ふと思い立って姫路までトレチャコフ美術館蔵の「レーピン展」を観に行
ってきました。「ボルガの曳き舟人」が日本人にはなじみ深い画家です。
久しぶりに心が洗われる気持ちで素晴らしい絵画をみせてもらいました。
イリア・E・レーピンは1844年生まれ、1930年83歳で亡くなりました。
非凡な絵の才能を持っていましたが貧しさのために正規の絵画教育は受け
ていません。しかし若くして頭角を現し、世界史に名前を残している文学
者、音楽家、演劇人などと交流を持ちその肖像を写真よりもリアルに残し
てくれています。家族である妻、娘と二人の息子には愛情あふれるタッチ
で、友人たちは性格の深みにまで踏み込んで。トルストイの山荘にも何度
も訪れスケッチ作品や油絵の傑作を描いています。音楽家ムソルグスキー
の肖像も印象に残りました。華やかな女性たち、女優やピアニストたちの
絵はフランス印象派を彷彿させる絵もあります。レンブラントからも沢山
のものをつかみ取ったということです。旅先で貧しい民衆の生活と出会い
、「ボルガ・・」のような彼らの生活も沢山描いています。今回の展覧会
の目玉、歴史上の人物「皇女ソフィア」は大作です。採光をかなり抑えて
観にくい美術館もありますがほどほどでゆったりといい展示でした。
本当の芸術の持つ力に圧倒された時間でした。
そういえば昔1978年に奈良県立美術館で「レーピン名作展」が開かれた時
の月光荘の図録を手元に持っています。主催、ソ連邦文化省、財団法人
国際美術協会、朝日新聞社とあります。この時代ロシアの絵画が大阪の大
丸で公開されました。絵の世界なんて関心の無かったOLだった私が初め
て絵画というものに目覚めた瞬間でした。通勤途上の電車のつり広告で見
た「ソ連邦美術展」だったのです。1974年でした。何度も見て74年度の図
録は背表紙もとれかけてしまっています。感動の涙が止まらなくなった記
憶があります。73年から77年までの図録が残っています。78年にレーピン
を観に奈良に行ったという記憶はありませんが、いまでは月光荘の図録だ
けが残っています。
ちょっと遠方ですが「レーピン展」よかったです。会期は3月30日までです。
暖かい日でしたので内堀に沿って姫路城のまわりをぐるりと歩いてきました。
ツグミかも・・
1万歩弱です。