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バーボングラス片手のロックな毎日

マグロ1万匹死ぬ。もったいねぇ。

2015-07-25 02:54:03 | FOOD&DRINK
以前、東京の葛西臨海水族館のマグロが大量死したってニュースがあったが、今回のはそんなレベルではない。
観賞用のマグロではなく、民間事業者6社が蓄養していたクロマグロが1万1072匹死んだ。
被害総額は約12億9000万円相当って発表だから、平均で1匹110万くらいか、「もったいねぇ」なんてよこしまな事を思いつつ記事を読む。

今回の被害は先日の台風11号の影響で、和歌山県串本町の紀伊大島沿岸で畜養してたマグロが、波に驚いていけすの網に衝突するなどしたためとみられてる。マグロは皮膚が弱いため、傷口から病気に感染しやすく、今後さらに死ぬマグロが増える見通しだと。
台風でこのくらいの被害なんだから、東北大震災の津波の際、宮城や岩手、福島でのアワビやホタテ、若布や養殖の魚の被害はどれだけだったんだろう。
今回の和歌山の養殖マグロも、このままだと死んでしまうならいっその事、逃がしてしまったらどうかと思うが、せっかく育てたマグロをみすみす逃がすわけにはいかないのか。ならさっさと水揚げして、活け締めして出荷した方が良い。
だいたい、マグロはサメと同じく泳ぎ続けてないと死んじゃう魚だ。アグロは実は時速160kmで泳ぐ。こんな魚を生け簀で飼う事自体、アンビリーバボーな行為だ。

先日のブログにも書いたが、マグロは江戸時代には殆ど捨てられてた魚。
冷凍や冷蔵、輸送技術がまだできてない頃は、赤身が唯一ヅケで食されてたくらいで、トロの部位は捨てられてたらしい。
それが今ではクロマグロは大間、戸井、三崎、見島産がてブランド化されてる位の高級魚。滅多な事では庶民の口には入らない。東京築地の年始のセリでは、ご祝儀価格とはいえ、とんでもない価格で競りがされてる。すしざんまいの社長のせいだが・・・。

関西以西ではキハダマグロやメバチマグロが主流。関東ほどクロマグロをありがたがらないからかな、普通に赤身をヅケ丼なんかにして食べてる。鉄火巻きも多いね。ネギトロは邪道って感じ。トロは関西ではあまりありがたがれない。

どんどん高騰するマグロを懸念して、近畿大学の水産研究所がマグロの養殖に取り組んだ。
世界で初めて孵化から、畜養に成功して、一気に知名度が上がった。人気漫画「銀の匙」の海洋版だね。その功績は凄い事だ。
今回被害にあった業者の中にも、近大施設で孵化した稚魚を畜養してた業者がいるらしい。

近大水産は「近大マグロ」としてブランド化した。大阪のグランフラントに直営店を出して、東京銀座に2号店も出した。
でもさ、どんどん広げるのは良いけど、最初の「高騰するマグロをもっとお手軽価格で提供できるため」ってのはどこにいった?
ブランド化は良いけど本末転倒になってるのがちょっと気になる。近大マグロは全然安くないからね。

近大は長崎県の五島市にも、豊田通商と提携して新たな施設を作ったらしい。「ツナドリーム五島種苗センター」って施設名らしい。ここでもクロマグロを卵から稚魚に育成し、完全養殖によるクロマグロの生産拡大を目指すとの事。どんどん手広くなってるが、いつになったら安く提供してくれるんだろう。行きつけの寿司屋も怒ってたぞ。

話は変わるが、台湾で日本向け冷凍マグロ53匹の体内から見つかった覚醒剤が計138キロ押収されたらしい。日本での末端価格は約14億円だそうだ。今回の台風の養殖マグロの被害金額より高い。1万匹の養殖マグロを育てるより、50匹のマグロに覚醒剤を隠して輸入した方が儲かるなんて・・・。

水際でよく止めてくれた。台湾当局に感謝。



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