シャボン玉の詩

前へ前へと進んできたつもりでしたが、
今では過去の思い出に浸る時間も大切にしなければ、
と思っています。

ストレス (夕焼け日記より)

2010-07-25 10:32:16 | Weblog
作品123(夕焼け日記より)

ストレスが湧き水のように湧いてくるんだって。
どうしようもないんだって。
地獄じゃないですか。
そんなむごいことって、誰が許すものですか。
負けてなるものですか。

又来たのかね、ストレス君、性懲りもなく。
いくら来たって私の身体は壊れないよ。
それでよかったら勝手にどうぞ。
だけど言っとくけど、
無駄よ。
私は絶対に壊れない。
私たちの先祖はね、
想像を絶する環境の変化にも打ち勝ってきたのだから。
私たちはその能力を受け継いでいるのよ。
分かりますか、びくともしないよ。
ちょいと反応はするけどさ、
それだけのこと。
なにさ、寄生虫のお化けみたいに。
いやらしい奴、
そんなもの相手にしませんからね。
さっさと退散したほうが身のためよ。






あのポチ公 (夕焼け日記より)

2010-07-18 06:58:33 | Weblog
作品122(夕焼け日記より)

おおポチ、久しぶりだな。
そう言って彼はしゃがみこみ、手招いた。
ポチはのろのろと彼に近寄り、尻尾を振った。
いいんだよそんなにしなくても。
疲れるだろうに、
彼は尻尾を優しく押さえ、頭を撫でた。
ポチは嬉しそうに目を細め、
ぺろぺろと彼の手を舐める。
いつも放し飼いの、飼い犬であったが、
もう五年以来の付き合いになる。
痛いところはないかね、
彼はポチの全身をくまなくさすった。
もういいかな、
ヨイショと掛け声かけて立ち上がろうとしたが、
よろよろとよろけた。
ポチは心配そうに彼を見上げた。
ようやく彼は歩き始めた。
いつものところでポチは立ち止まり、彼を見送った。
お互い頑張ろうぜ。
彼は振り向いて手を振った。
別れを惜しむかのようなあの目つき。
以来ずっとあのポチの姿を見ない。



八方破れ (夕焼け日記より)

2010-07-11 06:45:03 | Weblog
作品121(夕焼け日記より)

本当はね、
あの時くたばっていたほうがよかったかもしれないぞ。
こんな惨めな思いをさせるのなら。
何を言ってるの、と君は血相変えて言うけれど、
神のみぞ知る、だ。
僕はやはり我儘で傲慢なのであろうか。
冗談のつもりで言ったのだけれど、
君の反応は予想外のすさまじさであった。
ごまかしはきかない、僕は仰天した。
人の気持ちを踏み倒すわけにいかん。
真剣にそれを決意した。
が、
実は困った。
颯爽と生きる生き様が真につらいのだ。
しかしそれが人を幸せにするものなら、
進退窮まった。
こうなったら八方破れ。
決まっているだろう、道は一つ。
なりふり構わず最後の最後まで行くぞ。





鍛錬を続けよう (夕焼け日記より)

2010-07-04 09:19:23 | Weblog
作品120(夕焼け日記より)

日課の散歩を済ませ、庭の草取りを始めた。
体調がよかった。
15分ぐらい作業を進めたころ、
足の太ももの筋肉がぶるぶる震えだした。
息切れも激しい。
これしきのことが出来なくなったというのか。
私は意地になって作業を進める。
チャレンジであった。
無理をしたらだめなことは分かっていた。
あくる日、体調が急激に落ち込んだ。
性懲りもなくこんなことをずっと繰り返している。
気持ちの若さは結構だが、
お馬鹿さんではないかと思ったりする。
が、チャレンジはチャレンジ、果たし状みたいなものだ。
ぎりぎりのところまで行って、ひらりと退却する。
そこのところの呼吸が会得できたら、
達人になれるかもしれないのだ。
恐れずに鍛錬を続けよう。