歩
COLUMN 「すっぱいブドウの論理」

「感情」 一番最初に生まれた感情は「恐怖」だった
・「恐怖」は命を守る感情の働き
・学習によって感情も身についていく

「怒り」 アドレナリンの分泌が引き起こす怒りとイライラ
・満員電車でイライラする理由は?
・男性は狭いところにいると怒りっぽくなる
COLUMN いつも怒っている人は早死にする!?

「欲求不満」 満たされない欲求を持つから上を目指そうとする
・生きるために必要な欲求
・大切なのは自分の人生に意味を見出すこと

「コンプレックス」 嫉妬や恐怖心の裏にはコンプレックスがひそんでいる
・コンプレックスは誰にでもある


PART4「社会・人間関係」と心理学

「情報化社会」「都会の人間が冷たい」のは氾濫する情報から身を守るため
・情報が多すぎて処理しきれない
・他人との関わりを避けて身を守る

「他人」赤の他人と知り合いの間のファミリア・ストレンジャー
・見慣れた他人、ファミリア・ストレンジャー
・あいさつを交わす仲になれば親しみを持てる
COLUMN 匿名性が人を大胆にさせる

「集団心理」 集団思考にとらわれると真実が見えなくなる
・結束の固さを強さと混同する
・みんなでやれば怖くない?
COLUMN 多数決が正しいとは限らない
COLUMN 少数の力――マイノリティ・インフルエンス

「同調性」 知らず知らずのうちに考えや行動を集団に合わせている
・所属する集団の色に染まっていく
・多数派の意見に流されてしまう

「援助行動」 集団が大きくなればなるほど人を助けなくなっていく
・「誰かが助けるだろう」という心理
・顔見知りの相手なら助けるけど・・・・・
COLUMN 集団は個人の意見を極端にする

「パニック」 不安や好奇心があおられ、恐怖が伝染する?
・火星人襲来!? 本当にあった大パニック
・人がパニックに陥る理由は?
・暴動の引き金を引く「アジテーター」
・協力して行動する冷静さが必要
COLUMN 流言もデモも社会不安から広まっていく
COLUMN 群衆が暴動を起こすとき

「集団のかたち」 それぞれの集団にはそれぞれのネットワークがある
・人が集まれば人間関係が生まれる
・作業に最適な集団のかたちとは?
COLUMN 集団心理を研究したモノ
COLUMN 集団形成の条件とは?

「対人恐怖」 相手にどう思われているか気になってしかたがない
・「あがり」はなぜ起きる?
・他人が怖い「対人恐怖症」

「パーソナル・スペース」 対人関係をよくするための絶妙な間合いがある
・パーソナル・スペースに侵入すると嫌われる?
・パーソナル・スペースが生理にも影響を与える
・集団生活のストレスが身体に及ぼす影響
COLUMN 握手戦術で人の印象はこうも変わる
COLUMN 言葉遣いも距離感が大事

「相手の気持ち」 本音を知るための心理テクニック
・感情や表情とはなんだろう?
・表情から相手の気持ちを見抜くのは難しい
・瞳の大小で相手の本心を見抜く
・視線の合わせ方で相手の性格を見抜く
COLUMN 人の気持ちを理解するために大切な非言語コミニュケーション
COLUMN コミニュケーションを豊かにするパラランゲージの力

「印象」 人の印象はどのように決まるのだろう?
・たった一言で印象が大きく変わる
・言葉の順番でも印象は変わる
・矛盾したイメージを受け入れられる?
・自分のイメージをよくするためには?
COLUMN 会ったこともない有名人を友人のように語ってしまう理由?
COLUMN ステレオタイプに要注意
COLUMN 人は地位や肩書に左右される

「説得の心理」 相手の意見や態度を変えさせるテクニック
・説得により相手を変える
・説得のテクニック

「取引・交渉」 最大の利益を得る戦略を探る「ゲーム理論」
・零和型ゲームでは得点の和が常にゼロになる
・非零和型ゲーム「囚人のジレンマゲーム」
COLUMN 宣言すればやらざるを得ない?

「リーダーシップ」 よいリーダーは環境が育てる
・リーダーは環境でつくられる
・リーダーシップは「PM理論」で説明できる
・状況に応じてPとMを使い分ける
・あなたのリーダーシップ類型は?

「人心掌握術」 人は「平等」よりも「公平」を求めている
・「公平分配」と「平等分配」は異なる
・不公平感を感じた者はどんな行動をとるか?

「会議」 どの席に座るかで会議の行方が変わってくる
・参加者の気持ちが席順に出る
・正面の相手には要注意
・おいしいもので会議や交渉を有利に
COLUMN バンドワゴン・アピールで発言に花を添える?

「商売の心理」 商売の裏にある顧客の心をつかむためのテクニック
・商売はテクニック!?

「広告宣伝の効果」 同じCMを何度も繰り返す理由は?
・CMは繰り返すことに意味がある
・面白い宣伝は視覚的にも選別される

「いじめ」 「いじめ」には複雑な背景がある
・子ども同士のいじめの背景とは?
・「いじめる心理」と「いじめられる心理」
COLUMN 生徒の心をケアするスクール・カウンセラー

「恋と性欲」 恋は<生理的興奮→性的興奮>で生まれる!?
・恋愛感情を芽生えさせるコツがある?
・ドキドキの勘違い
・青年期は一目惚れが起こりやすい?
COLUMN 得難いものほど価値がある――ロミオとジュリエット効果
COLUMN 知れば知るほど好きになる――単純接触効果

「カップル」 自分と似ているけど違う人に愛情を感じる
・人間は分相応の相手を選ぶ
・似ていればよいというものではない
COLUMN 結婚から3年経つと女性は幸福ではなくなる
COLUMN 愛と憎しみは紙一重


PART5「心の病気」と心理学

「ストレス」 身体的・心理的な刺激によって体にさまざまな障害が起きる
・外部の刺激で心と体が歪む
・ストレスは行動のエネルギーでもある

「心と体」 性格や心の状態から病気になることもある
・身体の病気に隠された「心の病気」
COLUMN 「笑い」で健康になる

「精神疾患」 人はなぜ心を病むのだろうか?
・さまざまな精神疾患
COLUMN 神経疾患の診断マニュアル――DSM‐Ⅳ‐TRとは?

「パーソナリティ障害」 世の中にいる、ちょっと風変わりな人々
・性格の偏りのため、生きにくい

「アディクション」 アルコール、買い物、人間関係・・・・・・さまざまものに依存する
・アディクションは大きく3つに分けられる
・物質嗜好の代表――アルコール依存症
・プロセス嗜好の代表――買い物依存症
・人間関係嗜好の代表――共依存症
COLUMN 生きにくさを乗り越える「アダルト・チルドレン」
COLUMN 夫婦・恋人間の暴力――ドメスティック・バイオレンス

「トラウマ」 強いショックやストレスはトラウマやPTSDとなる
・つらい経験がトラウマを引き起こす
・外傷体験を再体験するPTSD

「流行症候群」 時代が生み出すさまざまな流行症候群
・時代と共に移り変わる

「自殺」 自殺の深層心理を探る
・死にたい・殺したい・殺されたい欲求
・自殺未遂者は青年に多い
・自殺者の半数はサインを送っている

「心理療法」 心の健康を取り戻すためのさまざまな心理療法
・心理療法の種類はさまざま
COLUMN カウンセラーに対する特殊な感情「転移」

「カウンセラー」 心の病を癒すカウンセラーという仕事
・カウンセラーに必要な「聴く」技術とは?
COLUMN 心理学に関する仕事にはなにがある?

50音順索引&人物解説




認知バイアスとは何か

2023-07-10 | 読んだ本
情報を正しく選択するための 認知バイアス事典 世界と自分の見え方を変える「60の心のクセ」のトリセツ  
著 情報文化研究所(山崎紗紀子/宮代こずゑ/菊池由希子) 監修 高橋昌一郎(情報文化研究所所長)


一般的に「バイアス」というのは折り目に対して斜めに切った布の切れ端のことで、そこから「かさ上げ・偏り・歪み」を指すようになった言葉。

「認知バイアス」とは偏見や先入観、固執断定や歪んだデータ、一方的な思い込みや誤解などを幅広く指す言葉として使用されている。


「自分は偏見を持っていない」「自分はだまされないぞ」と思う人でも、読めば「目からウロコが落ちる」ような本。


よくある心理学には「認知的不協和理論」があり、「自分の本音と実際の行動が矛盾しているなど、自分の中で一致しない複数の意見を同時に抱えている状態」。

ある実験を行い、この実験に参加した男子大学生は、単調で退屈な作業を1人で1時間繰り返すことを要求された。

そして、次の実験に参加するために別室に待機している学生に対して「実験は大変面白かった」と話すように実験者から依頼され、そのアルバイト代として「1ドル」または「20ドル」と被験者によって提示される金額が異なっていた。


次の参加者として待機していた女子学生(実はサクラ)へ「実験は面白かった」と伝えた男子学生は、次に別室に連れていかれ、インタビュアーに「実験の今後の改善のため」として「作業に関する面白さ」について率直な意見を求められた。

参加者の学生がー5(非常に退屈だった)から+5(非常に面白かった)まで11段階で回答した。


実験者が注目していたのは、最後に答えてもらった「作業に関する面白さの度合い」についてである。


アルバイトの報酬として「20ドル」を提示された条件では、比較として「アルバイトを実施しなかった条件」との差があまり見られなかった。

一方、アルバイトの報酬として「1ドル」を提示された条件では、「アルバイトなし条件」「20ドルをもらう条件」より「作業が面白かった」と答えた割合が統計的に多かった。


結果として、報酬として「20ドル」を提示された学生より「1ドル」を提示された学生の方が「作業が面白かった」と答えた割合が多かったのである。

実験結果が意外に思われるかもしれないが、男子学生は「『作業がつまらない』という本音の意見」「女子学生に向けて言わされた『実験が面白かったという感想』」の2つの感情を抱えることになる。

このように「矛盾する意見を同時に持つ」という状態は、精神的に「居心地の悪い状態」を引き起こす。(この状態を不協和と呼ぶ)


報酬に「20ドル」を提示された学生は、「他者に『面白かった』と伝える役」に対しての報酬に「20ドル」が提示されているので、不協和を感じる気持ちにも「納得のいく理由づけ」が出来るため、精神的な負担が少なくなる。

要するに「本当は退屈だと思ったけれど、対価をもらって「面白い」と言ったのだから、それでいい」。


報酬が「1ドル」だった学生は、「本当は退屈だったが、他者に「面白かった」と伝える役」という不協和を感じる状態に「居心地の悪さ」を感じているが、報酬が「1ドル」なので不協和の感情を減らすことが出来ず「自分が面白いと思ったから『面白い』と伝えたのだ」と置き換えることで、精神的な負担を減らそうとする。

要するに、自分自身をだましてでも「自分のしていることは有益だ」と思いたい「甘いレモンの論理」だろうか。



「公正世界仮説」では「良い行いには良いことが、悪い行いには悪いことが返ってくるとする認知的な偏りのこと」

関連する語には「心理的リアクタンス」があり、「自分の選択や行動の自由を制限されるように感じると、制限されるものに対して反発し、逆らう行動をとること」


子供の頃に悪いことをすると親や先生などから「罰が当たるよ」と言われたり「自業自得」「因果応報」という言葉もあるし、「好意の返報性」という言葉もある。

ある実験で実験参加者に、他人が様々な条件下で電気ショックを受ける状況を見せて、参加者の感情がどう変化するかを見る実験で「電気ショックを受けて苦しむ姿」を見続けていると、実験が進むにつれて「電気ショックを受けている人」を蔑むようになっていくことが分かった


研究者たちは、参加者の感情に変化が生じた理由について「電気ショックを受けて苦しんでいるのは、本人の行いが悪いからに違いない」と考えるようになったため、と結論付けた。

「日頃の行いが良ければ良いことが、日頃の行いが悪ければ悪いことが返ってくる」「その行動にふさわしい結果がその人に降りかかる」「本人の日頃の行いが悪いから、ひどい目にあったのだろう」とする考え方。


「本人には何の落ち度もないのに苦しんでいる人がいる」という現実を直視すると「自分も理不尽に傷つけられることがあるかもしれない」「ひどい目に遭うことがあるかもしれない」という不安な気持ちから逃れるために「公正世界仮説」を信じるのだろうということ。

犯罪の被害者、生活保護を受けている人などの「社会的弱者」に対して世間の反応が厳しくなるのは、裏に「このような心理」があるからなのだろうか。



「覆面男の誤謬」では「置き換えについての知識不足によって生じてしまう誤謬」

関連する語には「四個概念の誤謬」があり、「三段論法で用いられる概念に4つ目を加えることで生じてしまう誤謬」

若い人が知っているかどうかは分からないが、映画のスーパーマンでは「クラーク・ケント=スーパーマン」という設定がおなじみ。

バットマンなら「ブルース・ウエイン=バットマン」という設定。


例えば、ある女性はクラーク・ケントの知り合いではあるが「クラーク・ケントがスーパーマンである」ということは知らない

ある日、女性は知人から「あなた、スーパーマンと知り合いなの?」と聞かれたが、「クラーク・ケントがスーパーマン」だとは知らない女性は、知人に「知り合いなわけないでしょ」と答えた


この女性は「クラーク・ケントとは知り合い」なので、女性が「クラーク・ケント=スーパーマンである」ことを知らなくても「スーパーマンと知り合いである」という表現は成り立つ

女性が「クラーク・ケント=スーパーマン」だということを知らなくても成り立つ、というところに納得がいかないが、そういうことになるらしい。


「クラーク・ケントと知り合いである」「クラーク・ケントはスーパーマンである」だから「スーパーマンと知り合いである」と置き換えても表現の仕方に偽りはない、ということである。


しかし「置き換えのできない特殊な命題」も存在する。


ステップ1 ある女性は「クラーク・ケントが冴えない男だ」ということを信じている。

ステップ2 「クラーク・ケント」を「スーパーマン」で置き換える。

ステップ3 ある女性は「スーパーマンは冴えない男だ」ということを信じている。


文の中に「信じる」「愛する」「望む」「疑う」というような動詞が含まれる場合、行為の主体(その行為を行う人)の主観やとらえ方が、文の成立にも影響を与える。

この場合「ステップ1」が成立しているからといって、「ステップ2」の置き換えにより「ステップ3」が成立するわけではない、ということになる

よって、「クラーク・ケントは冴えない男であると信じている」「クラーク・ケントはスーパーマンである」、だから「スーパーマンも冴えない男であると信じている」は置き換え不可である


「冴えない男だと思っていたら実はスーパーマンだった」というパターンは、それこそ「変身ヒーローもの」の醍醐味だったりするので、それはそれでいいけど。

そもそも「信じる」「期待する」という感情は、必ずしも「客観的な事実」なわけではないかもしれないわけだし


その他にも「二分法の誤謬」では「実際にはより多くの選択肢が存在するにもかかわらず、限られた選択肢しかないと思い込んでしまうことにより生じる誤謬」

「お前だって論法」では「相手の主張が本人の振る舞いと食い違っていることを指摘し、論点をそらすことで相手を負かそうとする論法」

「感情移入ギャップ」では「対象に対して怒りや好意など何らかの感情を持っていると、その感情を持たない視点から考えることが難しくなってしまうこと」


人間は主観に左右される生き物だし、自分を守るために「客観的な現実」をあまり重視していないのかもしれない。



監修者まえがきー「認知バイアス」とは何か?

第Ⅰ部  認知バイアスへの論理学的アプローチ
  01 二分法の誤謬
  02 ソリテス・パラドックス
  03 多義の誤謬
  04 循環論法
  05 滑りやすい坂論法
  06 早まった一般化
  07 チェリー・ピッキング
  08 ギャンブラーの誤謬
  09 対人論法
  10 お前だって論法
  11 藁人形論法
  12 希望的観測
  13 覆面男の誤謬
  14 連言錯誤
  15 前件否定
  16 後件否定
  17 四個概念の誤謬
  18 信念バイアス
  19 信念の保守主義
  20 常識推論


第Ⅱ部  認知バイアスへの認知科学的アプローチ
  01 ミュラー・リヤー錯視
  02 ウサギとアヒル図形
  03 ゴムの手錯覚
  04 マガーク効果
  05 サブリミナル効果
  06 吊り橋効果
  07 認知的不協和
  08 気分一致効果
  09 デジャビュ
  10 舌先現象
  11 フォルス・メモリ
  12 スリーパー効果
  13 心的制約
  14 機能的固着
  15 選択的注意
  16 注意の瞬き
  17 賢馬ハンス効果
  18 確証バイアス
  19 迷信行動
  20 疑似相関


第Ⅲ部 認知バイアスへの社会心理学アプローチ
  01 単純接触効果
  02 感情移入ギャップ
  03 ハロー効果
  04 バーナム効果
  05 ステレオタイプ
  06 モラル信任効果
  07 基本的な帰属の誤り
  08 内集団バイアス
  09 究極的な帰属の誤り
  10 防衛的帰属仮設
  11 心理的リアクタンス
  12 現状維持バイアス
  13 公正世界仮説
  14 システム正当化バイアス
  15 チアリーダー効果
  16 身元の分かる犠牲者効果
  17 同調バイアス
  18 バンドワゴン効果
  19 ダニング=クルーガー効果
  20 知識の呪縛




自分の「心理的な現実」に気づくために

2023-06-25 | 読んだ本
心の整理学 自分の「心理的な現実」に気づくために  加藤諦三


例えば「自分がある人から好かれていない」ことに気づいたとき、どうするか。

「その人との関係は?」と考えてみると、「昔からの親しい友人」なのか、「職場で顔を合わせるだけの同僚」なのか、「お店の常連客」なのかで、どの人が自分にとって重要なのかを考えたとき「接点の少ない人から無理に好かれていなくてもいい」ということもある。

性格的にも「気さくに話をする人」「気難しくて話しかけにくい人」がいるから、単純に話しかけにくいだけで「嫌われているわけではない」ということもある。


そう考えると「そこまで気に病むことではないな」と思えたり、それでも気になってしまうのは「自分が八方美人だから悩んでいるんだ」と自分を理解できるかもしれない。


逆に「ある人から自分が好かれていると思いたい」のに思い通りの展開にならないとき。

・頭の中で妄想を繰り広げているだけで、自分から相手に誘いをかけるなどの積極的な行動がない「頭でっかち型」
・どうでもいいことには「気遣い」を回してくるが、本質的な想像力がない「本末転倒型」


まったく別の人としゃべっているのに「自分に話しかけている!」「自分に気があるはず!」と言いがかりをつけてきたり、ことあるごとに「彼氏が欲しいはず」「結婚したいはず」「独身だと経済的に困るはず」などと言っては、相手の環境に割り込んで自分の世話をしてもらうことしか考えていないようなことを言う人が多いけど・・・。

これは、要するに「モテない・カッコ悪い自分を認めたくない」という自己防衛の心理なのか、とか。


「八方美人は心の整理が出来ていない人の典型的な例である」と著者は説いている。

「八方美人は『この人との関係はこう』と決められないで、誰かれ構わず皆に良い顔をしようとする。 そしてそれが出来なくて悩む。 結局、無理をするだけで誰からも本当には好かれない。 信頼されない。 その結果、周りにいるのはユーザーばかり。 つまり、その人を利用しようとする人ばかり。」


「燃え尽き症候群」になるような人も同じで、「つまり自分にとって何が大切で、何が大切でないかが整理されていない。 したがって努力に努力を重ねても結果は最悪になる。 現実の自分の能力には限界がある。 体力にも限界はある。 一日、二十四時間、働いていられるなら良い。 しかし、それぞれの人には必要な睡眠時間がある。 そうなれば自分はこの仕事はするが、あの仕事はしないという区別がつく。」


「『この仕事』と『あの仕事』は同じように重要なのではない。 現実の自分を考慮に入れたときに、あの仕事はしない、という選択肢が当然出てくる。 さらに仕事と健康の選択も出てくる。 人は誰でも同じように体力があるわけではない。 そうなれば、この仕事はしたいけど自分の体力では無理だ、という判断ができる。」


「燃え尽き症候群になるような人は、仕事と健康という選択もできない。 健康が第一ということが分かっている人は、当然、身辺のいろいろな選択ができる。 優柔不断な人は、あれもこれもと欲張りながら、最後は健康を害して迷惑をかけてしまう。 称賛を得たい。 成功したい。 それを優先しすぎて体を壊すのが燃え尽き症候群である。」

「称賛を得たい。 成功したい。 そのこと自体は悪いことではない。 しかし自分の欲求の整理が出来ていない。 これとあれと、どちらが自分にとって大切か? その判断ができれば心の整理は出来てくる。 心の整理が出来れば悩みは激減する。」 



人間の三大悩みは「お金」「健康」「将来(夢)」。

生きていればいろいろ悩むこともあるし、どうするべきか迷うこともある。

世の中は良いことばかりではなく、嫌なこともある。


悩んでいる人は、その「嫌なこと」を心の中で実際以上の大きさにしてしまう。

例えば「10キロ」の重さの嫌なことを、自分の中で「100キロ」の重さの嫌なことにしてしまう。

これが「悩みを顕微鏡で見る」と言われるものである。


生きている以上は「嫌なこと」は毎日のように出てくる。

そして小さな「嫌なこと」であっても、それが続くとエネルギーが無くなるから自信を無くす。

その「10キロの嫌なこと」を「100キロの嫌なこと」しないで、スリム化するのが「心の整理学」なのだという。



人間の心理は難しいですね。



まえがき

第1章 最悪を考えると、今がラクになる

マイナスに気を取られると悩みが大きくなる
ずるい人は、まず大きな要求をする
比較して考えると、苦しみの位置が見えてくる
コントラストの原理


第2章 心の整理とは現実を見つめること

一 イラショナル・ビリーフ
誰にとっても嫌なのか、自分にとって嫌なのか
心の持ち方で悩みは変わる
「『べき』の暴君」に支配されていないか
エネルギーの無駄遣いは止めよう
現実に向き合うと心の整理ができる


二 心の整理、それは「べき」や「ねばならない」を一つひとつ整理すること
実際の自分を受け入れられないと無謀なことを言う
あれもこれもと欲張るから疲れてしまう


三 自分がない人は優先順位がつけられない
感情の通い合いができない人
「良い人」とは「自分に合った人」
自分がないと皆に好かれようとする


四 嫌いなことか、大変なことか
嫌いなことは、エネルギーを消費する


第3章 燃え尽きる人は捨てられない人

一 捨てる
すべてを得ようとすると、すべてを失う
目的が分かればエネルギーは出る
好き、嫌いをハッキリさせる
過去を振り返って、好きか嫌いか考えよう
捨てるから、新しいものが得られる


二 焦点を絞る
あなたにとってどちらが大切か


三 目的を持つ
目的がないと選択はできない
捨てるには意志がいる


第4章 思い込みが苦しみを作る

過去にとらわれていないか
本当にダメかどうか整理する


第5章 どこが耐えられないか自問する

不幸を想像するのを止める
耐えることは美徳とは限らない
感情を出して行動できたとき、達成感が生まれる


第6章 ものごとは解釈によって変わる

楽観主義者と悲観主義者の解釈の違い
解釈の仕方を変えてみる
困ったら自問自答しよう
人間は言葉に頼ると、ものが見えなくなる
カテゴリーでものごとを考えないーーうつ病患者の考え方の特徴ーー


第7章 高すぎる期待が不幸を生む

心を整理するとは、苦しみの原因を知ること
自分を知らないと人生を間違える
自分の思うようにならなくて当たり前
失敗以外のものに目を向ける
悪いことが起こったら、良いこと探しをする


第8章 心の眼で見なければ真実は分からない

限界が分からないと達成感は得られない
最高ではなく最善を目指す
心の眼で自分の位置を見る
抑制型と非抑制型
眼には見えない心理的なハンディキャップ
怒りや恐怖にとらわれると、何が重要か分からなくなる
心に品格がある人とは
心の眼で見ると、世の中が違って見える
あなたは本当に弱い人か
努力と忍耐が心に品格をもたらす


あとがき




人間はなぜ「妬む」のか

2023-04-20 | 読んだ本
正しい恨みの晴らし方 科学で読み解くネガティブ感情  中野信子+澤田匡人 

脳科学者と心理学者が「人間はなぜ妬むのか」を、脳科学と心理学の見地から解き明かした本。

人気の脳科学者の人が書いているので手に取ってみたけど、すごいタイトルだね~。



人間は「自分より優れている人」「自分が持っていないモノを持っている人」「自分より早くこれらのモノを手に入れた人」というように、家柄、財産、個人の才能や能力、年齢、容姿の美醜、身長の高低、地位や肩書など・・・あらゆるものに「妬みの感情」を持ちます。


「妬みを感じる」というのは、その対象が「自分にとって大切なモノ」で、相手の方が優れているという状況を察知しているから

その時点で、相対的に「自分の評価は相手より劣っている」と認識され、自身のプライドが傷つきます。

自分と自分以外の人間を比較することで自己評価が下がり、それに伴ってネガティブな感情が生じます。

しかし、自分の周りにいる人間を誰でも「妬みの対象」にしているわけでもありません。


自分自身の環境から、あまりに「能力や格が違う相手」や、全く環境の違う「別世界の人間」を妬みの対象にすることは少なく、むしろ、自分と相手とは同等、またはわずかの差しかない「自分に近い他者」に強い妬みを感じるといわれています。


例えば、年の近い兄弟姉妹や、学校の同級生・職場の同僚、友人などで、場合によっては親と子の間でも「妬みの感情」はあるのかもしれませんし、テレビの視聴中やSNSで見ただけの「年齢の近い他人」「境遇の似た他人」でも「妬みの感情」が生じることもあるかもしれません。



心理学では「うらやましい」に近い感情を「良性妬み」、ネガティブなニュアンスが強い敵意を持った妬みを「悪性妬み」と分けて考えるのがトレンドなのだそう。

日本語だと「妬み」も「嫉妬」も、ほとんど同じような意味で使われていますが、英語では「enby(妬み)」「Jealousy(嫉妬)」と別々の単語があります。

学術上では「妬み」と「嫉妬」は似ているようで、それぞれ別々の感情だとされています。



「妬み(enby)」は、自分の持っていない「何らかの好ましい価値のあるモノ」を自分以外の誰かが持っていて、それを自分も手に入れたいと願うあまり、その相手に対して生じる不快に思う感情。

「嫉妬(jealousy)」は、自分が持っていると思っている「何らかの好ましい価値のあるモノ」を自分以外の誰かが奪いに来るのではないかという可能性があるとき、その相手を排除したいと願う不快な感情。



例えば「自分に自信を持っているのに、相手から評価されない」「自分に対する称賛や尊敬がない」と感じるときなど。

これも「自分よりも○○の方がいいのか!」ということで、「自分の持っているモノに魅力がない。 別の魅力を持った人間に奪われる、不安だ」となり「強い嫉妬」を感じる、ということに。

要するに、これは「私は大勢の人たちから支持されているのに、何であなたは私を支持してくれないの?」と言っているようなもの。


それなりに大勢の人たちから支持されているから「自分に自信を持つことが出来ている」わけだが
だからといって一人でも「自分に関心の無い人」がいると、その人につられて行ってしまうかもしれない、と考えるのは自信があるのか無いのか矛盾しているし。

私からすると「そんなに大勢の人から支持されているなら、それでいいじゃない」と思うけど。

要するに「自分の信念から来た自信」じゃないんだね。



第6章 愛が憎しみに変わるとき「ストーキングが止まらない」では、「ストーカー加害者」の傾向には
1.確固たる心理的動機があり、正当性を妄想的に信じ込んでいる。
2.相手を一方的に追い詰め、迷惑をかけていることを自覚しながらも、相手に好意を持たれる望みをかけている。
3.その望みが絶たれた時、心のバランスは憎しみに反転し、自殺または相手を殺害することもある。

ストーカー加害者の多くは、法を犯してまで相手に復讐する権利があると思い込んでいて、「こんな自分がフラれるなんてありえない」「信頼関係を裏切られた」「相手が間違っている」と被害者意識を持ち、相手に何らかの対応を要求し続ける執念深さもあります。


ストーカーの種類には
・別れた元の交際者がストーカー化した「拒絶型」
・望んだ相手と相思相愛の関係になろうとする「親密追求型」
・距離の詰め方が極端に不器用なので、結果的にストーカーとみなされる「不適格型」
・何らかの性的嗜好を満たしたいがために、被害者を「自分の獲物」とみなし、追いかけ回す「捕食型」
・「被害者意識」と「正義感」を持ち、自分を侮辱した相手を執拗に追いかける「恨み型」


現実の恋愛関係だけではなく、相手の知らないところで一方的に追い回しているようなときは、なおさら「自分の期待どおりの行動」を得られることは無いでしょう。

嫉妬をこじらせて「恨みの感情」まで行ってしまうと、さらに問題の解決が難しくなってしまいます。



人は「自分以外の人間が『タイミング良く得をする場面』を見たとき」などに「ズルい」と言いますね。

これも「妬みの一種」で、自分よりも得をしていると思われる人間を見ると「不正な手段を使っているのだろう」「その幸運を手に入れるのに相応しくない」と考え、不快な気分になります。

例えば、割引になっている商品をポイント〇倍の時に買い物したとか、「ショップのカードのポイント」と「楽天ポイント」が同時に付くような場合とか、ほとんどは快く対応してもらえますが、時には、あまりよく思わない店員さんもいるようです。

サイトで先着順でポイントが多く付く「ポイント預金」がなぜか申し込めない状態になっているのも、そうなんだろうけど。

たぶん、そんなに裕福でもない人間がポイント貯めたりして「お得な買い物をしている姿」が気に入らないのでしょうね。

この場合は「その幸運を手に入れるのに相応しくない」と考えている、ということかな。



「第9章 私たちのネガティブ感情とのつき合い方」で、著者2人の対談が載っているのだけど、ここで

「達観していると思われるかもしれませんが、実は一番苦しんできたのが脳科学者や心理学者ではないかと思います。 なぜなら、羨み、妬み、恨みなどのネガティブ感情と言われるものに人一倍敏感な人が心理学者や脳科学者になりたいという動機を持ちやすいからです。 ネガティブ感情に対して意識的で苦しみやすいため、何とかしたくて学び始めるのです。」

「脳科学者も心理学者も、それぞれの視点や方法でネガティブ感情に取り組んでいますが、共通点は「苦しみながら生きている自分」というレイヤーとは別のレイヤー、つまり学者という立場を得ることで、その苦しみを客観的に見ることができる。 そういう回避方法を使えるということです。 これが学問の良いところです。」

「メタ認知と言いますが、自分自身の感情の動きに対して、学問という見方をすることによって、ネガティブ感情による苦しみをダイレクトに受けて傷つくことを避けられます。 すると意識的にショックを和らげることができるようになります。」


「自分自身のネガティブ感情」の扱い方も難しいけれど、「他人のネガティブ感情」に対する扱い方はもっと難しい。

他人は自分の思い通りに動くわけではないし、自分が悪いわけでもなく、いきなり意地悪されたり、八つ当たりされたりすることも多いから。

そんなところから私も「心理学」に興味を持ったわけだけど、そこから学問を究めて学者として成功しているのは、すごいことだと思う。


興味を持ったことを調べて知識を得るということは良いことだ。




目次

はじめに

第1章  恨まずにはいられない~心理学の視点から①
なぜ怒り続けられるのか/不条理が許せない/見返しとプライド/仕返しの流儀/代理報復と集団/シャーデンフロイデと癒し

第2章  妬みと羨みの心理学~心理学の視点から②
なぜリア充が気に入らないのか/持たざる者の悪意/妬みをもたらす微妙な差/羨みと妬みの狭間で/飼いならされる妬み/感情のシーソーゲーム/妬みに操られないために

第3章  妬みを感じるとき、脳では何が起こっているのか~脳科学の視点から①
妬みと嫉妬の違い/妬みを感じる脳/他人の不幸を喜ぶ脳/妬み続けられるのは人間だけ?

第4章  正しさにこだわる人たち~心理学の視点から③
なぜ必殺仕事人が好まれるのか/魅惑のゴシップ/這い寄る同調圧力/いじめを正当化するもの/みんなで恨めば怖くない/正しさで鈍る正しさ

第5章  正義という名の麻薬~脳科学の視点から②
「道徳的攻撃」の快感/処罰感情と生贄――スケープゴート現象/あの人は罰を受けて当然?――「いじめられる側にも理由がある」の心理/正義が凶器になる時

第6章  愛が憎しみに変わるとき~心理学の視点から④
なぜ既読スルーが許せないのか/リベンジポルノと恨み/こじらせた嫉妬/ストーキングが止まらない/愛憎の連鎖を断ち切れるのか

第7章  嫉妬の脳科学~脳科学の視点から③
嫉妬とは/芸術作品にみる嫉妬――アマデウス・娘道成寺・危険な情事・ミザリー・ロベルトは今夜/ヒトはなぜ嫉妬するのか――親切な脳といじわるな脳/ネガティブ感情の処方箋――男には正義、女には共感で

第8章  ネガティブ感情の意味~脳科学の視点から④
不条理を検出し、仕返しをするメリット/亜闍世コンプレックス――お母さん、なぜ私を産んだのですか/「人間」という病

第9章  私たちのネガティブ感情とのつき合い方  
対談  中野信子×澤田匡人

脳科学者や心理学者は妬みや恨みに敏感/芸人が羨ましくて妬ましくてしかたない/嫉妬は相手をコントロールしたい欲求?/おかしい、変わっていると言われた子ども時代/異質な人に対して寛容な社会/妬みや恨みを抱えた人に向けて

おわりに





知的な距離感

2023-03-25 | 読んだ本
知的な距離感  プライベートエリア・・・・・魔法の効果  マジシャン 前田知洋


この本は、マジシャンである著者が「観客との距離の取り方」から「心理学的な距離感」までをテーマに書いたものです。



この著者が見せるマジックは「クロースアップ・マジック」というもので、レストランなどのテーブルを周って「マジックをご覧になりますか?」と聞き、自己紹介や挨拶をします。

「これからトランプを使ってマジックをします。シカケがあるか調べてみますか?」と、テーブルに座る観客に尋ねます。


テーブルの数人の観客にトランプを手渡し、調べた人々が納得がいけばトランプを受け取り、マジックを始めます。

このシーンは、ただ単にマジシャンが「これから使うトランプにシカケが無いこと」を調べてもらっただけのように見えます。


マジシャンは、トランプを観客に触らせることによって、ごく自然に観客とマジシャンの距離を縮めたことになります。


日本で「クロースアップマジック」というスタイルが、まだ浸透していなかった頃は「食事の場でマジック?」という戸惑いが多く、お客様はなかなかリラックスしてくれません。

また、女性はマジックに興味津々なのに、男性は女性との親密な時間を楽しみたい、というカップルでは、マジックを見るか、見ないかで険悪なムードになってしまうこともありました。

親しい人同士でテーブルを囲むことで生まれた「プライベートエリア」に他人が割り込むことは至難の業です。


運よく最初のお客様を見つけることに成功すると、他のテーブルでも「こちらのテーブルでもマジックが見たい」という声がかかるのですが、ほとんどの場合は、テーブルに近づいて「マジックをご覧になりますか?」と尋ねても「結構です」と断られることが多いです。


色々と試行錯誤を繰り返してみて気付いたことは、その場にいる人々は「他のお客様のテーブルで行われているマジック」を目にすることにより、マジシャンが何分ぐらいマジックをするのか、どんな道具を使うのか、どのくらい楽しいものか、などを外側から観察することが出来るのです。

「マジックを楽しむ観客の様子を他のテーブルの人にも見せる」という方法が最も効果的だということに気づきましたが、まずは一番最初のお客様に「マジックが見たい」と思ってもらわないことには始まりません。


そこで、まずレストランに来たお客様に「このマジシャンはアヤシイ人ではない」と思ってもらうことが重要です。

そのためには、レストランで働くスタッフたちと信頼関係を築くことから始めました。


お客様は、レストランのマネージャーや、スタッフと何気なく会話をする距離感を見ることで「このマジシャンはレストランに紛れ込んだ不審者ではない」と認識できます。

この「見る」というところがポイントで、マネージャーやスタッフとの会話をわざわざ聞かせる必要はありません。


「私はレストランで信用されています」「たくさんのお客様に喜んでいただけています」などと、いくら自分で言葉を重ねても、人はあまり信用しません。

人は「表面の言葉の内容」よりも「どのように行動しているか」の方を重視しているものなのです。


・・・といった感じで、人と人との間の距離の取り方などを解説していきます。


それから誤解のないように言いますが、これは、あくまでも「マジシャンがレストランで観客にマジックを見てもらうための方法・手段」です。

例えば、現在住んでいるところから引っ越して、引っ越した先の「新しい地域の人間」と親しくなろうと思うときには、「自分の友人とのやり取り」を周囲に見せることより、親しくなりたい人と直接、会話をするように努めて「お互いの信頼関係」を築いた方がいいと思います。

引っ越した先の住居が一戸建てか、アパートの部屋なのかにもよると思いますが、普通に考えてもそこに住んでいる側から、わざわざ訪ねて来て「親しくなろう」という人は少ないと思いますし。



知らない人のプライベートエリアに踏み込むこともあれば、「馴染みのある人のプライベートエリアに踏み込まない」という気遣いもあるそうです

マジシャンである著者が、あるプライベートなパーティで知り合った女性を偶然、街で見かけたことがありましたが、知らないふりをしてスレ違いました。

もちろん会話も交わしません。

これは「マジックを失敗した」とか「嫌な客だったから」というわけでは全くありません。


もし、相手が友人と一緒にいるときに「先日のパーティではお世話になりました」などとあいさつすると、言われたほうは一緒にいる友人に対して「いつ、どこで、どんなパーティがあったのか」などを説明しなければならなくなってしまうからです。

パーティに、その友人を誘っていたのならまだ良いのでしょうが、誘っていなかった場合、その友人との仲がこじれてしまうかもしれません。


社交界には「再会しても前回のパーティの話はしない」というルールがあるそうで、悪気はなくても「他人のプライバシー」を暴露してしまうのは良くない、ということなんですね。

しばらくして、その女性と会ったとき「知らないフリ」をしたことをとても褒めてくれたそうです。

「知っている人だけど、あえて他人の距離感を保つ」というのも、気持ちの良い人間関係を築くうえで大事なことなんですね。




目次


1 距離を縮める

マジシャンが観客に道具を調べさせる本当の理由

 物理的な距離と精神的な距離
 大きな国の近い距離
 狭い空間と感情
 環境が変えるもの

あなたを包むオーラのような見えないバリア

 他人に侵入されたくない空間
 大きくなったり、小さくなったり
 プライベートエリアには個人差がある
 ストレスと洗練された動き

「マジックをご覧になりますか?」「結構です」

 話しかけづらい雰囲気
 このマジシャンはアヤシイ人ではない
 マジックより先に見せるもの
 ボディ・ランゲージにはウソが含まれにくい

「トランプを触ってみますか?」

 シカケのあるカードを差し出す
 信頼関係とは何か
 信頼関係のシンボル「握手」
 変化するプライベートエリア

“不器用さ”は親密さを増すスパイス

 好きになってもらう
 「不完全さ」で距離を縮める
 少しだけ塩を入れる
 不完全なプライベートエリア

マジックは、本の読めない暗さで

 暗いと距離が近くなる
 クラブやバーで親密さが増す理由
 明るい舞台、暗い客席


2 距離を探る

カジュアル・フライデーに違和感がある理由

 マジシャンと燕尾服
 服とプライベートエリアの関係
 相手をガッカリさせないために

リムジンとスポーツカーはどちらが快適か

 出迎えといえば・・・・
 狭いから愛おしい
 車内の空間は誰のものか
 エレベーターで上を向く人々 

ドライブ中に愛を告白するのは有効か?

 普段はいえないデリケートな話
 横並びは本音を探りやすい?
 横を向くことの錯覚
 「さりげなさ」や「曖昧さ」

マジックをするテーブルが半円な理由

 三角が生み出す対等感
 四角と三角と丸
 
仕事上のことは、正面で褒める

 社交辞令と心からの賛辞
 正面で褒めるのは人のためではない
 
立つべきか、座るべきか――マジシャンの悩み

 「マジシャンよ、立ち上がれ!」
 上司の小言対策
 司会のことをMCと呼ぶ理由
 強い立場の人間は距離を広めにとる

マジック禁止のプライベートクラブ
 
 はじめての社交界
 マナーとエスコートの意味
 エスコートとプライベートエリア
 二種類のドアの開け方
 イスから立ち上がる効果

あなたがマジシャンだとしたら?

 右側か、左側か
 左から右に
 プレゼン上級者は違和感を演出する
 プレゼン中の動作
 大切なものは左に
 理想のプレゼン

エンゲージリングは自分のプライベートエリアで

 ものを示す位置
 プレゼントの種類
 プレゼントの渡し方
 大切なものを貸すとき


3 空間を測る

恋人たちの幾何学模様

 夕暮れどきの鴨川
 壁際が人気の理由
 
ものは主張する

 座席の上のジャケット
 赤いカードの予言
 他人の侵入を防ぐ
 割れ窓理論
 本当はたくさんある境界線
 水入りペットボトルの大流行

警戒厳重なマジックショー

 領域を分ける
 子連れでラスベガス
 ゾーニングとは何か
 マジシャンのベルベット

一人6㎡の権利がある

 高い机、重いドア、狭い通路
 オフィスは一人6㎡
 ハイバック・チェアが人気の理由

4 「空気」を読む

「距離感」と「振る舞い」が伝える二人の関係

 「俳優の仕事」とは何か?
 二人の関係を見抜く
 言葉以外のパラ・ランゲージ

空気はウソをつけない

 連続した空間
 空気感とプライベートエリア
 よそよそしい雰囲気とは
 見えないところで誠実であること

フィクションが教えるプライベートエリア

 宮本武蔵の「間合い」
 師の影を踏むべからず
 絵画の中でも

5 見えない相手

踏み込むべきか、踏み込まないべきか

 テレビを通じての友人
 ファンのメールが長続きしない理由
 声をかけようか、かけまいか
 知らないフリをする美学
 
声だけのコミニュケーション
 
 顔が見えない相手
 ギャップというウソ
 21世紀のストレス、携帯電話
 
距離感にわずらわされない便利なツール

 メールでのコミニュケーション
 クロースアップ・マジシャン流のメールの書き方
 「文は人なり」


6 プライベートエリアとは何か

プライベートエリアにはさまざまな働きがある

 プライベートエリアの働き
 働きの移り変わり

身体の部位によるプライベートエリア

 侵入してしまいがちな部位
 相手をイライラさせないために
 異性間のプライベートエリア

人と会うのが楽しくなる!

 知ることのメリット
 見えないガラス
 フィールドワーク   





やさしいあなたがナメられるのはなぜ?

2022-03-27 | 読んだ本
前回に続いて、同じ作者の本を。

職場で、仲間うちで他人に軽く扱われない技法  内藤誼人(ないとう よしひと)
「仕事上の会話 ふだんの態度 何気ないしぐさ  やさしいあなたがナメられるのはなぜ?」  


ふらりと古本屋さんに入って見つけた本で、心理学本はよく読むから何気なく手に取ったけど、そういえば、結構「ナメた態度」取られるときは多いわね・・・。


まずは前置きから。

~ 人に軽んじられるのは、決して気持ちのいいものではない。  私たちには、だれにでも自分を尊重してほしい、自分の価値を認めてほしい、自分を大切に扱ってほしい、という尊厳欲求があるため、他人から軽んじられたり、見下されたりすると不愉快なのである。  自尊心が傷つくのである。  俗っぽくいえば、非常にムカつくのである。

そんなのは当たり前の話ではあるが、では、どうすれば相手に軽んじられないのか、ということを本気で考えている人は、意外に少ない。  どうすれば他人にバカにされたり、イジメられたりしないのかを考えず、ただなりゆきまかせに生きている人のなんと多いことか。

「お客さんにナメられて、とんでもない値下げの条件ばかり飲まされるんです・・・」
「同僚のなかでも、僕だけが、上司に集中的に怒鳴られているんです・・・」
「いつまで経っても新人扱いで、大切な仕事をまかせてもらえないんです・・・」

もし読者のみなさんが、このような悩みを抱えているのなら、その理由は明白だ。  それは、みなさんが、軽んじられているからに他ならない。  さっそく本書をお読みいただいて、"軽んじられない人間”へと変貌を遂げる必要があるだろう。 ~


「究極の自己防衛術!」と銘打ってるだけあって、内容も超本気である。

私の場合は、といえば、仕事が「営業職の会社員」ではないので、あまり当てはまらないものも多いけど、当てはまるとしたら「第2章 まれな場合にしか、やさしくしない」かも。


「いつでも他人にやさしくしてはいけない。  なぜかといえば、親切を受ける相手は、あなたのやさしさを当たり前のものとして考えるようになり、せっかくやさしくしてあげても、たいして感謝されないからである。

しかも、そんな相手にかぎって、たまにやさしくするのを忘れたりすると、激しい怒りを見せたりするのである。

つまり、やさしくしても感謝されないばかりか、やさしくしないと怒られる、まことに困った状況に置かれてしまうのである。」


私の実体験から言っても、これは真実である

仕事の作業中に、ほんのちょっと「品物そろえた方が取りやすいかな」とか「キレイな方が気持ちいいし」などと思って(半分自己満足なんだが)やっていたりすると、とたんに周りにいる人間の機嫌が悪くなる

「仕上げた品物」を次の部署に流したりするので、いわゆる「その恩恵を受ける人」に親切にした! ということらしい。

こちらは、そんな程度で「次の人が恩恵を受ける」なんて、全く考えもしないが。

さらには「私にも!!」という無言の圧力までかけられる始末で、そんなことで腹立てられたら、こちらもムカッと来るし。


大抵は時間がたつと収まるものだが「リーダー格のような人」だと、作業上の事だけではなく「プライベートなこと」にも入り込んでくる

雑談などで「他人の家庭環境」が垣間見えるようになると、ここでもまた「私にも!!」が出てきたり

さながら、嫁姑バトルのようである。



「やさしさ」は「24時間営業で年中無休」じゃないし、ときには「やったもの勝ち」「早い者勝ち」の時もある。


自宅の外で顔見知りの人などと話をしていると、隣のアパートの駐車場から、やたらと大きく「ドスン、ドスン」と車のドアの音がしていたりする。

「アパート住人が出入りしているだけ」なら気にすることも無いのだが、こういうことが続いたりして、何だかおかしい。

どうやら「自分に話しかけてもらいたくて」やっている人がいるらしいが、こちらからすれば、それこそ全くの他人だし、「話がしたい」なら、余計なことしないで普通に出てきてしゃべればいいだけじゃないか。

「そういう人」に、こちらから行く筋合いはないので「特に何もしない」のだが、最近では「自分が無視されている」と思っているのか、だんだん「権力争い」ようになってきた

こんな人では、「やさしくした」ところで「もらって当然」で、有難みの一つもないでしょうし、自分が「やさしい」と見込んだ人に「権力争い」を仕掛けてまで「やさしさを手に入れようとしている」のだから、結局「自分が周囲の環境に勝てなかった」ということだろう。



「第6章 やさしい人は、実は『気弱な人』である」の中でも、「他人に対する配慮はとても大切である。  相手が嫌がることを極力避け、好かれるように努力することは立派である。  しかし他人に対する気づかいをするのなら、それと同じくらいには、自分に対しても気づかいをすべきであろう。」

「ぶつくさ文句を言いながら、結局は、他人の言いなりになってしまう人の、なんと多いことか。 ようするに自分の魂までも売り払っているのである。」とある。


やはり、「まれな場合にしか、やさしくしない」のである。



目次

第1章  一目置かれる話し方の極意  知識は少し隠した方がいい

底が浅いと思われる人は「こんな会話」をしている

「思わず口にした言葉」であなたの軽さがバレる

「賛成です」の一言ですますとナメられる

会話のつなぎ目に「なぜなら」を連呼しろ

「知識を限定」することで教養を匂わせる法

はやる気持ちをおさえて、訥々(とつとつ)と語る

「私は頭が悪いんです」と、先手を打つと知的に見える

弱音を吐くなら、相手は「こんな人だけ」にしろ

会話に入れる数字は官公庁から得たものに限る

「この人と話したい」と思われるための2つの秘訣

Clumn-1  ダメな人がよくやる「ダメな年賀状」のポイント3つ


第2章  「謙虚さ」はナメられる  相手を心理的に威圧する技法

目をきゅっと細めて、相手の顔を見つめる

仕事で力を入れるなら「4月」にしろ

不用意に頭を下げると、仕事はこない

「不機嫌な声」「仏頂面」を戦略的に使う

100円のものは1000円で売るべし

まれな場合にしか、やさしくしない

怖い顔をしていれば、人はおとなしく従ってくれる

援助を受け入れると、あなたは「弱者」になる

column-2  相手の反論をうまく封じ込める方法


第3章  「物怖じしない人」の秘密  宴会では「お誕生日席」を選べ!

遠慮せず、「目立つ場所」に席をとる

30歳になる前に、「一流の雰囲気」に慣れておく

オーバー・アクションで、「強気な自分」を引き出す法

主導権をとりたいなら「話しかける」のは自分から

ときには「非常識な質問」や反対意見を

「口出し」すると、あなたの人間的価値が高まる理由

知識がなくとも、「知識がある」ように見せる技

column-3  定期的に運動しているなら、「それ」を語れ


第4章  一流の人間は「サバ」を読む  人は「ナニ」に敬意を払うのか?

「肩書」にとにかく貪欲になる

コネの「威光」を利用する

明るいイメージを売るなら「朝に弱い」ことを吹聴する

2、3歳、年上に見られるように、年齢で「サバ」を読む

取引先に「若さのアピール」はむしろマイナス

経験年数でも「サバ」を読む

私が「賞」にとことん、こだわる理由

なぜあの人は、だれにでも「平気で軽口」が言えるのか?

column-4  自分の値段が高い人・安い人の「決定的な差」とは


第5章  対人術は「質」より「形」!  相手に見くびられない「見た目」の話

度胸はどんどん「安売り」しよう

「外面」は、いつでも自信満々でいる

「伝統」を感じさせるものを、1つは身につける

余分な「混じりもののない道具」を使う

自分がした約束は、1度でも破ると評価はゼロ

なぜ仕事ができる人は、「筋トレ」をするのか?

どこか「危ない雰囲気」を漂わせる

肉体改造をすると精神的にも強くなる

100戦して100勝を心がける

column-5  人と食事をするときには、「パスタ」を注文しない


第6章  簡単に「スペシャリスト」になる技術  自然と相手が負けてくれる心理テクニック

数少ないプロがしている「普通のこと」とは?

「〇〇といえばあいつ!」を確立する簡単な方法

ゼネラリストは「中途半端な人」の代名詞

ひそかに「俺の方が、ずっと各上」という意識を持つ

今ではなく、「1カ月先のこと」を考えて過ごす

仕事では、手抜きをすると「クセ」になる

やさしいひとは、実は「気弱な人」である

無意味におごると、軽んじられるだけ

column-6  「ほんのちょっとの差」では、だれも尊敬してくれない


おわりに

参考文献



男性は見知らぬ女性とも平気で関係を持てる

2022-02-12 | 読んだ本
人生相談は「不幸な人」にしよう 心理学に学ぶ意外な日常の法則   内藤誼人(ないとう よしひと)  


まるで前回の記事の続きのようですが、違う作者の本です。

前回に続いて男性全員が、このような「ステレオタイプな反応」をするわけではありません

もちろん、女性に対して誠実な人もいます。

しかし、こういう「困った人」が世の中に多いのも、また事実なんですよね。


第4章 社会と生活の心理学 「男性は見知らぬ女性とも平気で関係を持てる」から。

ノース・テキサス大学のラッセル・クラーク博士の調査で、自分の教え子の女性に頼み込んで、大学のキャンパス内で男性に向かって「今晩、私とHしてくれますか?」と質問させてみた

もちろん、本当にHさせてしまうわけはなく、単に質問させるだけである。


すると、女性のサクラが男性に向かって「そういう誘い方」をしてみると、69%の男性が快く応じたのである

さらに驚くことに「今日は、ちょっとまずいんだ。 明日ならどうだろう?」と提案してくる男性もいたという。

そういう男性も含めて計算すれば「いま、会ったばかりの見知らぬ女性と関係が持てる」という男性は、結構な確率で多いことになる。


次にクラーク博士は、男性の教え子を使って女性に向かって「今晩、ボクと寝てくれないでしょうか?」と、同じように質問させてみた

すると、男性のサクラの誘いに「はい」と答える女性はゼロだった


もともとクラーク博士は「エイズに関する知識」を調べるために、このような実験をしたのであるが、男性の多くは機会があれば、いつでも見知らぬ女性とも関係が持てるし、性病の心配などもしないのらしい。


たびたび、ワイドショーなどで「不倫の話題」が炎上するのも、「機会が多い人間に対する嫉妬」みたいな感じで、普通の生活には、そのような「おいしい話」は、ほとんど無いからなのかもしれないが。


前の項目の「男性の初体験年齢は、親子でほぼ同じ」という説もあり、つくづく「男性=性的体験」なのだなあ、という辺りがなんともだ。

やれやれ。



目次


  はじめに


第1章  認知と判断の心理学

  
  私たちは、自分にだけ〝甘い点〟をつけたがる

  情報を無視しようとすると、かえって目に入ってくる

  人づての情報は、最初の情報より極端になる

  〝老い〟を考えていると、本当に〝老けて〟ゆく

  いいことだけに目を向けるのが健康の秘訣

  恋をしていれば、「うつ」になりにくい

  ムシャクシャする気分をなくせば、肥満予防に

 
第2章  記憶と知覚の心理学


  人間の記憶装置は、とてもいいかげん

  インチキな記憶を相手に植えつけるのは難しくない

  芸術作品をながめるのは、自己実現への近道

  この世で〝もっとも美しい〟と知覚される対象とは?

  臭い部屋では、人は怒りっぽくなる

  相手のいいところを探せる人ほど、幸せになれる

  他人の話を素直に聞くのは難しい

  超能力で振り子は動くか


第3章  人間関係の心理学


  私たちは、似た名前の人を好きになる

  一生魅力的でいるために必要なこと

  嫌われ者ほど、交通事故をよく起こす

  ナルシストほど、挑発に乗りやすい

  表情の豊かさは、〝30年後の幸せ〟を約束する

  他人をホメるのは、周囲に人がいないところで

  相手を正しく評価してあげることが、家庭円満の秘訣

  
第4章  社会と生活の心理学


  女性は、男性よりも早くチャンスをつかめる?

  自信のない男は、働く女性を嫌う

  親の出産年齢が早いと、子供もなぜか早くなる

  人生相談をするなら、「不幸な人」にかぎる

  男性の初体験年齢は、親子でほぼ同じ

  男性は、見知らぬ女性とも平気で関係が持てる

  ハンサムな候補者ほど、選挙で勝てる

  ゴキブリも人間も、みんなと一緒では「手抜き」する

  割り込みをするなら、直前に割り込まないこと

  きちんとした服装で、交通事故を防ぐ

  ギャンブル中毒者は、「楽しくない」のにギャンブルをつづける

  
第5章  学習の心理学

  明るい未来をイメージしてⅠQアップ

  頭がいい人のことを考えろ

  くつろいだ雰囲気の中で学習せよ

  抱きしめてあげれば、子どもは伸びる

  両親の期待があれば、子どもはみるみる伸びる

  腕を伸ばすかどうかによって、思考の動きも違ってくる

  朝型人間のほうが、試験でいい点を取れる

  極めて高いハードルを課すのも、時には有効

  「自分でどうにかする」気持ちを持て

  
第6章  消費と選好の心理学

 
  人はどんな広告に心が動かされるのか

  サブリミナル広告が効果的なのは、そういう欲求を持っている人にだけ

  大きな鏡があると、人は「健康志向」になる

  とても効果的な「おまけ」作戦

  他人からどう見られているかが気になる人は、パッケージに弱い

  だれでも〝異性〟の店員に対応されることを希望している

  選択肢の多さが、満足感を高める


第7章  ビジネスと経済の心理学


  業績悪化の理由を言い訳している会社は、1年後に株価が下がる

  不況だと、「大柄な女性」がモテる

  経済が豊かになれば、幸せになれるのか?

  太った人と一緒に仕事だと、こちらまで悪く評価される

  長い名前の人ほど〝成功〟しやすい

  締切がないと、だれも行動しない

  仕事の大半は、午前中に片付けるのがベスト

  無意味な〝雑談〟が、楽しさを決める

  曖昧なことをもっともらしく言えば、占い師になれる

  
第8章  仕事と組織の心理学


  リーダーに必要な資質とは?

  出生順位と職業の選択には、関連性がある?

  男性のグラス・エスカレーター

  集団で決めるときは、一面的になりやすい

  起業家としての成功を約束する〝7つ〟の特性

  社内の人間関係が、最高のリストラ予防に

  吸収合併に伴って一緒にさせられた社員の心境とは


  あとがき

  
  参考文献

  

  

セクハラしやすいタイプはどんなタイプ?

2022-02-01 | 読んだ本
フシギなくらい見えてくる! 「本当にわかる」心理学 植木理恵


第4章「観察」で見抜く心理学「セクハラをしやすいのはどんなタイプ?」から少々。

アメリカの研究で、就職の面接などの場面で「セクハラ的な質問はどのように起きるのか?」ということを調査したものから。

調査の手法は、女性の「採用志願者」に「面接官役」の男性が、どんな質問をしていくのかを記録する、というもの。


面接官に選ばれた男性陣を「三つのグループ」に分け、1のグループには「あなたの評価が彼女の採否に関わります(権限高群)」と伝えておき、2のグループには「あなたの評価は、彼女の採否に直接は関わりませんが、参考にはします(権限低群)」と伝えた。

3のグループには「採否の決定権」にはまったく触れず、「広告視聴のモニターのためです」と伝え、面接の前には「アダルトビデオ」を鑑賞させた(ビデオ鑑賞群)

これから会う女性を「性的対象」として見るように仕向けるためである。 


三つの設定で、それぞれの面接の様子を観察した結果、「セクハラ的発言」が多かったのは「権限高群」と「ビデオ鑑賞群」の面接者だった


女性志願者に必要以上に接近する
顔ではなく、身体を見つめる
セクハラに当たるような質問をする


面接の前にアダルトビデオを鑑賞した「ビデオ鑑賞群」に、「このような傾向」が見られたのは「ある意味、当然」としても、全く性的な感情と無関係の「権限の高さ」が「セクハラ的な言動」をする動機になっていることは驚き、と論じている。


あと、本の内容ではないけど、男性が一目で「美人」と思う女性より、「あまり美人でない」と思う女性の方が「セクハラ」に遭いやすいのだそう。

この場合は「性的欲求」というより、自分に自信の持てない男の「支配欲求」だと思うが



面接場面での権限効果について、さらに詳しく調べた研究もある。

面接官役の権限の強さを「上司からの言葉がけ」によって微調節し、それによって「面接態度がどのように変わるか」を調べたもの。

「もう実は、相手の採否は決まっている」 権限0%
「一応面接してもらうけど、採否にはあまり関係ない」 権限10%
「面接が採否に関わるかどうか、まだ分からない」 権限50%
「面接は採否にかなり影響するが、最終判断ではない」 権限70%
「この面接によって、採否が完全に決定する」 権限100%

実験の結果、採否の権限100%の面接者に「ステレオタイプな判断」をする傾向が高く、偏見的な見方が多かった。


「ステレオタイプ」とは、もともと根拠が薄弱な観念をパターン的かつ、判で押したように共有されている状態
そのような観念がある範囲で広く、大勢に人に共有されていること。

「男性=性的欲求」「女性=性的対象」「女性=嫉妬深い」「学歴が高い=何でも知っている」「女性=頭が軽い」など。


一方で、権限があまり弱すぎるのもダメで、正確に相手を判断しようというモチベーションに欠けるのだという。

権限が全くない場合、人間は「どうでもいい相手」に対しては、考えるのも面倒なので「まあ、いい人だろう」とポジティブな方向に、安易に判断してしまうのだそう



結果的に、「正確な判断」が働きやすいのは「権限70%」ぐらいの時

基本的に自分に裁量権があるが、30%くらいは他の人にも権限がある、というときに、もっとも正確に相手を見抜くことが出来るそう。


今の時代は「自分の権限が高い」というだけで「自分は正しい」と思い込んで、「間違えたこと」をしていても認めない人も多いから、困ったものだよね。



目次

はじめに


第1章   心理学とは何か

 01 目に見えなくともそこには「ある」?

 02 目に見えないものはそこには「ない」!

 03 「今日から使える」知識の生かし方

 04 心理学を正しく理解する整理法はこれだ!

 05 研究手法によって心理学を勉強する

 Column ドイツ人と米国人どちらがより残虐か?


第2章   「現象」から見える心理学

 OUTLINE 日常的な現象から人間のもつ本質を推測する心理学

 01 自分を好きになる方法は?

 02 集団が大きくなると人の行動はどう変化するのか?

 03 美男美女であることは本当に得か?

 04 「見るな」といわれるとどうしても見たくなるのはなぜ?

 05 なぜ記憶はときどきウソをつくのか?

 06 人の潜在能力を最大限に引き出すには?

 07 第一印象を効果的にするテクニックとは?

 08 小さな悪を放置しておくと人の心はどう変わるのか?

 09 共感してもらうと人は「お返し」をしたくなる

 10 学級崩壊に教師はどう立ち向かうべきか?

 Column トイレの所要時間はどんな要因で変化する?
 

第3章   「実験」で測る心理学

 OUTLINE 仮説→検証を重視する「科学」としての心理学

 01 人をやる気にさせるにはどうすればよいのか?

 02 人はどうやってマインド・コントロールされるのか?

 03 人がやる気をなくすのはどういう状況か?

 04 やる気を最大限に引き出すアメの与え方とは?

 05 記憶の達人はどうやって覚えているのか?

 06 偽りの記憶はどうやってつくり出されるのか?

 07 うわさ話はどう生まれどう広がっていくのか?

 08 自分の意見を通しやすいシチュエーションとは?

 Column モチベーションには「外発-内発」軸しかないのか?
 

第4章   「観察」で見抜く心理学

 OUTLINE 人を長期間観察し言語や行動を一般化する心理学

 01 「ひらめき」はどうやって起きるのか?

 02 「そういえば…」はどう頭をよぎるのか

 03 偽りの記憶が生まれるのはどういうときか?

 04 セクハラをしやすいのはどんなタイプ?

 05 高学歴の人は仕事ができる? できない?

 06 「一を聞いて十を知る人」の思考パターンとは?

 07 親と子はどうやって「親子」になるのか?

 08 子どもの社交性はどのように形成されるのか?

 09 「友情」はどうやってつくられるのか?

 10 本当の恋愛はいつからできるのか?

 Column 自分自身のことはどうやって知るのか?
   

第5章   「理論」を整理する心理学

 OUTLINE タイプの分類をするために現象をモデル化する心理学

 01 どれくらいの難易度なら人は意欲を感じるのか?

 02 頑張ってもうまくいかない原因はどこにあるのか?

 03 人の「意欲」を高める二つの公式とは?

 04 知能の高低をどのように表現するのか?

 05 心の知能は測定可能なのか?

 06 「性格」を科学的に分析すると何が見えてくるのか?

 07 ストレスとの上手な付き合い方は?

 08 情報は、どのようにして記憶に変わるのか?

 09 効果的に情報を覚えるにはどんな工夫が必要か?

 10 すぐ忘れる記憶といつまでも残る記憶の違いは何か?

 Column 効率的な学習方法とはどういうもの?  


第6章   「技法」を提示する心理学

 OUTLINE 理論を応用し臨床で役立てるための心理学

 01 「問題行動」を抑えるにはどうすればいいのか?

 02 うつを招きやすい特有の考え方とは?

 03 気にするから具合が悪くなる…この悪循環から抜け出すには?

 04 自己中心的な考え方から脱却するには?

 05 心を見つめ直す究極の方法は?

 06 メンタルヘルスを保つ自己暗示のひけつとは?

 07 カウンセラーに求められるクライアントとの関係は?

 08 内面へのアプローチがスムーズになる方法とは?

 09 家族全体がカウンセリングの対象となることもある?

 Column あなたは客観的発想ができますか?

参考文献

さくいん




「平均的な意見」も「一番、頭の良い人の意見」と同じくらい優れている

2020-09-01 | 読んだ本
コロナ禍で巣ごもり生活の中、以前に読んだ本を引っ張り出して読んでみたら、新たな発見がたくさん。

刊行されてから10年以上たっていても、読み応え十分ね。



「みんなの意見」は案外正しい  ジェームズ・スロウィッキー作 小高尚子訳


舞台は、食肉用家畜見本市で行われる、雄牛の重さを当てるコンテスト。

雄牛の重さに見当をつけたら、重量の推定値を記入して、コンテストにエントリーすると、一番正解に近い人が賞品をもらえる、というもの。

この運試しに参加したのは800人で、畜産農家の人や、食肉店の人間も多いが、家畜についてほとんど知らない人も多かった。

この場に居合わせた、イギリス人科学者のゴールドンは、この背景も経験も全く違う人々が、それぞれ一票を投じるさまは、民主主義における「選挙」の手法とそっくりだ、と思い、かねてから気になっていた「平均的な有権者」に、社会にとって適切な判断ができるかどうか、を確認してみたいと思った。

というか、統計データと遺伝に関する研究、優生学で名を知らしめたゴールドンは、「選ばれたごく少数の人間だけが社会を健全に保つのに必要な特性を持ち合わせている」と信じていたから、おそらく「平均的な有権者」には何もできないであろう、という自説を証明したかったのだ。

コンテストが終了した後、コンテストの主催者に掛け合い、投票に使われたチケットを借り受け、統計的な検証を行った。

チケットに記された数値を最大から最小に順に並べ、正規分布になるかを調べ、次には書かれた数値をすべて足し上げ、参加者全体の平均値を算出した。

非常に優秀な人が少し、凡庸な人がもう少し、そこに多数の愚民の判断が混ざってしまえば、全く的外れな数値が出るだろうと、ゴールドンは予想した。

参加者の予測平均値が1197ポンドに対して、実際の重さは1198ポンドで、結果はゴールドンの予想に反し、両者の間にあまり差が無かったのである。

この後、ゴールドンは「当初の予測よりも民主的な判断に信頼がおけることを示しているとも考えられないわけでもないかもしれない」と述べたそう。


たいていの場合、「平均的」という言葉は「普通」「凡庸」との意味に使われることが多い

しかし、多数の人間が集まり、問題を解決したり、意思決定する場では、一番頭の良い人の意見と同じくらい、もしかするとそれ以上、「平均的な意見」も優れていることが多いだろう


賢い集団の特徴として、4つの要件が挙げられている。

意見の多様性(それが既知の事実の突拍子のない解釈だとしても、各人が独自の私的情報を持っている)

独立性(他者の考えに左右されない)

分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる)

集約性(個々人の判断を集約して、集団として一つの判断に集約するメカニズムの存在)


多様性には、集団に新しい視点を加えるだけでなく、集団のメンバーの意見を言いやすくするメリットがあるし、意見の独立性にも、集団が賢明な選択をするのに必要不可欠な要素でありながら、それを維持することがきわめて難しいのだという

なぜなら、人間は自律的であると同時に、社会的な存在でもあるので、自分の住んでいる場所や、学校・職場などの影響を受ける社会的な存在だと気づいていながら、人々の好みや、意見に周りの人が与える影響を過小評価しがちで、個人の自律性ばかりを強調する

集団のメンバー間で、個人的な関わりが強くなり、お互いに影響を与えるような関係性が出来あがると、周りの人間に同調して意見を合わせてしまったり、集団の論理に従うように圧力をかけたりするようになり、「集団としては」愚かになる可能性が高くなる


第12章では、選挙の投票率について書かれていて、面白いと思ったところをちょっと。


アメリカの政界では投票率の低さを嘆くのがお約束となっているが、経済学者の観点から見れば、投票なんかをする人がいる事実こそが不可解な現象なのである。

自分が投じる一票が選挙の結果を変える可能性はゼロに近い。

それに、ほとんどの人にとって ーそれが大統領であってもー たった一人の政治家が自分の日々の生活に及ぼす影響は限られている。

投票をしても大勢に影響はないし、そもそも誰が当選しても大きな違いがないのなら、なぜ投票するのだろうか?

公共選択論者は、人々が投票する理由を手を替え品を替え説明しようとしている。

たとえば、ウィリアム・ライカーは、人々は投票を通して選挙結果に影響を与えようとしているのではなく、「自分の政治的な信条を確認」し、「政治制度における(自らの)有効性を主張」しようとしていると分析する。

だが、真実はライカーの説明より、ずっとつまらないようだ。

人々が投票するのは、自分が投票すべきだと考えているからだ。

ライカー自身が集めた1950年代以降の選挙に関するデータは、投票するか、否かはその人が感じている「義務感」にかかっていることを示している。

ともあれ、仮に有権者の投票が「自己表現」の一種だとすると、自分の利益になるような投票結果を求めて投票するより、自分の政治スタンスを公にするために投票した方が社会全体にとってメリットになる結果に結びつく可能性は高いと言えよう。

人々が自己利益以外の理由から行動するにしても、彼らが実際に投じた票が自己利益を反映していないとは言えないことは確かだ。

だが、ここにも自己利益理論の限界はある。

そもそも、自己利益と投票行動の間に明確な相関関係は見出されていないのだ。



投票率が低いのを嘆くのがお約束なのは、日本も同じだけどね。

確かに、投票に行っても、票を入れた人が当選するとは限らないし、誰が当選してもそんなに変わらないような印象はあるけど

だから、選挙に行くときは「自分の一票が世の中を変える」というよりは、政治に対して「自身の考え方を発信している」と考えた方が、投票に行く意味もあるかな。

一人の力では出来ることも限られているし、世の中を変えることは難しいけど、みんなが意見を持ち寄って、力を合わせれば、より良い方向に動くことは出来るだろう


この記事を書いている間にも、安倍首相が辞任して総裁選が行われることとなっている。

これから、どんな世の中になって行くのかな。





目次


はじめに


第1部  

第1章  集団の知恵

第2章  違いから生まれる違い ―― 8の字ダンス、ピッグス湾事件 、多様性

第3章  ひと真似は近道 ―― 模倣、情報の流れ、独立性

第4章  バラバラのカケラを一つに集める ―― CIA、リナックス、分散性

第5章  シャル・ウィ・ダンス? ―― 複雑な世の中でコーディネーションをする

第6章  社会は確かに存在している ―― 税金、チップ、テレビ、信頼

第7章  渋滞 ―― 調整が失敗したとき

第8章  科学 ―― 協力、競争、名声

第9章  委員会、陪審、チーム ―― コロンビア号の惨事と小さなチームの動かし方

第10章  企業 ―― 新しいボスって、どうよ? 

第11章  市場 ―― 美人投票、ボウリング場、株価

第12章  民主主義 ―― 公益という夢


訳者あとがき

解説  山形浩生






悩んで悩んで悩み抜くこと

2016-08-31 | 読んだ本
悩む力 姜尚中(カンサンジュン)

在日の政治学者で、夏目漱石の研究者としても知られる著者。


戦後、高度成長期を経て、多くの自由を手にし、人々が幸福な生活を送れるようになったかと思えば、現在では、格差が広がり、情報化社会により、あふれんばかりの情報が流れ、何を信じていいのか分からなくなっている時代。

夏目漱石の数ある著書を取り上げつつ、人々の悩みに向き合うヒントを考える…という内容の本。


人間の悩みは、悩みの大小に関わらず、大別すると「お金」「健康」「生きがい(将来の夢)」に集約されるそうです。

これは、もうすでに、百年前の夏目漱石の時代から「悩み」として問いかけられており、当時は、「知識人の特権」のようなものでしたが、現在では情報化が進み、「悩み」も一般化しています。

また、夏目漱石自身も「神経衰弱」に悩み、胃潰瘍を抱えながら、の執筆が、作品に反映されているのかもしれません。


文中には、

悩んで、悩んで、悩み続け、自分を信じ、自分が「これだ」と確信できるものが得られるまで、悩み続ける

それしか方法はない、ということを信じる。

と、あります。


自身の悩みに対して、すぐに答えを出さなくても、「大いに悩めばいい」のですね。

私も、マックスウエーバーはおろか、夏目漱石の著書も「吾輩は猫である」ぐらいしか読んでいないので、とりあえず、文中に取り上げられている本を読んでみる、のがいいかなあー。


とにもかくにも、厳しい世の中ですから。


夏目漱石生い立ち

悩む力

情報ネットワークや市場経済圏の拡大にともなう猛烈な変化に対して、多くの人がストレスを感じている。 格差は広がり、自殺者も増加の一途を辿る中、自己肯定もできず、楽観的にもなれず、スピリチュアルな世界にも逃げ込めない人たちは、どう生きればよいのだろうか? 本書では、こうした苦しみを百年前に直視した夏目漱石とマックス・ウエーバーをヒントに、最後まで「悩み」を手放すことなく真の強さを掴み取る生き方を提唱する。 現代を代表する政治学者の学識と経験が生んだ珠玉の一冊。 生まじめで不器用な心に宿る無限の可能性とは?

目次

序章 「いまを生きる」悩み

  世界を引き裂くひき臼

  二人の「炯眼(けいがん)の持ち主」

  戦争を挟んだ相似形

  未解決の問題のヒントを探す


第一章 「私」とは何者か

  「自己チュー」と「自我」

  「社会の解体」と「自我の肥大」

  「先生」の孤独

  「自分の城」が破滅を招く

  「相互承認」しか方法はない

  「まじめ」たれ


第二章  世の中すべて「金」なのか

  たかが金、されど金

  「成りあがり」が時代を創る

  末流意識という「あきらめ」

  「清貧」から生まれた資本主義

  昔「帝国主義」、今「ウォールストリート」

  金に悩む小市民


第三章 「知ってるつもり」じゃないか

  「情報通」は知性か

  科学は何も教えてくれない

  船で運ばれるのも不幸、海に飛び込むのも不幸、

  唯脳論的世界

  「ブリコラージュ」の可能性


第四章 「青春」は美しいか

  恥ずかしい「青春」

  三四郎と私

  無垢なまでに意味を問う

  脱色されて乾いた青春

  青春は年齢ではない


第五章 「信じる者」は救われるか

  「スピリチュアル」百出

  宗教は「制度」である

  人は「自由」から逃げたがる

  「一人一宗教」「自分が教祖」

  確信するまで悩むしかない


第六章 何のために「働く」のか

  金があったら働かないか

  金があるから働かない

  漱石の復讐劇『それから』

  精神のない専門人

  他者からのアテンション

  コミニュケーション・ワークス

  「全人格性」を取り戻す可能性


第七章  「変わらぬ愛」はあるか

  「純愛ブーム」vs「マゾ的性愛」

  恋愛幻想の果ての「流刑地」

  「自由」が愛を不毛にする

  「絶頂」で終わらせたい

  相互のパフォーマンスの所産

  灰の中の残り火、それも愛


第八章  なぜ死んではいけないか

  「例外状況」と「臨戦態勢」

  死は無意味、ゆえに生も無意味

  慣習による抑止力も無効

  何が生きる力になるのか

  つながりを求めつづけろ


終章  おいて「最強」たれ

  彼らは若かった

  分別のない老人ばかりになる

  老人力とは「攪乱する力」

  「死」を引き受けて、「怖いもの」なし

  「一身にして二生を経る」

  「横着者」でいこう


  関連年表

  引用文献一覧

  あとがき



続・悩む力

安定した収入、家族、健康、老後のたくわえ ―― 。 この既存の幸福像は、今や瓦礫と化した。 神仏はおろか、現代社会の宗教ともいえる科学の不信も極まり、寄る辺ない私たちの孤立はさらに深まっている。 この憂鬱な時代のただ中で、私たちが真の意味で生まれ変わり、新たな「幸せの感情」に浸ることなど、果たして可能だろうか? その問いを解く鍵は、夏目漱石の百年前の予言にこそある。 大ベストセラー『悩む力』刊行から、四年の時を経て、待望の続編がついに登場!


まえがき


序章  「幸福論」の終わり

  「非常事態」を生きる

  お金、愛情、健康、老後

  幸福の合格基準

  「平凡な幸せ」が「特権」に


第一章  漱石とウエーバーに何を学ぶか

  先駆者たち

  平成のお延、代助

  「精神のない専門人」と「心情のない享楽人」

  神も仏もねぇべ

  「貴族の幸せ」と「自由競争の幸せ」

  貧しい人は幸いである

  もうアヘンはきかない


第二章  どうしてこんなに孤独なのか

  すべて自意識の悲劇

  「一等国」イギリスの不幸

  自由の「淋しみ」

  V・E・フランクル

  「悩み」の現象学?

  門の下に立ち竦む

  ウイリアム・ジェイムス


第三章  漱石が描いた五つの「悩みのタネ」とは

  夢も希望もない?

  模範となるべき者は一人もなし

  「お金」 ―― 悩みのタネ①

  「愛」 ―― 悩みのタネ②

  「家族」 ―― 悩みのタネ③

  「自我の突出」 ―― 悩みのタネ④

  「世界への絶望」 ―― 悩みのタネ⑤


第四章  漱石の予言は当たったか

  逸脱資本主義

  匿名の群衆

  直接アクセス型社会

  公共領域の消失

  柔らかい全体主義


第五章  ホンモノはどこにあるか

  ベスト・ワンではなく、オンリー・ワン

  「ホンモノ探し」の文化

  一九〇〇年のホンモノ探し

  一九六八年のホンモノ探し

  二〇一二年のホンモノ探し

  己を忘るるべし


第六章  私たちはやり直せるか

  敗戦のときより憂鬱

  すこしも役に立ちませんてな

  心やさしい科学の子

  それぞれの「二度生まれ」

  鳶色の空気の奥にも


第七章  神は妄想であるか

  人生なんて無意味か?

  信じられるものを求めて

  無宗教&無党派

  神は妄想であるか?

  帰る家がない!

  個人的な共鳴

  「まじめ」に共鳴する


第八章  生きる根拠を見いだせるか

  運命は受け入れよ、人為は乗り越えよ

  三つのおかしな商品

  人間の「活き造り」

  吾輩は過去である

  「預言者」シューマッハー

  小さいものは美しい

  かけがえのないあなた


終章  それが最後の一日でも、幸せは必ずつかみ取れる

  人間の三つの価値

  イワン・イリイチの死

  「何をやるか」より「どうやるか」

  愛は丸ごと受け入れよ

  人生が投げかける「問い」に答える

  病気はまだ継続中である

  巨人たちの背中を見よ


  あとがき

  引用・主要参考文献