阿呆の鳥飼い

鳥飼いにとっては最初の一歩が最後の一歩。
スタートにしてゴール。だから悩みに、悩む。
アクリルケース14万円なり。カゴ10万円なり。鳥さん、プライスレス…。
鳥屋では、カゴに指をいれると叱られる。今まで二回叱られた。いよいよ、眺めるだけとなった。
鳥さんは私に気づいて興奮し、落ち着かない。思わず指を入れそうになるが、背後に憎たらしい太っちょ店員の息づかいを感じる。
鳥さんは菜っ葉のクズを拾いあげ、クチバシでチネチネとこねくり、水でふやかした。感心して見ていたら、立ちつくしている私の目の前の金網にこすりつけた。…プレゼントだそうな。

ある店ではルリコンゴウがペアで安売りされている。捨てられたそうだ。
じっーと見ていたら、4週間目にして、おはよ、ワンワン、と話してくれた。なんとも悲しげな声だった。

鳥さんにせよ、植物にせよ、言葉がないわけではない。しばらく見ていると色んなことが分かってくる。孤独な心で見ていると、彼らの声が聞こえてくる。こちらに恋人がいたり、家族といると、パタリと聞こえなくなるから不思議なもんだ。