この散歩コース、実は大層楽しみにしていることがある。
時に、園児たちの何かのイベントが見られること。
今日はどうだろうかな、ひょっとしたらの期待を込めながら角を曲がる。
風が真正面から吹き上げて、思わず目を細める。
リハビリ中の私にとってまことに苦しい行になる。
身をかがめ、うつむき加減に風を避けながら一歩一歩踏みしめて歩く。
その風に乗って向うから幼児たちのあの甲高い声が聞こえて来た。
いる、いる、黄色の帽子を被った小さなやんちゃ坊主達。
二十人ぐらいかな、二列でこちらへ向かってくる。
私はそこで立ち止まって彼らを待っ、何だろうな。
子犬のようにじゃれ合いながらひと時もじっとはしていない。
それでもどうにか隊を崩さず先生の誘導についていく。
可愛い。
本当に可愛い。
思わず声立てて笑ってしまう。
「こんにちは」と先生が声を掛けてくる。
「可愛いですね」と答え、「こんにちは」と子供たちに声を掛ける。
一人の子が「こんにちは」と言った。
私は園子の頭にそっと手を触れ、「頑張っているね」と言う。
一瞬その子は私の顔を見た。
目が合った。
何かが通じ合った。
嬉しい、やっぱり可愛い。
やがて列は園内に入っていった。
幸せのひと時。元気を得て再びリハビリに向かう。