Semantic High!

グルコースの中の人のブログ

近況

2006-02-15 02:32:11 | RSS
1ヶ月のごぶさたでした。ぼーっとしているとついブログの更新を忘れてしまいます。ツールを作っている本人が、習慣化していないのは問題だ…。自分のブログやSNSの日記はそれなりに更新しているのですが、この場所では正座して長文を書かないといけないような気がしてしまうのです。とはいえそんなにネタはなく…と言い訳はそれくらいにしておいて、最近の活動をいくつかご報告。

Enterprise Watch「Web 2.0的キーマンに聞く」
サイボウズの小川さんによる連続インタビューの1人に入れてもらいました。セマンティックWebの話をこういう形でするのは初めてで、考えをまとめるよい機会になりました。ずっとWeb関係の研究をしてきた身としては、ヒトの行動がすっかり変わってしまったことを強く実感している今日この頃。ヒト2.0って流行語にならないかなあ…。ビジネスの話を全然しなかったのが,ご期待に添えていない点かもしれません。

FBSブログで書き物
Feed Business Syndication(FBS)のメンバーは持ち回りでブログを書くしきたりになっているので、2回ほどそこで書いています。「Feedはなぜこんなに種類があるのか?」「Feedのつくりかた」ぼくのエントリーは話題が断片的に過ぎる気配がしますが、他の方々の記事と合わせて読むと、多様な論点や課題が見えてきておもしろいのではないかと思います。

フィードビジネス・カンファレンス
昨年の8月からはじまって3回目を迎えるFBSのイベント。毎回盛況で楽しいです。今回は参加社ごとのプレゼンがあり、グルコース社からは社長アダチが直々にglucose 2のデモを行います。アダチの顔を見てみたいという方はぜひご参加を!

glucose 2ベータテストの状況
現在stage 2のベータテストですが、今週中にstage 3をリリースします。stage 2がやや不安定だったこともあり、多くの方々にご迷惑をかけています。リリースが遅くなってしまったのは、stage 3のユーザーインターフェイス周りで再現性の低いバグが発見されたのですが、この部分はstage 4で完全に書き換える部分だったのでどのように対処するかの意思決定が遅れたのが原因です。今後はなるべく進捗を報告していこうと思います。ロードマップとしては、stage 3で多数の不具合を修正し、stage 4で高速化とユーザーインターフェイスの刷新をする予定です。

それでは今後ともよろしくお願いします!
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PermaRSS その3 - ちょっと余談

2005-12-13 16:47:15 | RSS
前のエントリーに引き続き,PermaRSSの議論を進めていきます.

・linkのrelはmetaかalternateか

自分で書いてみてすごい小見出しだなあと思いました(笑).わかる人にしかわからない….さて,「Tociyuki::Diary - RSS 流用外部メタデータ文書」を拝見して,ああlinkのrel要素はmetaで書かないとなあ,と思っていたのですが,その次の「Tociyuki::Diary - RSS/Atom Auto-Discovery の rel="alternate" こそ誤用」での議論を読んで,これはRSSの根本問題につながっていくと確信しました.

で,プラクティカルな方から話を進めると,各RSSリーダーがAuto-Discoveryの実装をどうやってるのかなというのを知りたいなと.これはほんとに聞いて回りたいです(笑).あるHTMLが指し示す文書がRSSなのかAtomなのか,それとももっと別のものなのかを判別するのにrelを読んでるのか,titleだけで読んでるのか,それともURIの末尾の拡張子にあたる文字列か(これはないか).この部分で,rel="alternate"への依存が強いとすると,仕様を動かすことは難しいかもしれません.でも,よく考えてみるとFOAF Auto-Discoveryはrel="meta"で書くようになっているので,これを機に「誤用」を改めmetaとして定義してしまってもいいと思いました.おお.これで難しい話をしなくてよくなった,かというとさにあらず.

これだけだとあまり理論がなく,「他がそうだからうちもそう」みたいな話になってしまうので,もう一歩踏み込んで考えたいと思います.
前のエントリで、rel="meta" にしたのは、必ずしも content:encoded が含まれるとは限らず、メタデータだけかもしれないと考えたからです。(中略)一方、現在普及してしまっているサイトのフィードの Auto-Discovery に rel="alternate" を使うのは誤用です。link 要素が置かれている URI のコンテンツとは関係ないものが入っているからです。
「Tociyuki::Diary - RSS/Atom Auto-Discovery の rel="alternate" こそ誤用」より引用
でも、Atomだと話が違ってくるかなぁ。Atom SFってまんまHTMLのalternativeのような気がするので、Permalink(HTML)のalternativeとして(これ重要;metaではない)ほぼ同じ内容のatom:entryが返されるURLをlinkするってのはアリな気がする。
「Kickstart my heart: PermaRSSって必要?」より引用
どちらのエントリーでも,「meta」が意味するものと「alternate」が意味するものは明確に異なるという指摘がなされています.実のところ,不勉強につきXHTMLにおけるmetaとalternateの意味論(本来の定義)のソースを知らないのですが(神崎さんのページまでは遡れますが.あとhttp://purl.org/net/uriprofile/のキャッシュ),だいたいで言うとmetaはその情報を説明してくれるもの,alternateはその情報と等価なものという位置づけです.これらを比較して解釈してみると,alternateはもとのHTMLと同じ内容のXMLを指すものでないといけないのに対して,metaはもとのHTMLに対する「おまけ情報」であったり,あるいは不完全な情報であっても構わないということになります.

それで,現状のRSSやAtomを見ると,とてももとの情報と等価であるとは言えません.本文を示すことになっているdescriptionは途中で切られているものがほとんどで,すべてのRSS/Atomに全文が入る日というのは,現在のWebが広告モデルで成立していることを考えると,そう簡単には来ないでしょう.ちなみに,Atomだと全文が入っているという指摘もありますが,Atomの仕様を見てみると,ぼくの読み落としでなければatom:entryにはxhtmlを入れてよし,とあるだけで,それはそれで一歩前進ですが,全文が入っている保証はありません.

ではRSSにしろAtomにしろPermaRSSにしろ,いつまでもおまけ情報(meta)に留まるしかないのかというと,研究者としての理想を言えば,やはり完全に等価な内容を含んだ上で(=alternate),おまけ情報もある(=meta)ような「究極のデータ」になって欲しいと思っています.そうすればすべては解決で,1次情報(もとのHTML)・2次情報(メタデータ)の区別はなくなり,ただ究極のデータだけがWeb上にあるという状態を作りだすことができる,これが本当のWeb 2.0だ!というのは完全な余談ですが,PermaRSSを提案するにあたっての本音であり,そうなれるような可能性を残したフォーマットであればと考えています.

つい話が脱線してしまったので,次は仕様の話に戻ります…
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PermaRSS その2

2005-12-13 16:44:40 | RSS
先日のPermaRSSについて,いろいろなところで反応をいただき,うれしく思っています.何かと舌足らずな部分が多いですが,今後の議論でそれを埋めていきたいところです…

話を先に進める前に,ぼく自身のスタンスを明確にしておくと.いちおう本業は研究者なのでそれなりの整合性というか美しさを目指しつつも,RSSリーダー屋さんであるグルコースの人間として,美しすぎるがゆえに使うのが面倒な体系にはしたくないと思っています.これはどちらか一方の立場から見ると不十分・中途半端と言われてしまうので,なかなかつらいのですが.ということで,トラックバックをいただいたりこちらから検索した限りで見つけた論点を挙げていきます.

・そもそもPermaRSSは必要なのか?
Permalinkのサマリーが欲しいならmeta descriptionでいいんじゃないの。Auto-Discoveryなんかしなくたって、headを読んだ時点でdescriptionが手に入る。たかがサマリー取得のためになぜ2度もページ(とそのメタデータ)を取得しなければならんのだ。meta descriptionってなんかうぇぶ2.0っぽくないから流行らない?microformatsって言えばいいじゃん。ブログサービスはmeta descriptionをちゃんと記述しる!ってことでいいんじゃないの?
「Kickstart my heart: PermaRSSって必要?」より引用
端的にいえば,目先の問題を解決するためだけなら必要ないだろうとぼくも思います.実際にnaoyaさんが提示された問題は「ちゃんとした形式でサマリーが欲しい」ということなので,まさにmeta description(もしくははmicroformats)でうまくいくような気がします.ここでわざわざPermaRSSを持ち出してくるのは,問題を少しシフトして,すべてのエントリーにRSS並み(あるいはそれ以上)の表現力を与えることができれば,いま見えている問題の解決を超えて新たな応用方法が出てくるのではないかという願望が入っています.それが何かを言えてないところにこの仕様の弱さがあるなあと,弊社アダチとも話していたのですが….2度のアクセス(HTMLとPermaRSS)を要求する面倒さ・負荷とそれによるメリットのバランスが悪いという指摘については,現時点では認めざるを得ません.

もうひとつ,別の観点からmicroformatsにしない理由はというと,「対応アプリケーションを書きたいと思わせるモチベーションがあまりない」というのがあります.ひどい話ですが.microformatsでやるとすると,XHTMLであることを想定しておきたいわけですが,XHTMLでない(パーサを通らない)ドキュメントにmicroformatsが埋め込まれていたらどう処理するかを考えると大変そうです.正規表現でやれ,という答もありますが,今後サマリー以外に取りたい情報が出てきたら同じことを繰り返すのか,とか,そもそも何のためのXMLメタデータなのか,という話になってきます.もちろんグルコース社としては企業努力として対応できなくはないですが,同じことができる(能力というより根性)人・組織はそんなにないでしょうし,ライブラリがどんどん整備されて新しいアプリケーションが続出しているRSSのようには進んでいかないのではないかと思います.

議論は尽きないので,次のエントリーへ…
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PermaRSS(試案)

2005-12-11 04:55:57 | RSS
RSSはすっかりなじみ深いものになりましたが,仕様や運用を詳しく見ていくと問題がないわけではありません.中でも,ずっと前から気になっていて,いまだに解決されていないのが,古いブログの記事にRSSがついていないという問題.ブログにおけるRSSの位置づけが最新情報の通知だったこともあって,常に最新エントリー○件が載るような運用になっているのですが,RSSを「扱いやすい生データ」として考えるようになったときに,古い記事の情報がRSSの中から消えてしまうのは非常に都合が悪い.これについて実際に不便が生じているという事例が,「naoyaのはてなダイアリー - はてなブックマークの概要取得の処理」で指摘されています.RSS検索エンジンは頻繁にRSSの更新をチェックして,過去のデータを貯め込んでくれてはいますが,これによってデータが全て揃うかどうかは保証できません.

であれば,ブログの記事1つあたり1つのRSS(のようなメタデータ)をつけるという決まりを作ればいいのではないか,というのが「PermaRSS」のアイデアです.このアイデア,学会では2年前ぐらいから発表していたのですが(検索結果),ブログには1度も書いていなかったことが判明して反省してます...それはともかくとして,PermaRSSの基本仕様はRSSと同様のメタデータを記述する方法の定義と,XHTMLの中にそのメタデータの存在を示す方法の定義から構成されます.なお,今回はRSS 1.0に準拠した仕様を考えていますが,RSS 2.0やAtomについてもそれぞれ同じように仕様を策定する必要があります.

PermaRSSメタデータフォーマット
(ファイルのURI:http://blog.goo.ne.jp/glucose_goo/permalink0001.rdf)
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>

<rdf:RDF
xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/"
xmlns:trackback="http://madskills.com/public/xml/rss/module/trackback/"
xmlns="http://purl.org/rss/1.0/">

<channel rdf:about="http://blog.goo.ne.jp/glucose_goo/(サイトのURI)">
<title>Semantic High!(サイト名)</title>
<link>http://blog.goo.ne.jp/glucose_goo/(サイトのURI)</link>
<dc:date>2005-12-11T00:00:00+09:00(Permalinkの更新日時)</dc:date>

<items>
<rdf:Seq>
<rdf:li rdf:resource="http://blog.goo.ne.jp/glucose_goo/permalink.html
(PermalinkのURI)" />
</rdf:Seq>
</items>
</channel>

<item rdf:about="http://blog.goo.ne.jp/glucose_goo/permalink0001.html
(PermalinkのURI)">
<title>PermaRSSについて(エントリーのタイトル)</title>
<link>http://blog.goo.ne.jp/glucose_goo/permalink.html(PermalinkのURI)</link>
<dc:date>2005-12-11T00:00:00+09:00(Permalinkの更新日時)</dc:date>
<trackback:ping rdf:resource="http://blog.goo.ne.jp/glucose_goo/tb.php
(トラックバック用URI:オプション)"/>
<description>(エントリーの本文)</description>
<content:encoded><![CDATA[(エンコードされたエントリーの本文:オプション)]]>
</description>
</item>
</rdf:RDF>

PermaRSSを示すXHTMLタグ
<link rel="alternate" type="application/rss+xml" title="PermaRSS"
href="http://blog.goo.ne.jp/glucose_goo/permalink0001.rdf" />

仕様,と大層なことを言っていますが,特別なことは何もしていません.RSS 1.0の構造に完全に準拠しています.<trackback:ping>はこれを機に入れてみてはどうかという提案ではありますが,本当は入れたいモジュールが山ほどあって,これらを仕様レベルに落とし込むのは大変そうです.とりあえず,それ以外でぱっと思いつく議論のしどころは以下の通り.

・PermaRSSという名前でよいのか(おおむかいが勝手につけた名前なので)
・RSSとは別の名前空間で語彙を再設計すべきか(したくない…)
・<channel>はサイトかPermalinkか(個人的にはサイトに1票.RSSと同じにしたい)

これらが解決して,実際に運用が始まれば冒頭の問題は解消しそうです.ただ,せっかくここまでやるのであれば,もう1歩踏み込んで,「あるサイトにどれだけのPermalinkが存在していて,そのURIが何なのかがわからない」という問題の対処として,Google SitemapのXMLフォーマットを組み込むことも検討したいところです.そうすることで,あるサイトにたどりついた時に,そこに存在するすべてのコンテンツについてPermaRSSが取得できるようになることが期待されます.このあたりはブログツールの実装を含めた大きな話になっていきますが,できるところから議論を進めていければと思います.
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FBSカンファレンスにて

2005-12-09 22:45:27 | RSS
昨日のことになりましたが,FBSカンファレンスが開催され,グルコースからはおおむかいが「Web2.0とセマンティックWeb」というお題で10分ほどのプレゼンをしました.ぼくもWeb2.0について物申す人になったのだなあ,というのが感想です(笑).それはともかく,詳細なレポートが各メディアからすでに出ていますので,ご参考までに.

BroadBand Watch
CNET Japan
ITmedia

ぼくのプレゼンの内容は,情報がその書き手の意図を超えたような使われ方をするようになった時代の基本的な技術としてRSS(Feed)やAPIがあるというお話でした.「意図を超える」というのが微妙な表現ですが,RSSリーダーによって他のコンテンツと一緒にまとめられたり,検索の対象になったりと,単なる「公開された情報」以上の役割が与えられるというようなニュアンスです.情報は,どうも使われれば使われるほど価値が高まるものらしいので,その情報自体に使われるための準備を施しておくというのがメタデータの役割だと思っています.そして,その準備の仕方にいろいろあって,膨大すぎたり個人的すぎたりして相当の下ごしらえが必要なものはAPIで提供し,とにかくデータを使いやすい形でWebに置いておこうというのがFeed型の提供であると.技術的に突き詰めて考えると両者の区別はほとんどつかなくなってくるのですが,ざっくり分けるとこのような感じになります.

それで,これからはどのような流れが来そうなのかという話に移ると,情報がより再利用されやすい形になっていくだろうと思います.いまのRSSではタイトル・更新日時・本文の区別ぐらいしかできなかったのが,本文は本文でも例えばこれが商品のレビューで,何の商品について述べているのか,星をいくつつけるのか,値段はいくらだったのか,どこの店で買ったのかといった情報を共通のルールで書いておけば,あとで検索するときに星いくつ以上のものだけ探したいなどの要求に応えやすくなります.

しかしながら,共通のルールという部分がかなりやっかいで,みんなルールを守れるのかという基本的な問題のほかに,ルールは話し合いで決められるのか,どうしても例外がある場合は?などと悩みは尽きません.人間社会がそのようになっているのだからどうしようもない気もしますが,それを人工知能の力を借りながらなんとか実現に近づけていこうというのがセマンティックWebというテーマです.結局セマンティックWebについては時間の都合でほとんど話さなかったのですが,Web2.0という文脈で話されていることとの親和性はかなり高いのではないかと思えたのは収穫でした.

FBSカンファレンス全体としては,入門編だった8月の第1回からたった4ヶ月後に相当踏み込んだテーマの議論が行われていて.しかも参加者の方々がそれに何の違和感も感じておらないようだったのが印象的でした.あと個人的には10年前,高校生の時にわけもわからず必死で読んでいたネット系雑誌の編集長をされていた方にお会いできたのが本当にうれしかったです...
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メタデータ・ベタデータ・ネタデータ

2005-07-23 19:07:27 | RSS
19日のブログ研究会ことセマンティックウェブとオントロジー研究会は大盛況のうちに終わりました.幹事であるぼくの先生と会場の準備をしながら「何人ぐらいですかねー」「5~60人ってところかな」と話していたのですが,結局は100人を大幅に超えて,イスが足りなくなってしまいました.

テーマがテーマだけに,企業の方も大勢来られていたようです.アカデミックの世界にいる人間としては,いまのブログやRSSのようなメタデータに対して何を見ようとしているのか,何を目指しているのかを知ってもらうよい機会になったかと思います.ぼくも「Blog研究の現在 2005」という講演で,数ある研究の概要紹介と,研究のキーワードをまとめてみるということをしました.(この時のプレゼンはぼくの研究ページで公開していますので,もしよろしければご覧ください)

今回の研究会では,目玉企画として,Passion For The Futureという有名なブログを運営されている橋本大也さんをお招きして特別講演をしていただきました.その際のプレゼン等はすでにブログにアップされているので,すでにご覧になった方もおられるかもしれません.

さて,その特別講演では,豊富な事例もさることながら,メタデータが今後どうあるべきかという重要な論点が提示されていました.曰く,メタデータは字義通りに,もともとのコンテンツに付加された追加情報なのか,それとも定型化されているゆえに配信しやすいメディアなのか.たぶん答えはこの両者のどちらでもあるということになるのでしょう.それでも,メタデータを取りまく人々がどこに力点を置くかによって今後の様相はかなり変わってくると思います.

橋本さんは,現状のメタデータが,あとで活用しにくい普通のデータ(=ベタデータ)になってしまっているのではないかと指摘されています.確かに,メタデータを利用したサービスは百花繚乱ですが,それらを相互につなぎ合わせて新しいものを作る,といった動きはあまり見えていません.もちろん,これは単なる時期的な問題で,1年後ぐらいには相互接続ブームがやってくるということも十分考えられます(し,グルコース社ではそこを次のターゲットにしています).しかし,メタデータを扱うプレイヤーがそれをベタデータとして囲い込みはじめると,個別のサービスが個々に動いているだけの,現状とあまり変わらない世界が続く可能性もあります.

一方,ビジネスとして成立しないものは長続きしないというのも真理なので,どこかで独自性を打ち出せるようにする必要があります.そこで,メタデータを全て抱え込むのではなく,誰もが公共的に得られるべきもの,客観的なデータについてはみんなで共有できるようにしておき,そこから個人差が出てくるもの,主観や嗜好のデータといった部分で差別化や競争をしていこうという2段階モデルというものが考えられます.橋本さんの講演では,前者をStrict Semantics(意訳:かっちりとした意味づけ・根拠のあるデータ),後者をRough Semantics(同:人手でつけるぼんやりとした意味づけ)と呼んでいます.ちなみに,Rough Semanticsという言葉はむかしむかしぼくが発明したものです(笑).当初の語義とは少し違いますが,こっちの方がいい感じだと思います.それはともかく,Strict Semanticsは話のネタとして使われるので(=ネタデータ),なるべく誰かの意図でコントロールされていないことが望ましく,ネタデータをもとに行われるであろうコミュニケーションの部分で独自性を打ち出す,よって,現状のメタデータはベタデータではなくネタデータを目指すべき,というのが結論でした.

この講演を聴いて,いろいろとすっきりすることがありました.このブログでもよく書いているように,RSSは「きまりごと」なのですが,では今後RSSの使われ方が多様化していく中で,どこまでを「きまりごと」にして,どこからは「きまりごと」にはしないのか,という判断基準が少しクリアになりました.たぶんこれは次のトレンドであるはずの相互接続化(マッピングとかリミックスと呼んだりします)にも関係がありますが,多くの人が喜びそうな,次につながりそうなものはしっかりフォーマットを守り,最終的に1人で楽しむところではカスタマイズでも何でもしていい,というところでしょうか.

そうすると,今度はこういう判断基準をどうやってみんなで共有していくか,という問題がやってくるのですが,ここはひとつ研究者の顔をして,地道に活動していく必要がありそうです.それが2つの顔を持つ男(?)の使命なのだと勝手に思っています.
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Permalinkに連れてって

2005-07-09 03:51:57 | RSS
ブログの普及がもたらした代表的な技術,というと何といってもRSSになると思うのですが,ほかにもいろいろとあります.中でも,1つのエントリー(記事)ごとに1つのページを作り,1つのURL(アドレス)をつけるPermalink(パーマリンクと読みます)の考え方は重要です.ちょうど,はてなのnaoyaさんが非常にわかりやすいPermalinkの話を書かれているので,ぜひ読んでみてください.

伊藤直也の「アルファギークのブックマーク」:部屋番号のないマンションとPermalinkの共通点

ブログで日々文章を書いていくと,トップページの内容はどんどん変わっていきます.過去の記事はどんどん下がっていき,ついには見えなくなります.そうすると,ある記事のことを説明するためにトップページをリンクしていた場合に,そのリンクは意味をなさなくなってしまいます.それを避けるために,ブログツールでは記事を書くごとに新たなページを1つ作って,その記事だけを載せておきます.そうしておいて,そのページにリンクしてもらえれば,その内容はずっと保証されるはず,というがPermalinkの基本的な考え方です.ブログでは,前に書いた記事の内容をわざわざ全面的に書き換えるようなことが少ないので,こういう単純な方法でうまくいくわけです.

さて,ブログツールは新たな記事=ページができると同時に,RSSにそのページへのリンク=Permalinkを書き込みます.このRSSを常にチェックしているRSSリーダーは,記事のリストに新着記事を表示して,ユーザーはそれをクリックするとPermalinkが指している新着記事のページに飛ぶことができます(goo RSSリーダーの場合.その他のRSSリーダーではRSSに含まれる本文情報をそのまま表示するだけのものもあります).

ここでポイントになるのは,RSSリーダーのユーザーは,トップページにアクセスすることなく最新記事のページにたどり着けるということです.しかも迅速に.これは何を意味するのでしょうか?サイト全体で考えたときの,閲覧者の動きが根本的に変わるのではないか,というのがぼくの答えです.これまで最も人通りが多かったトップページ,情報が一覧できるゆえに重宝されていたトップページが,RSSとPermalinkを利用することによってパスされて,さっさと最新情報に行ってしまうという状況はすでに生まれています.最新情報を伝えてくれるナビゲータだったはずのトップページは,どこにあるかがわかっている最新情報に行くためにわざわざ通らなければならない,邪魔なページになってしまっているのです(やや誇張した表現です.あしからず).

問題はブログのトップページだけにはとどまりません.情報をまとめて表示するという機能を提供しているサイトはすべて同じような扱いを受ける可能性があります.そして,Webを経済的に支えてきた広告はどうでしょうか.広告は人通りの多いところに立てるのが鉄則ですが,その人通りの多いところはいったいどこなのでしょうか.いろいろ考えていくと,変革の時期は意外と近いような気がしてきます.もちろん大ハズレするかもしれませんが….

というわけで,Permalinkと,そのPermalinkに迅速に連れていってくれるRSSの影響は計りしれないものがあるのではないかと,ぼくは考えています.そして,その時代に重要な役割を果たすのがRSSリーダーなのだ,という結論はいささか我田引水なところはありますが,そう思っているのは確かです.
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RSSにもアクセス解析を!

2005-06-30 05:12:46 | RSS
このブログのアクセス解析(gooブログアドバンスのおまけ機能)を眺めていて,ふと思いました.

「RSSのアクセスも数えてくれたらいいのになあ」

実際のRSSリーダーの普及率がどれくらいなのかは知りませんが,サイトによっては半数以上のアクセスがRSS経由だという例もあるようです.goo RSSリーダーのデフォルト設定では,本文を読む際には通常のHTMLページにアクセスするのでアクセス解析に痕跡が残りますが,大半のRSSリーダーはRSSファイルにアクセスしてその内容を表示するだけなので,現状では痕跡は残りません.

RSSのアクセス数を数える場合,RSSリーダーが30分に1回程度の頻度で自動巡回するのをどう評価するかとか,サーバー型RSSリーダー(パーソナルサマリBloglinesなどなど)は全ユーザーを代表して1回しか取りにこないなど,「本当に読まれた回数」を計算するのは非常に難しいです.しかししかし,RSSというものがどれぐらいの威力を持っているのかを知っていただく意味で,概算だけでもわかるようになると面白いと思います.ついでにgoo RSSリーダーの宣伝になるかもしれないし…

ということで,(最近このまとめ方ばっかりだ)ぜひ実現を!>gooブログの中の人,ならびに他のブログサービスの中の人

※ちなみに,自分のサーバーでブログを運用している方は,FeedBurnerというサービスを利用することでRSSのアクセス解析ができるようになっています.
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テレビ+RSS=?

2005-03-18 04:35:17 | RSS
フジテレビが4月中旬から公式サイトの情報をRSS配信し、独自のリーダーを配布するそうです。ここ最近のフジテレビ・ライブドアのニュースを見ていて、テレビとブログ・RSSはいずれは接近していくのだろうなあと思っていましたが、このような具体的な事例が出てくると、何というか不思議な感じがします。自分たちがいるRSSの世界が、マスメディアであるテレビ、そしてテレビを見ている多くの人々と地続きになったような気がするのです。

すでに、テレビとインターネットは切っても切れない関係ができあがっています。それは技術的に両者が融合していくという話ではありません。検索エンジンに入力されるキーワードが、その時間に放映されている番組の内容に完全にシンクロしている、すなわち、テレビを見て気になったことをすぐにインターネットで調べるというライフスタイルが普通のものになっているという、人間側の話です。

ぼくがWebに関する研究開発に携わるようになって数年がたちましたが、この間に痛感したのは、Webを変えるのは技術ではなくて人間のふるまいなのだ、ということです。もとの記事から想像するに、いまのところは番組情報をRSSで配信してくれるわけではなさそうですが(ティッカー専用っぽい)、近い将来それが実現され、多くの人々がそれを見るのが当たり前になったときに、いったい何が起こるのでしょうか。まださっぱり想像がつきませんが、とにかくそういう世界がやってくる可能性が出てきたということで、それを見据えてソフトウェアを作っていこうと思う次第です。

余談ですが、先日リニューアルしたasahi.comのトップページから、RSSの存在が見えなくなってしまいました。サイトマップには載っているのですが、1年間やってみた結果は芳しくなかったのでしょうか。いずれにせよ、マスメディアとRSSの関係はこれからも揺れ動いていくでしょうし、その流れは随時追いかけていこうと思います。

おおむかい拝
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RSSは第3のメディア?

2005-02-09 20:35:35 | RSS
最近、いろんな人から聞くのが「RSSリーダーとブラウザを同時に立ち上げるのが面倒」という言葉。ぽつぽつと見かけるRSS関連のセミナーでは「RSSはWeb・メールに続く第3のメディア」というキャッチフレーズがあったりして、RSSは世間の人々(といってもまだ新しもの好き層だけかもしれませんが)にどのように受け入れられ、どのように位置づけられているのかが気になってきました。

普及しているRSSリーダーをいくつか試してみると、確かに「Web・メールとは別物」と考えられなくはありません。ほとんどの場合に表示されるのはデザインされていないテキストの文章です。そのコンテンツの出どころはブログであったりニュースサイトであるのは間違いないのですが、見た目が違うので新しいものを扱っているような印象を受けます。だからこそRSSはRSSリーダーで読み、普通のWebページはブラウザで読む、という分業が自然となされているのかなあと。

「新しい」ということはすばらしいことではあるのですが、その反面で「新しい」こと自体がなんらかの敷居になってはいないか、というのを常々考えています。ぼくも「こんなに便利なものをなぜ使わないのか」とよく言われるのですが、新しいものを試すときには面倒に思う気持ちとか、抵抗感のようなものがあります。それが先端的であればあるほどその傾向は強くて、そのハードルが高ければ高いほど普及しにくくなってしまうでしょう。

ということで、「goo RSSリーダー」ではRSSの中身を直接テキストで表示するという、RSSリーダーには当然ついているであろう機能をうしろに隠し、初期設定ではWebページがそのまま表示されるようになっています。これだと、RSSによって得られるであろう「軽快に大量の文章を読む」という利点はなくなってしまい、RSS を単なるサイトの更新チェックのために利用することになってしまうのですが、個人的にはそれでいいのではないかと思っています。いつかは第3のメディアになって欲しいけれど、いまはそこまでの状況ではないのでWebを便利にするツールとして使ってもらえればいいし、RSSリーダーもちょっと便利なブラウザとして使ってもらえればいい、そんな風に考えています。現状の「goo RSSリーダー」は完全にブラウザの代わりを務めるには少し機能が足りていないので、不満に思われる方もおられるかもしれませんが。

RSSの現状を見渡すと、メディアとなるにはやや不利な動きも起こってきています(この話はまた後日。書くべきことが増えてきたなあ)。今後の流れを予想することはとても難しいのですが、RSSがその力を最大限に発揮できるように活動していければと思っています。

おおむかい拝
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RSS 1.1

2005-01-19 06:36:54 | RSS
「RSS 1.1」という規格のドラフト(たたき台)が公開されていました。時間がないのでざっと眺めただけですが、なぜここまで作りかえてしまうのか、というのが第1印象。とても0.1の変更とは思えません。これからこの規格がどう転がっていくのか、注目していきたいと思います。それとは別に、RSSリーダー開発者を悩ませる規格の話を後日ゆっくりとやりたいと思います。こちらは裏話みたいな感じで。

このブログではこういった技術的な話や業界ニュースも随時取り上げていきます。ここにアクセスすればRSSのことがすべてわかる!というのが大目標なのです。実は。まずは読んでくださっている方が混乱しないようなカテゴリーの整理をしないと…。

おおむかい拝
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RSSってなに?(その2)

2005-01-16 01:33:01 | RSS
前回からの続きです。

メールがあのように便利なのは、みんなが「きまりごと」を守って送受信しているために、1つのソフトウェアで一括管理したり並べかえができるのだ、という話をしました。そして「きまりごと」を守るにあたっての手間の大半はソフトウェアが担ってくれていると。

そしてようやくRSSの話に移るのですが、ホームページ(以下Webページと書きます)をメールのように扱うには、いくつかの難問がありました。とくに根本的な問題は、「Webページの規格を作ったときには、一括管理するつもりはさらさらなかった」ということです。メールの用途というのは比較的はっきりしているので、タイトル欄と宛先欄と本文をわけて・・・という発想ができるのですが、Webページは何をどのように書いてもいいというポリシーで設計されているため、「きまりごと」が入る余地がありません。デザインに凝ってみたり、1ページの中に文章も画像も動画も入っているような長い長いコンテンツを入れてみたり、というような自由さと、書く内容や形式をあらかじめ決めてしまうような「きまりごと」は相反する関係にあります。というわけで、Webページについては細かい書きかたは定められず、最大限の自由が認められることになりました。一括管理については、ブラウザ側がブックマーク(お気に入り)機能を提供しているので、それをユーザーがうまく使うというのが精一杯のところです。

とはいえ、世の中のすべてのWebページが完全に異なったデザインや構成になっているというわけではなく、ニュースサイトのように、内容は日々変わっていくけれどもデザインは固定、というようなサイトもあります。そして、このようなサイトを対象としてブックマーク機能よりも一歩踏み込んだ管理や新着情報の配信が実現できないか、という目的のもとに作られたのがRSSです。初期のRSSの規格を決めるのはそう難しくはなかったと聞いています。基本的にはメールと同じように、タイトル・更新日時・本文などの書きかたが決定されていきました。こうしてRSSは徐々に普及して、いまのような姿になったのです…というふうに簡単にいかないのがインターネットの世界のむずかしさです。

初期のRSSはまったくと言っていいほど普及しませんでした。「きまりごと」はあっても、それを守っているサイトがほとんどない、すると開発者はありがたみがないので対応するソフトウェアを作らない、するとユーザーはRSSの存在など知るよしもない、という感じで何も起こらなかった、というのが実際のところです。まあこれはRSSの内容が悪いとかではなく、インターネット上で提案される規格のほとんどがこういうプロセスを通って消えていくのです。各サイトにRSSを採用してもらおうという動きはあったのかもしれません。ところが、一度RSSの中身を見てもらえばいいかと思いますが(このリンクを右クリックして「対象をファイルに保存…」してメモ帳かなにかで開いてください)、とてもとても手書きしようと思うシロモノではありません。少なくともぼくは書こうとは思いません。

そんなこんなで消えてしまったかに見えたRSSですが、意外な展開が待っていました。ブログの登場です。ブログは、やってらっしゃる方ならご存じの通り、本文を書くだけできれいなWebページを自動的に作ってくれる便利なツールです。記事を書く際には、タイトル欄と本文が別れていたりと少しメールっぽい印象を受けます。そこで、初期のブログツールの開発者が、何を思ったのかWebページを自動生成するついでに同じ機能を使ってRSSを作れるようにしました(ぼくはなぜこの時点で彼らがRSSをつけようと思ったのかがまったく理解できないのですが、何かエピソードでもあるんでしょうか?知ってたら教えてください…)。その時代にはRSSに対応したソフトウェアはないに等しかったので誰も注目してはいなかったのですが、ブログの普及が急速に進んでそれと同じだけのRSSがインターネット上に存在するようになったとき、突如RSSはその能力を十分に発揮するようになりました。

メーラーのように各サイトの情報を一括管理するRSSリーダー、RSSだけを収集する検索エンジン、新しい記事を推薦してくれるサービス、これらはソフトウェアの開発者にとって扱いやすい、「きまりごと」にしたがった文書が大量に流通して初めて実現できるものばかりです。いまでは新たなソフトウェアが作られ、ユーザーがそれを利用し、盛り上がれば盛り上がるほどRSSに対応するサイトは増え…というように、数年前とは全く逆のプロセスが起こっています。それがいつ飽和するのかは誰にもわかりませんが、RSSとそれを取り巻く技術がぼくたちのインターネット生活を多少なりとも便利にしているのは事実なので、もうしばらくはこの流れが続くことを願っています。

これまで長々と書いてきましたが、まとめるとRSSはやっぱり「きまりごと」です。その単なる「きまりごと」が風雪に耐えて生き残り(?)、使えるだけの量がWeb上に集まってきたのがつい最近のこと。これからも、アイデア次第で新しい展開はいろいろあるでしょうし、グルコースとしても何らかの貢献ができればなあと考えています。

おおむかい拝
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RSSってなに?(その1)

2005-01-13 18:04:14 | RSS
仕事柄、いろんなところでRSSの話をさせてもらうのですが、その際に毎回毎回悩んでいるのが「要するにRSSってなに?」ということをどう説明するかについてです。そこを聞いている人に納得してもらわないと話が先に進まないのですが、その入り口の部分が一番むずかしいです。それで毎回毎回新しいたとえ話を用意しては反応を伺うという試行錯誤を繰り返しています。ここではこれまで作ったたとえ話の中でほどほどに納得してもらえたものを取り上げて、このブログの最初のエントリーにしたいと思います。

「RSSってなに?」の一番簡単な答は、ホームページをメールのように扱うための「きまりごと」です。

メールって便利ですよね(いまさら言うことでもないですけど)。パソコンなり携帯なりで文章を書いて送信すれば相手に届く。届いたメールはメールソフトで管理されていて、受信日時順とかタイトル順で並べかえができる。キーワード検索もできる。まあ当たり前といえば当たり前なのですが、なぜこんなに簡単に整理整頓ができるのでしょうか?

それは「きまりごと」があるからです。もし、ある人が自分が出すメールに個性を出そうとして、送信日時を「平成十七年・・・」と書いて送ったら、受け取った人は時間による並べかえができなくなります。いや、メールソフトの開発者ががんばれば対応できなくはないのですが、次に「二〇〇五年・・・」と書く人が出てきたら、などと考えると際限がなくなって疲れ果ててしまいます。ということで、メールについてはちゃんとした規格が決まっていて、日付の書き方はこうしなさいとか、タイトル欄を設けなさい、CCはこう、BCCはこうという共通の理解があります。

で、規格を決めるのはそんなに大変な作業ではないのですが(本当はこれはこれでものすごく大変です。この話はまた後日)、もっと大変なのが、ユーザのみなさんにこの規格を守ってもらうという部分です。知識のありなしの差もありますし、そもそも人間にミスはつきものなので、日付の書き方で1文字でも間違うと届かない、なんていうシステムだと機能しないし、たぶん誰も使わなくなると思います。

実際は、まさにそこがソフトウェア開発者の腕の見せ所で、メールを書く場合にはあらかじめタイトル欄と宛先欄と本文欄を分けておくとか、日付はパソコン内部の時計から読み込んでユーザは書かなくてもいいようにするとか、いろいろな工夫をして「きまりごと」を無意識的に守ってもらうということを目指しています。このように、見えない部分の努力の結果が、いまぼくたちが快適に利用しているメールのシステムとして実現されているわけです。

さてさて、じゃあRSSはどうなのかという話に移るのですが、メールの話を長く書きすぎたのでいったん切ります。また次回

おおむかい拝
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