Semantic High!

グルコースの中の人のブログ

RSSってなに?(その2)

2005-01-16 01:33:01 | RSS
前回からの続きです。

メールがあのように便利なのは、みんなが「きまりごと」を守って送受信しているために、1つのソフトウェアで一括管理したり並べかえができるのだ、という話をしました。そして「きまりごと」を守るにあたっての手間の大半はソフトウェアが担ってくれていると。

そしてようやくRSSの話に移るのですが、ホームページ(以下Webページと書きます)をメールのように扱うには、いくつかの難問がありました。とくに根本的な問題は、「Webページの規格を作ったときには、一括管理するつもりはさらさらなかった」ということです。メールの用途というのは比較的はっきりしているので、タイトル欄と宛先欄と本文をわけて・・・という発想ができるのですが、Webページは何をどのように書いてもいいというポリシーで設計されているため、「きまりごと」が入る余地がありません。デザインに凝ってみたり、1ページの中に文章も画像も動画も入っているような長い長いコンテンツを入れてみたり、というような自由さと、書く内容や形式をあらかじめ決めてしまうような「きまりごと」は相反する関係にあります。というわけで、Webページについては細かい書きかたは定められず、最大限の自由が認められることになりました。一括管理については、ブラウザ側がブックマーク(お気に入り)機能を提供しているので、それをユーザーがうまく使うというのが精一杯のところです。

とはいえ、世の中のすべてのWebページが完全に異なったデザインや構成になっているというわけではなく、ニュースサイトのように、内容は日々変わっていくけれどもデザインは固定、というようなサイトもあります。そして、このようなサイトを対象としてブックマーク機能よりも一歩踏み込んだ管理や新着情報の配信が実現できないか、という目的のもとに作られたのがRSSです。初期のRSSの規格を決めるのはそう難しくはなかったと聞いています。基本的にはメールと同じように、タイトル・更新日時・本文などの書きかたが決定されていきました。こうしてRSSは徐々に普及して、いまのような姿になったのです…というふうに簡単にいかないのがインターネットの世界のむずかしさです。

初期のRSSはまったくと言っていいほど普及しませんでした。「きまりごと」はあっても、それを守っているサイトがほとんどない、すると開発者はありがたみがないので対応するソフトウェアを作らない、するとユーザーはRSSの存在など知るよしもない、という感じで何も起こらなかった、というのが実際のところです。まあこれはRSSの内容が悪いとかではなく、インターネット上で提案される規格のほとんどがこういうプロセスを通って消えていくのです。各サイトにRSSを採用してもらおうという動きはあったのかもしれません。ところが、一度RSSの中身を見てもらえばいいかと思いますが(このリンクを右クリックして「対象をファイルに保存…」してメモ帳かなにかで開いてください)、とてもとても手書きしようと思うシロモノではありません。少なくともぼくは書こうとは思いません。

そんなこんなで消えてしまったかに見えたRSSですが、意外な展開が待っていました。ブログの登場です。ブログは、やってらっしゃる方ならご存じの通り、本文を書くだけできれいなWebページを自動的に作ってくれる便利なツールです。記事を書く際には、タイトル欄と本文が別れていたりと少しメールっぽい印象を受けます。そこで、初期のブログツールの開発者が、何を思ったのかWebページを自動生成するついでに同じ機能を使ってRSSを作れるようにしました(ぼくはなぜこの時点で彼らがRSSをつけようと思ったのかがまったく理解できないのですが、何かエピソードでもあるんでしょうか?知ってたら教えてください…)。その時代にはRSSに対応したソフトウェアはないに等しかったので誰も注目してはいなかったのですが、ブログの普及が急速に進んでそれと同じだけのRSSがインターネット上に存在するようになったとき、突如RSSはその能力を十分に発揮するようになりました。

メーラーのように各サイトの情報を一括管理するRSSリーダー、RSSだけを収集する検索エンジン、新しい記事を推薦してくれるサービス、これらはソフトウェアの開発者にとって扱いやすい、「きまりごと」にしたがった文書が大量に流通して初めて実現できるものばかりです。いまでは新たなソフトウェアが作られ、ユーザーがそれを利用し、盛り上がれば盛り上がるほどRSSに対応するサイトは増え…というように、数年前とは全く逆のプロセスが起こっています。それがいつ飽和するのかは誰にもわかりませんが、RSSとそれを取り巻く技術がぼくたちのインターネット生活を多少なりとも便利にしているのは事実なので、もうしばらくはこの流れが続くことを願っています。

これまで長々と書いてきましたが、まとめるとRSSはやっぱり「きまりごと」です。その単なる「きまりごと」が風雪に耐えて生き残り(?)、使えるだけの量がWeb上に集まってきたのがつい最近のこと。これからも、アイデア次第で新しい展開はいろいろあるでしょうし、グルコースとしても何らかの貢献ができればなあと考えています。

おおむかい拝
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