予約している本が3冊もパソコンメールに入っている。年末を控えてギリギリ8冊
を借りていたので大急ぎで3冊読み終わる。そうだ今日は祝日だから娘も図書館
に誘ってやろう。たまの休日だからちょっと話でもしたいなと思って訪ねるとテ
ーブルの上に仕事関係の書類を山積みにして眼はキツイ点になっている。孫の
あかりちゃんは一人でごろごろして楽しくなさそう。
「ああ、お母さん図書館に行くんだったら私の予約も受け取ってきて」
一緒に行くどころか逆効果。「ついでにこれを返してきて」
よくまあ大きなリックを背負ってきたこと。
父ちゃんはいつもの体育系の生徒の付き添いで留守。昼過ぎには帰るからあかりを
父ちゃんにバトンタッチして不登校の生徒の家庭を訪ねるという。
えらいまあ遠くまで。
「担任の生徒も大事やろうけど自分の子供のことも考えてね」めったに口を挟まない
ようにしているのだがついばあちゃんのグチが口を突く。
「放っておけないねん。電話はいつもしているがもう2週間も休んでいるねん。お父さ
んは今年自殺してはるし、本人は線路の傍にぼうっと立ってたらしい。心配やねん」
突然がーんと殴られたようなショック。氷ツララが落ちてきたような現実。
陽だまりの中で絵を描いている老人には別世界だった。だが日々ニュースで
報道されている日常の中の出来事なんだ。「ただ、聞いてやるだけでも」と娘。
しかし17歳の生徒が崖っぷちに立っているのを担任教師が引き戻せるのか。
私から見たら未熟な娘である一人の教師が。もっともっと時間と人の知恵が要る。
こんな忙しい教師が一人で立ち向かっても刀折れ矢尽きるのが目に見えている。
絵が好きな生徒だから絵の具とスケッチブックを持っていってやると言う。
「ばあちゃんと図書館に行こうか」「ああ、そうして貰えると助かる」
いつも聞き分けが良すぎるほど素直なあかり。でも図書館までの道々、寂しそうな不満
そうな態度が見える。この子も荒波にもまれて生き抜いていくんだなとしみじみおもう。