「き甲~1/2~」
頸と胴体が結合する部分が頸礎(けいそ)です。
胴体の前縁に沿って後上方から前下方に向かって約60度の角度で長三角形の肩甲骨が張り付いているので、頸礎の位置がはっきりとわかる。この頸礎から腰角までが胴(体)です。
胴体の上縁の最も高い所は、たてがみの生え際のやや後方にあり、頸と胴の境目はやや陥没していることもあるが、なだらかに移行して境が全く分からないこともある。
いずれにしても、頸の付け根から山の峰のように高くなっているところが「き甲」です。
前肢と胴の骨格は骨による結合が無いので、肩甲骨の上部を胴体に結合させる筋肉の働きはとても大事で、馬体の前半部の負担(体重)がこの部分に集まってから前肢にかかる仕組みになっている。
き甲はこのような訳で頭頸部の重量と背腹部の重量とがよりかかってきやすいような構造になっていなければなりません。
テコの原理から考えると、「き甲」は高くて長い方が運動には有利であるが、同時に肩甲骨の固定がしっかりするために筋肉が丈夫にできていること。そして、ここを起点にしている頸、背、肩などの筋肉の起始部がしっかりしていることなどのために、適度の厚さを持っていなければならない。
サラブレットの低くて厚すぎる「き甲」や高くて短いき甲が大きな欠陥とされている理由は、ここが頭頸や前肢の運動の支点になっているからです。
き甲の高さは基礎になる胸椎の棘突起の長さによって決まる。
背の最も低いところからき甲の最も高いところまでをき甲の高さと言いますが、実際には体高と背高の差になります。き甲の頂点は一般に第四または第五胸椎の棘突起の尖端にあって、ここから背に向かって次第に低くなり、はっきりした境界線なしに背に移行していく。
高くて長いき甲は棘突起の側面が広いので、頸や背に行く筋肉の付着する面積が広く、背腰の筋肉に強い支点を与えることになるから、背腰もまたしっかりしていることが分かります。
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