災厄の年2011年を送る

風邪を引いた、なかなか直らない。沢山本を読んだ。月3回の
仲間との日曜スケッチ会。セーターも編んだ。いつもの平凡な
年と変わりなく幕を開けた2011年のはずだった。

3月11日。東日本をＭ9という大震災が襲う。世界最大級の地震
と津波で1万5千人以上の人が一瞬にして命を奪われた。
東京電力福島原子力発電所が爆発、目に見えない核の黒い霧に汚
染された。祖先から営々と築いてきた美しい風土。
その土地を棄て人々が逃げ惑った。馬も牛たちも豚や鶏、ペット
たちも放射能の中に棄てざるを得なかった。餌を与えられ飼育さ
れた動物たちは突然放り出され或いは放置された状況に何を思っ
ただろうか。動物なりの意思や感情があるはず。
傍らに暮らす老猫の日常を見れば動物がいかに人間に寄り添って
飼い主の言葉やしぐさを理解しようとつとめているかが分かる。

あの3月11日から何もかも変ってしまった。わずかだがカンパをし
ているが老齢のために役に立つことも出来ない。ボランティアで
献身的に働いている人々に感動し拍手をおくることしか出来ない。

冷たい冬がやってきた。
震災だけでなく日本列島、いや地球全体を灰色の雲が覆っている
ようだ。わずかな年金を命の支えに暮らしを立てているわたしに
も、これから年金を受け取ろうとする人にも、年金などに頼らな
いと決めた人の上にも、例外なく明るいニュースは無い。

ちなみに日本一の高額所得者は日産のカルロス・ゴーン氏、年収
9億8千200万円。2位はハワード・ストリンガー氏ソニー会長で年
収8億6千300万円だそうだ。日本の会社でありながら日本人では
ない。
ピラミッドの頂上のわずか1パーセントの富裕層と99パーセントの
貧困層に分断された21世紀初頭の地球の人口は今年70億人の大台
に乗った。
「絆」「絆」という言葉があれ以来氾濫と言ってもいいほど溢れ
ている。絆？？？「なんでや,誰かが意図的に作り出した便利な言
葉ではないのか」とふと頭をよぎる。
みんなが口にしている言葉は疑え。
「消費税増税やむなし」「世論調査結果首相にふさわしい人の1位
石原東京都知事、2位橋下大阪市長、3位小泉元首相」なんて全く
チャップリンの「独裁者」という映画を思いだす。
これでは「戦争もやむなし」と言う世論操作も簡単に出てきそうで
怖ろしい。

クリスマス・イヴの夕食会に超忙しい娘一家が招いてくれた。
孫はその日、学童保育のクリスマス会で食べたケーキに当って
「ゲー」をやりだし夜中の3時まで眠れなかったらしい。
（その夜の写真）

友への手紙（読書感想）

今年も師走半ば、別にこれと言って特別なことも無いのに日本人の哀しい性か年賀状も
まだ、編物も、絵も中途半端などとあわてだすのだから嫌になります。

その慌しい師走に私の絵の会員展を口実に懐かしい仲間が集まっておしゃべりという贅
沢な時間を持てたのも気働きのあるあなたのおかげです。いつも本当に感謝です。
私より一回り年下の後輩とはいえ含蓄のあるあなたのボケあり、突っ込みありの話を聞
くのはとても心が潤います。老いの兆候か私は本の話題ばかり話して顰蹙を買ったので
は？といいつつ又本のこと。

中古と言っても帯封つきの田中美智子さんの本。注文していたＡＭＡＺＯＮから送って
きて図書館での借り物とは違いゆっくり読むのが楽しみです。「まだ生きている」「さ
よなら、さよなら、さようなら」の２冊。送料こみで１冊３００円台ですから嬉しい。
本なんかここ何年も読んだのを見たことの無い夫が「今日はなん日、なん曜日？」を読
み終えて満足そうに愉快そうに笑っていたから私も嬉しいのです。

川上未映子の「ぜんぶの後に残るもの」を読み終わったところです。今までほとんど読
んでいない作家です。とても共感し感心し、日常其処にあるものをいかに自分が見逃し
ているのかを認識しました。でもこんなふうに立ち止まり考えていたらなかなか前に進
めない気もするし、深く考える人は本人も生き辛いのではないか？でも若いのにすごい。

何だか年賀状を書く気になれないで手付かずのままですが歴史に残る最悪の年の後に何
か希望のようなものを見つけようと頑張るしかないかなあ。
ともあれ今年もほんとに有難う。