まだ子供だった頃、毎年の初詣は「よいお話がかけますように」「いろんなお話が思い付きますように」と願っていた。
いつしか彼女とうまく行くように祈っていた。
12才の時に鮮明に覚えているのは、小説家になるために生きようと思っていたこと。
それがいつしか生きるために書こうと思うようになった。
生きるために書くうちに、こんなところまできた。
まだ小説家ではない。今もまだ二の足を踏んでいる。けれど、それ以外はほとんど叶ったよ。ねぇ。叶わなかったことも、規模を小さくしたこともあったけど、こぢんまりとした丁度いいものになったと思うんだ。
だから、そろそろ叶えたいと思うのはバチ当たりかなぁ。
あの頃の声に耳を澄ませて、もう一度息を吸う。
一年後、二双の雲龍が描かれた門をくぐった。五円がなくて一円を投げた。家庭円満無病息災を心から願った。
【おわり】