GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

脚本と演出のアラが目につくテセウスの船

2020-02-24 22:26:18 | MUSIC/TV/MOVIE

TBS日曜劇場のテセウスの船。

前回このドラマの第1話を見た時点で「面白いぞ!」って書いた。

しかし、回を重ねるごとに「あれ?」って。迷走してるなぁって思いながら見てる。

 

***注意***

今回の記事はかなりのネタバレが含まれます。ドラマを録画やオンデマンド配信などでこれから観る人は読まないでください。また、登場人物の役名や役者名、設定などはうろ覚えで記載していますので間違っている場合があります。

 

平成元年(1989年)に起こった青酸カリによる無差別殺人。児童職員21人が亡くなったこの事件の犯人は、主人公田村心(竹内涼真)の父であり警察官の佐野文吾(鈴木亮平)。

令和2年(2020年)の今、それまで殺人犯の息子として父を憎んで生きてきた心は、妻・由紀(上野樹里)の「それでも心のお父さんだから信じたい」という言葉に揺り動かされってな感じで物語は始まる。

 

そのあといきなり上野樹里は出産と同時に死亡、竹内涼真は事件のあった小学校に行くとそこで吹雪にあい、気がつくとそこは事件のあったちょっと前。

第一回のこの時点で「30年もタイムスリップしたのに、動揺が少ない」とか「残してきた生まれたばかりの子供のことは一度も気にもしないんかい」とかあったけど、まぁ本編に集中。第一タイムスリップ自体がSFだものね、細かいところはスルーだ。

 

31年前の、家族みんなが笑って仲が良かった頃の実家に居候させてもらい、憎んでたはずの父は尊敬できる父だと思えるようになる。

上野樹里がスクラップしてくれてた当時の新聞記事を頼りに、悲惨な事件を食い止めるごとく奔走する竹内涼真。雪崩に巻き込まれて死ぬはずだったメッキ工場の親父・不破万作は助けられたが、除草剤を飲んで死亡するはずだった千夏ちゃんは一度は助けれたのに結局飲んじゃって死んじゃった。

これで「やっぱり歴史は変えれないのか」とか「歴史を無理に変えるとパラドックスが起こる」というタイムスリップ物定番の話になるのかと思ったら、意外とここもスルー。

 

身元不明で怪しいのに平気で臨時教職員として雇ってくれる校長・笹野高史。

世話焼きだけどなんか裏がありそうな教員・麻生祐未。

麻生祐未の実家のメッキ工場で働いてるパート・芦屋星。

彼女と同棲してて(実はDV)、何かと竹内涼真に突っかかってくる新聞配達員・竜星涼。

100円ライターの意思をこする癖があり竹内龍馬を怪しがる刑事・ユースケサンタマリア。

本来は火事で死ぬはずだったが竹内涼真と鈴木亮平の警護で助かった元県会議員・仲本工事。

その息子のいかにも出来の悪そうな息子・霜降り明星のせいや。

意味ありげにトラックの荷台にパラコート(除草剤)を積んでた農家の男・今野浩喜。

どいつもこいつも胡散臭さ満開で誰が犯人かわからないって展開は期待できた。

 

しかしさぁ、これがちょっと期待外れだったのよ。

竜星涼は女の子(最初に除草剤飲んで死んじゃった子の姉)を誘拐して、山小屋に監禁した後に彼女にメッキ工場から盗ませた青酸カリを自分で飲んであっけなく死亡。自殺した理由がいまいちわからん。

その監禁事件で容疑をかけられ警察(ユースケ)に連行される前に、これだけは見つかっちゃいけないとスクラップブックと免許証を谷底に投げ捨てる竹内涼真。いや、お金(平成●年と記載されてる)とか、スマホは?ってツッコミ入れたよ。

免許証は後日、居候してる鈴木亮平の家に届けられたが、年号などは黒塗りにされてた。誰かに拾われたのか、じゃぁスクラップブックは?もし犯人が拾ったのなら・・・。

 

とかなんとか言ってるうちに鈴木亮平に「僕は未来からやってきた」「あなたは僕の父で僕はあなたの息子です」「あなたはこれから起こる無差別殺人事件の犯人にされる」「そして家族は悲惨な未来を過ごしていく」とカミングアウト。またもや鈴木亮平の怒りを買う(3回目)。

ユースケ・サンタマリアにも自分はタイムスリッパーだと告白し、協力してもらうことになる。怪しいユースケを竹内涼真はなぜ信じたのか、ユースケもまたそれをなぜ竹内を信じたのかは曖昧。その後、ユースケは鈴木亮平に竹内涼間から聞いたことを伝え、死亡フラグ立つセリフを言う。案の定ユースケはそのあと崖から突き落とされあっけなく死亡。

竹内涼真も犯人に呼び出された神社の境内で、青酸カリの入った瓶を見つけ拾ったところで突き落とされる。鈴木亮平が助けに来てくれて手のひらの傷の手当てしてくれる。おいおい、青酸カリの入った瓶を持っててそれが割れたんだぞ。死ぬやろ普通。

 

で、また吹雪が吹いて現代に戻される。

歴史はどれだけ変わったのかをスマホで確かめるが、父は収監されたままで、それどころか母和子・榮倉奈々と兄慎吾は自殺して死んでいる。

歴史が変わってしまった〜!ってなるとこだけど、その前に「お前のスマホどんだけ充電保つねん!」ってツッコミ入れてしまった。過去に行ってる最中一度も充電してへんのやで。どんな長時間バッテリーやねん。

 

今回の現代では上野樹里とは結婚してなくて、雑誌の事件記者をやってる他人。ここでも前の現在では生まれてたはずの子供のことは一切気にしない竹内涼真。

 

お姉ちゃん佐野鈴・貫地谷しほりに会える。一家心中で生き残った彼女は顔を変えて名前も村田藍に変えていた。さらに事件の生き残りの少年木村みきお・安藤政信の子供を身ごもっていた。安藤政信は麻生祐未の養子で旧姓は加藤、貫地谷しほりは佐野→田村→村田。名前が木村になってないところを見ると籍を入れていない内縁の妻なのか?ややこしくてどうでもよくなっちゃった。

 

貫地谷しほりは、弟の心・竹内涼真と再会した時、すぐ「心なの?」って。おいおい、君たちは親を亡くして、施設に別々に入れられたと言ってるよね。それならまだ心が生まれてすぐの時に引き裂かれてるってことだ。顔に面影もクソもないだろう。それなら事件の前にいきなり現れて居候して、自分を助けてくれて、そしてまたいきなりいなくなった竹内涼真の顔を見たら「しんさん?」って言わないか?

 

鈴木亮平は刑務所の面会で「しんさんか?」と聞いてきたし、麻生祐未は現代で竹内涼真に会った時「どこかでお会いしませんでしたかね」と言ってたぞ。彼女は基本学校でしか会ってないから覚えてないのも無理はないが、姉なら同居してたんだから覚えてるだろう。当時もう小学5年生なんだからさ。

 

まぁ、原作を読んでないし、脚本家曰く「原作と犯人が違います」って言ってるくらいだからかなり原作弄ってるんだろう。そりゃ細部のアラも出るわね。

 

でもさ、2月23日放送の回、これはちょっとがっかりした。

今回は特にツッコミの嵐だ。

 

証言してくれると言ってた芦名星に会いに行ったら、麻生祐未に脅迫された貫地谷しほりもやってきて同席。「私。犯人見ちゃったんです」と肝心の話のところで貫地谷しほりは薬を飲んで倒れる。

救急車で病院に運ばれてる間に上野樹里が芦名星の家に着くが、そこでは芦名星が死に同席してた麻生祐未も重症で救急車で運ばれてた。現場に戻ってきた竹内涼真は「なんでだよ」と落ち込む。それを慰める上野樹里。

なんか無理くりラブロマンス入れてない?

 

それよりも今回のツッコミどころ満載の脚本及び演出。

病院に運ばれた貫地谷しほりは麻生祐未の証言で芦名星殺しの犯人にされかかる。そこまではまだわかるが、その麻生祐未が入院してる病室に竹内涼真が訪ねて行くと既に殺されてた。ここにいたら犯人にされると逃げるように立ち去る竹内涼真。

病室や病室前にはなぜ警官がいなかったのでしょうか。逃げた竹内涼真が病院の廊下にある防犯カメラに録られてるシーンがあったが、別に警察からお咎めも呼び出しもなし。

 

そうこうしてるうちに貫地谷しほりの内縁の夫/麻生祐未の義子から呼び出され、麻生祐未のマンションへ上野樹里と行く。そこでは奇妙な絵が何枚も描かれて飾られてた。警察は病院内で不審死(服毒死)した麻生祐未の家を家宅捜索さえしていないのか。

さらには麻生祐未の手帳を渡される。これも普通なら捜査のために警察や鑑識が持って行ってるはず。

その中には無差別集団殺人のあった小学校の関係者などの名前や住所や記載されてる。芦名星の住所はギリギリまでわかっていなかったはずだが、なぜか途中に記載されてる。

その手帳を頼りに、安藤政信の言ってた麻生祐未の病室から逃げ去った小太りの男を探し出す二人。そのノートに遠慮なく赤ペンで×印を書き込む。演出がひどすぎる。普通せんやろ。人のノートやで。借りもんやで。

 

小太りの男=霜降り明星のせいやの部屋に辿り着くも殺されてる。そこへ警察官が一人「大きな物音がしたから巡回に来ました」とやってくる。刑事ドラマでよくあるというか定番とも言えるこのパターン。お約束のように容疑者(犯人)に間違われ逮捕される。警察官は一人で行動しませんよ。二人一組ですって。

そして取り調べ。今時現場検証をしないうちに取り調べしないけどさ。これまたお約束のように決めつけで責める刑事。これまたお約束のように「俺は犯人じゃない」「ここから出せ」「こんな事してる場合じゃないんだ」と叫ぶ、暴れる、取り押さえられる竹内涼真。

 

上野樹里が近くの防犯カメラを解析して、竹内涼真の前に誰かが来て出て行った事を証明する。ただの事件記者がどうやって防犯カメラの映像を借りれたのかどうかとか、それだけでなぜ釈放されるのかわからんがとにかく釈放。麻生祐未が殺された病院で監視カメラに竹内涼真が映ってるのはお咎めなしか?

 

そして犯人からまたもや絵の入った封筒が部屋に届く。なぜ竹内涼真の住所を真犯人が知ってるのか、なぜそう都合よく在宅中に配達されるのか。

 

そしてまたもや竹内涼真は事件のあった小学校に出向くことにする。上野樹里も行くと言うが危険なので今回は一人でと言って断る。

代わる前の現代では結婚してて、妻の名前は由紀だと。そして彼女の言葉に突き動かされ父の潔白を信じて動いてること、そして過去に行って未来を変えようとしたが、帰ってきた現代はもっと最悪になっていたこと。前の現在では死んでしまった妻の由紀は、今回の現代では生きてて記者をやっていた。

これを一気に語る。

このシーンは悪くなかった。っていうより上野樹里と絡んでるシーンはどれもこれもいいシーンだ。つまらないツッコミは野暮だ。

 

でもまたもや出るのよね。フラグ立った台詞が。

「また会えますか」

『戻ってきたら今度は俺が美味しい鍋を作りますよ』

 

翌日小学校跡の慰霊碑が立ってる現場に行くと、これまたお約束のように安藤政信登場。車椅子でここまでどうやってきてんの前に、あぁどうせ立てるのに車椅子だったんだろうなって予想がつく。

案の定意味深な台詞に竹内涼真が振り返ったら立ってる安藤政信。ナイフで襲ってくる安藤、避ける竹内、もみ合う二人。

そして組み伏せた竹内にのしかかりながら、勝ち誇ったように事件を語る安藤。

これもお約束のフラグ。

さっさと刺さないと、語ってないでさっさとしないと反撃されたりどこからか仲間が現れるぞ。映画【KINGSMAN】の悪役を見習ってほしいな。

 

案の定竹内涼真は体勢を立て直し脱出、証拠は何もないよと勝ちほこる安藤に「会話はボイスレコーダーで録音してたぞ」と。それいつ買ってん。上野樹里から借りたんか?

そこにまた吹雪が。

で、また過去にタイムスリップ。

今度は加藤少年は生まれてくる前の竹内涼真を狙うのか。だとしたら榮倉奈々が危ない。

 

って、もういいや。

ワープロで「そろそろ始めよう」とか「実験は済んだ」とか打ち込んでたとこ見ると加藤少年の裏にはもう一人大人がいるはずだ。小学5年生がブラインドタッチでワープロ打てたのかもしれないけどさ。

もう、加藤少年を操っていたのは、実は六平直政でしたとかでも驚かないし、実は貫地谷しほりはお姉ちゃんに成りすました別人で、事件の黒幕(真犯人)は彼女だったでも驚かない。

好きにやってくれ給え。

 

あと、特殊メイク。

鈴木亮平の老けメイクは、鈴木の演技力もあって刑務所暮らしの疲れが出ててすごいと思った。

榮倉奈々の老けメイクも、旦那が殺人犯と世間に罵られ、子育てに疲れた母親を見事に出してた。

しかし麻生祐未の老けメイクは手抜きか?なんだあの銀髪カツラと中途半端な老婆メイクは。芦名星の老けメイクも年齢と合ってないよ。途中で予算尽きて特殊メイクアーティストのギャラをケチったとしか思えない。

 

お金の話のついでだが、ドラマの中で現代の竹内涼真は捜査ばかりしてて全然働いていないんだが、貯金があったのかなぁ。最初に過去に行った時は、所持金2万円もなかったような気がするんだけど・・・。ミニマリストのように家具のほとんどない部屋に住んでるけど家賃は?食費は?毎回かなり移動してるけど交通費は?

ほんとつまらないこと気にしてしまう。

 

タイムスリップもののおすすめ3選。

フランス料理のシェフが戦国時代にタイムスリップ。織田信長の料理人になり、本能寺の変を回避しようと動く。キスマイの玉森くん主演でドラマ化。明智光秀は稲垣吾郎で信長はGACKTだ。

能天気な高校生サブローが戦国時代にタイムスリップ。自分にそっくりな病弱気弱な織田信長に身代わりを要求され信長になる。小栗旬主演でドラマ&映画化

 

切腹寸前の武市半平太が現代にタイムスリップ。実は同じ時代に坂本龍馬や岡田以蔵もタイムスリップしてて、それなりに現代社会を生きている。関ジャニ∞(当時)の錦戸亮くん主演でドラマ化。

 

タイムスリップ物は現代から戦国時代や幕末から現代のように、ある程度離れてる方が面白いね。

 

 



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