『忘れられない恋を心の片すみに抱えている、あるいは抱えたことのある、大人のための恋愛小説です。』
だとかいう書評に乗せられてみて、 あっという間に完読。
痺れ、少し泣け、息苦しくなり、やっぱり泣いた。
ヤバくて、危うくて、痛くて、ものすごくせつないこの恋愛に
読み手はいったい 自分自身の何を重ねるのだろうか。
14歳の女子中学生と、23歳の教師との恋愛小説。
と聞くと、そっち系か もしくはあっち系の小説かと思われるかもしれない。
しかし。舞台は決して都会ではなく、近畿地方の片田舎(おそらく滋賀県の架空の町)で、
時代は現在よりも ずっと前。
当然 携帯もネットも介在しない。援交という単語すらまだない。
だからと言って、美しき純愛よ。 的な お話では決してない。
主人公が14歳だからといって、恋愛の錯覚ではなく、実体をともなった恋である。
『色褪せることのない、ほんとうの恋。若さゆえの傲慢と、苛立ちと、そして輝き。
そういうものに気づいた時こそ、ひとは「大人」になったといえるのかもしれません。
もう戻ることはない日々(それは恋愛に限らず)を、本書は私たちに再びなぞらせてくれます。』(評者・落合早苗)
官能的な表現に満ち満ちながら、それがいやらしくなく
逆に なんとも悲しくさびしく、そして狂おしく感じられる。
キリキリと 締め付けられる思い。
最初の小学生時代の描写が、やや冗長ながらも
ここを飛ばしてしまっては、少年少女の頃のこっぱ恥ずかしさを思い出すことが出来ない。
そして、それらは その後に描かれる墜落する恋愛に、必要な要素でもある。
『過剰な自意識。自分を納得させるための複雑な儀式。見栄。利己心。傲慢さ。
しかも、怖いぐらいの官能性も持っている。それがユーモラスに書かれているのだから、
とんでもない小説だ。』(文・永江朗)
ただ。
私は ラストが 好きではない。
どう描いて欲しかったのか、考えてみるとするか・・・