Semantic High!

グルコースの中の人のブログ

「ウェブがわかる本」発売!

2007-04-30 03:05:27 | Research
突然ですが、本を書きました。
題名は「ウェブがわかる本」、岩波ジュニア新書という中学生・高校生向けの新書シリーズの1冊です。

何やらものすごく大きな題名になってしまってますが、ウェブの歴史やブログ・SNS・集合知といった現在のウェブの姿についてまとめつつ、ウェブでの情報の探し方、コミュニケーションのとり方について、実践しながら考えてみるということをテーマにしています。そういえば、Web2.0という言葉は1回も使わなかった…。

正直なところ、若い世代に向けてウェブの本を書くというのは本当に大変な作業でした。物心ついたときから身の回りにウェブがある人に「YouTubeがすごい」と言ってもしょうがないし、ぼくよりもはるか先に行っている人もいるはずです。そんな状況で、彼らに伝えられることがあるとすれば、ウェブはどういう人たちがどういう思いで作り上げ、いまこういう形で存在しているのか、といった昔話であったり、ウェブに問題があるとすればどういうところで、それをいかに回避するかというリテラシーの話ぐらいしかありません。いま読み返してみると、情報の信頼性とか他人とのコミュニケーション作法とか、ウェブに関係はあるけどウェブだけの話ではない、そういうよしなしごとを綴った不思議な本になっています。

ぼちぼちと周りの人に読んでもらっていますが、検索エンジンやウィキペディアを使ってどうやってまともなレポートを書くかという学生特有の部分はともかくとして、ウェブやブログの本質について書いた部分は他ではあんまり読んだことがないという評判をもらっています。極力シンプルに書いたつもりなので、学生さんだけではなく、ウェブって結局何なのか?と思われている(おとなの)方にも読んでいただければなあと。

そんなわけで、学校や会社での大量購入、お待ちしています(笑)。

ウェブがわかる本

岩波書店

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セマンティックウェブ関連の催し物

2007-01-12 15:40:52 | Research
遅ればせながらあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

今月はセマンティックウェブ(今年からカタカナ表記でいこうと思います)関連の催し物が2つ立て続けにあるので、そのご紹介。

日本ソフトウェア科学会チュートリアル「セマンティックWebの基礎知識」
用語としては広まりつつあるセマンティックウェブも、その内実はほとんど知られていないように思います。論理の世界に根ざした話なので、とっつきにくい部分が多々あるのは事実です。そんなわけで、チュートリアル形式(3時間半!)で基本からセマンティックウェブを学べるのはよい機会だと思います。日時は1月15日、場所は慶應三田キャンパスです。

セマンティックWebコンファレンス2007
こちらはセマンティックウェブのシンポジウムで、世間の動向やデモ展示が充実しています。そういえばぼくの研究室もデモ出すんだった(が、ダブルブッキングでぼくは参加できず)。話題先攻になりがちなセマンティックウェブの現在の姿が見られるので、こちらもおすすめです。日時は1月25日、場所はまたもや慶應三田です。
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研究者から見たWeb2.0

2006-12-07 02:05:54 | Research
研究者のお仕事として、新しい分野を開拓する、文字通りの「研究」をすることはもちろんですが、もう1つ、いまの時代や状況がどういう成り立ちをしているのかといったことを言葉で説明してみるという役割があるのではないかと思っています(後者ばかりをやっていると評論家と呼ばれてしまいますが…)。個人的に2006年を振り返ると、たまたまそういった機会が多く、結果としていくつかの記事が手元に残りました。いつもは、こういう記事は同じ研究者の中でだけ流通するものですが、少し思うところがあってHTML化し、公開してみることにしました。

あれやこれやの経緯があって、Web2.0という言葉と切っても切れない世界にどっぷり浸かっています。そうすると「Web2.0ってどうなの?」あるいはもっと直接的に「Web2.0はいつ終わるの?」と聞かれることがあるのですが、ぼくはいつも楽観的な返事をしています。10年ぐらいは大丈夫なんじゃないの、とかなんとか。

まあ正直なところ、ビジネスの世界で「Web2.0」という言葉が存在し続けるかどうかはよくわかりません。Web2.0だから確実に儲かるとか、Web2.0だから絶対に儲からないとかいうものではなく、ちゃんとビジネスができるところが残って、そうでないところは残らないという、当たり前の世界でしかないのだと思います。

一方で、じゃあWeb2.0という言葉に意味がないのかというと、それはまた違う話かなとも思います。人がWebを受け入れ、その結果としてまたWebが変わっていくというサイクルのスピードは過去に例を見ないものであり、その「勢い」そのものに注目し、名前をつけたくなる気持ちは何となくわかります。

今年、立て続けに書いた記事では、そういう勢いであるとか、その勢いをなしている個々の事象なり現象を(そればかり)取り上げていますが、別にその名前が何であろうが、あるいは名前がなかろうが、それらはやっぱりあったはずです。そしてその勢いは、多少名前が消えたりするぐらいでは衰えようがないというのがぼくの見立てです。

ということで、もしご興味とお時間がありましたら「Web2.0 3部作(仮称)」をご覧いただければと思います。いわゆる論文口調で読みにくいところがあったり、それぞれ重複する記述がありますが、ご容赦ください。そして、忌憚のないご意見をお待ちしています。

「リアルワールドとしてのWeb」(人工知能学会誌 2006年7月号掲載)

「SNSの現在と展望」(情報処理 2006年9月号掲載)

「Web2.0と集合知」(情報処理 2006年11月号掲載)
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Web2.0の現在と展望

2006-11-24 19:05:52 | Research
またもや告知です。(最近告知ばっかりですいません)

先日発刊された情報処理学会の会誌「情報処理」11月号で、特集「Web2.0の現在と展望」の編集をさせていただきました。情報技術の専門家向けの雑誌ということで、結局Web2.0って何なのか…と自問自答しながらも、一過性のブームで終わらないような話題を取り上げたつもりです。会員でないと入手しにくいのですが(あるいは大学の図書館など)、機会があればぜひお読みください。

あと、この特集を記念して(?)、11月29日に情報処理学会主催のセミナーが開催されます。特集の著者が一堂に会し、アカデミックの世界から見たWeb2.0、Webを通じてアカデミックとビジネスがどうつながっていけるかといった話ができればと考えています。前回告知に引き続き有料になってしまって恐縮ですが、お時間の都合がよろしければご参加ください。申込ページはこちら。きょう締め切りだったりしますが、何とかなるのではないかと…。

ということで、よろしくお願いします!
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論文募集:ブログ・SNS・ソーシャルウェアの未来形

2006-01-09 21:16:57 | Research
今回は主に研究者向けのエントリーです.

今年6月に行われる人工知能学会全国大会にて,ブログ・SNS・ソーシャルウェアに関する特別セッションを企画しましたので,そのお知らせです.研究としてこういった分野に関わっておられる方々の論文投稿をお待ちしています.
人工知能学会第20回全国大会(JSAI2006)
近未来チャレンジ(サバイバル・オブ・チャレンジ)セッション
「Community Webプラットフォーム -ブログ・SNS・ソーシャルウェアの未来形」
論文募集
http://www-kasm.nii.ac.jp/~i2k/research/archives/cat_cweb.html
研究者として,こういった新しめの話題について集中的に議論する場が少ないという悩みがあるのですが,ならば自分で作るしかないと提案したのが今回のセッションです.分析・提案・システム構築あるいは運用など,幅広い分野の論文を募集します.よろしくお願いします.

さてさて,学会は研究者が集まって議論するところなのですが,それとは別にビジネス・研究の枠にとらわれずに議論する必要があるのがこの分野のおもしろいところです.これまで「ブログ勉強会」と題して3回ほど開催しましたが(最後は六本木ヒルズでやりました(笑)),これのパワーアップ版もやりたいと思っています.まだ仕込みの段階で,いつになるやらはっきりしませんが,これももう少し形になったらここで告知したいと思います.
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ブログ研究会

2005-06-26 17:27:05 | Research
このブログのタイトル「Semantic High!」は、次世代のWebと呼ばれる(けどなかなか実現しない)「Semantic Web」の普及にグルコース社の活動がお役に立てますように、という願いを込めてつけたのですが、そのSemantic Webに関する研究会の企画に関わっているのでご紹介。Semantic Webについてはこれからブログで長々と書いていくつもりですが、今回はまず研究者・専門家の方々に向けてのお知らせです。
人工知能学会セマンティックウェブとオントロジー研究会「ライトウエイト・メタデータ」特集のお知らせ

本研究会ではブログ・SNS・Wikiなどによって普及が進むメタデータ(RSS・FOAFなど)の可能性や課題について議論します。また、近年の学会で発表されているブログ関連研究を総括する予定です。日時は2005年7月19日、場所は東京都千代田区一ツ橋の国立情報学研究所です。最新情報は上記Webページで随時掲載していきます。ご発表・ご参加のほどよろしくお願いします。
ということで、たまには研究者の顔でブログを書くこともやっていきたいと思います。
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