花のある生活

花はあまり出てきませんが。

エッシャー 不思議のヒミツ展

2024-06-16 | 美術館・博物館
富山県立美術館で開催されている「エッシャー 不思議のヒミツ展」に行ってきた。

オランダ出身の版画家で「視覚の魔術師」と呼ばれる、マウリッツ・コルネリス・エッシャーの初期の作品から晩年までの約160点を展示している。



エッシャーの父親は来日して福井県の三国突堤などを設計した優秀な土木技師で、父から同じ道に進むことを期待されたが、建築装飾美術学校に入学して1週間もたたないうちに建築コースから版画コースに転向した。

彼の才能を見抜いて版画を勧めたのが、師として終生慕うことになるサミュエル・イェッスルン・ド・メスキータ。

ただ当時は、それほど才能を発揮したわけでもなく「あまりに几帳面で芸術家としての素質にかけている」と評されていた。

美術学校で2年間学んだ後、友人とイタリアを旅してイタリアの風景に魅了され、拠点をイタリアに移して風景を何百枚もスケッチしては版画を制作した。


1924年エッシャーは、イタリアで出会ったイェッタ・ウミカーと結婚、その後息子も生まれ、ローマで創作活動をしていたが次第に戦争の影響が出始める。

1935年、長男がイタリア少年国粋党の制服着用を強制されたのをきっかけとして愛する土地を離れ、一家はスイスに移住。

しかし、そこに広がっていたのはイタリアとは全く違う風景で、冬は雪に覆われ創作意欲を掻き立てるようなモチーフは皆無だった。


海への憧れを募らせたエッシャーは妻のイェッタと共に、イタリア、フランス、スペインの海岸を巡る船旅に出る。

14年ぶりに船旅で訪れたスペインのアルハンブラ宮殿で、壁や床を覆うタイルの幾何学模様に心を奪われ、丸3日間文様を模写して回った。

それまでの写実的な風景描写から一転、規則性や数学的な構造といったテーマに関心を深めて、架空のイメージを描くようになる。

翌年、ベルギーに移るとメタモルフォーゼ(変容)をテーマとする作品を次々と発表。




代表作の「昼と夜」では左右に昼と夜が描かれ、田園風景が飛ぶ鳥に変化している。




番号順にタイル模様から鳥になり、最後には魚になる過程が描かれている。




エッシャーは様々な方法で紙の平面性を克服しようとした。
この版画は「裏側からパンチを受けたように見えるはずだった」が、結局紙面は平面なままで「イリュージョンのイリュージョンだった」とガッカリしたという。




この絵を動画にしたものが展示されていて、人物が動いているのを見ていると、ずっと見ていられるような感じで面白い。

絵の構図で自分の姿を映した写真が撮れたり、鏡の部屋があったりと体験型のコーナーもあります。

一見普通に見えるけど、実際にはありえない構造の「だまし絵」など、たくさん見れて面白かったわ。



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