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倶楽部 月世界

わたくし月世(げっせい)の短歌と句(俳句&川柳)、ブックレビュー、育児、グルメなどを綴ります・・・

『ツ、イ、ラ、ク』 姫野 カオルコ

2010-01-16 23:16:05 | 本読み



『忘れられない恋を心の片すみに抱えている、あるいは抱えたことのある、大人のための恋愛小説です。』


だとかいう書評に乗せられてみて、 あっという間に完読。

痺れ、少し泣け、息苦しくなり、やっぱり泣いた。

ヤバくて、危うくて、痛くて、ものすごくせつないこの恋愛に

読み手はいったい 自分自身の何を重ねるのだろうか。


14歳の女子中学生と、23歳の教師との恋愛小説。

と聞くと、そっち系か もしくはあっち系の小説かと思われるかもしれない。

しかし。舞台は決して都会ではなく、近畿地方の片田舎(おそらく滋賀県の架空の町)で、

時代は現在よりも ずっと前。

当然 携帯もネットも介在しない。援交という単語すらまだない。

だからと言って、美しき純愛よ。 的な お話では決してない。

主人公が14歳だからといって、恋愛の錯覚ではなく、実体をともなった恋である。


『色褪せることのない、ほんとうの恋。若さゆえの傲慢と、苛立ちと、そして輝き。
そういうものに気づいた時こそ、ひとは「大人」になったといえるのかもしれません。
もう戻ることはない日々(それは恋愛に限らず)を、本書は私たちに再びなぞらせてくれます。』(評者・落合早苗)


官能的な表現に満ち満ちながら、それがいやらしくなく

逆に なんとも悲しくさびしく、そして狂おしく感じられる。

キリキリと 締め付けられる思い。


最初の小学生時代の描写が、やや冗長ながらも

ここを飛ばしてしまっては、少年少女の頃のこっぱ恥ずかしさを思い出すことが出来ない。

そして、それらは その後に描かれる墜落する恋愛に、必要な要素でもある。


『過剰な自意識。自分を納得させるための複雑な儀式。見栄。利己心。傲慢さ。
しかも、怖いぐらいの官能性も持っている。それがユーモラスに書かれているのだから、
とんでもない小説だ。』(文・永江朗)


ただ。

私は ラストが 好きではない。

どう描いて欲しかったのか、考えてみるとするか・・・







「恋とは 堕ちるもの」・・・読むぜっ『ツ、イ、ラ、ク』

2009-12-28 22:24:55 | 本読み


姫野カオルコの『ツ、イ、ラ、ク』。

年末年始にふさわしいかはともかくとして(笑)

丁度図書館で予約していたら、順番が来たのでこの時期に読むことに


 「渾身の思いを込めて恋の極みを描ききった、最強の恋愛文学」

とか、

 「消し去れない痛みを胸に隠す大人達へ贈る、かつてなかったピュアロマン。恋とは、『堕ちる』もの。」

だとか、

まあ なんとも魅力的なコピーが並んでるじゃあありませんか

非常に楽しみ。

この作者の『変奏曲』を昔に読んで、結構はまりました
(↑少々ヤバめ小説)

『ハルカ エイティ』はフツウだったけれど。

さあ、いつから読みだそうかのう。

もうちと 大掃除とお正月料理の準備がはかどってから??






『悪人』 ~吉田 修一 

2009-11-25 16:07:29 | 本読み


「・・・誰が悪人で、誰が悪人ではないのか・・・」

そんなことを読後、考えてしまった一冊。


映画化決定以降、さらに話題になっている小説。

芥川賞作家 吉田修一サン。

結論から言おう。

予想に反しておもしろかった。

読み始めはイマイチだったし、最後まで「この作家は文章下手つうか、

語彙力あまし豊富じゃねえよな・・・」と思っていたにも関わらず。


420ページの長編だけど、サクサク読める。

重いようで、実は軽いのかもしれない、この作品は。

殺人犯と彼を愛した女性の純愛小説。 だとか評されてるけれど、

純愛とも思えないし、それがメインテーマでもない。


結局、悪人って一体なに?

ホントに悪いヒトって誰よ?

ヒト殺さなくたって、あんたら悪人じゃね?

みたいな感じでしょうか・・・


読み返しは不要。

だけど、まあ一度は読んでみるべ 

といった一冊。








『最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。』

2009-11-08 22:18:14 | 本読み


コレは、タイトル借りの本・・・

あと、新聞の書評で少々心を動かされたという不埒な理由。

阿川 佐和子、沢村 凛 、三浦 しをん 、柴田 よしき、乃南 アサ、
谷村 志穂 、角田 光代、松尾 由美の8人の女性作家が描き出す、
珠玉のアンソロジー。

「最後の恋、それはつまり、自分史上最高の恋。」

というこっちゃ。

自分史上最高の恋。 だぁ?


ハッキリ言って、この本はタイトル負け。

面白かったと言えそうなのは、三浦しをん のものぐらいだったか。

「痛みを知る大人のための恋物語」というキャッチはちと大袈裟

想像よりもぬる~い恋愛モノばかりで、

私にゃ、少々物足りませぬ。

・・・とエラそうなことを言ってみたかったりして(笑)






伊坂幸太郎 『モダンタイムス』

2009-08-25 21:42:30 | 本読み

好きな伊坂本ではあるが・・・

530ページを超える長編。ちょい近未来という設定。

ああしんど・・・

例の「勇気はあるか?」なのだけれど。

二週間の図書館貸出し期限内には読めそうもないし、

次の予約入ってるので、延長も出来ないし。

結局4/1ぐらい読んで、諦めた。珍しく。

もういいや。









『国境の南、太陽の西』 村上春樹

2009-08-08 22:48:36 | 本読み


ウチの本棚にあったものの、読み返し。

10代終わりだったか、20代始めの頃に読んだのとは、また違った読後感。

『1Q84』に取り掛かる前の、ウォーミングアップ。
(にはならない、結構なピュア恋愛モノだが・・・)

個人的には『ノルウェイの森』より好きかもしれない。


ひりひりとするような、痛いキモチや、

喪失感、欠落感、そして邂逅。

主人公と島本さんが深夜、車で箱根の別荘に向かう場面では、

視界が霞んでしまう・・・

突き刺さるような、ふたりの想いが、

多分若かった頃よりも、今の年齢のわたしの方が理解出来るから、

なのかな。













湊かなえ 『告白』

2009-06-01 21:34:54 | 本読み

チョイ前に話題になった本。
「小説推理新人賞受賞」「本屋大賞受賞作」!と派手に書店で積まれてたっけ・・・

読んだのは少し前。

6編の短編連作。

この作品を読んで思ったのは、
「読むのは一編目の『聖職者』だけで充分なのではないか」
ということと、
「私が中学生の頃に携帯電話が普及してなくて良かった」
ということ。

もっとも、全編をあっと言う間に読んでしまったので、
そのぐらいの面白さはあったのかも・・・
稚拙さに目を瞑りながら・・・

読後感が非常に悪いという書評をよく耳にするが、
別段そうは思わなかった。

特に最終章が、突っ込みドコロ満載でそれもご愛敬かと



小川洋子『猫を抱いて像と泳ぐ』&玉岡かおる『銀のみち一条』

2009-05-14 21:31:30 | 本読み
最近女流作家モノづいている。

大好きな小川洋子サンの新刊『猫を抱いて像と泳ぐ』。
変なタイトル・・・
チェスもの、ということでチェスはおろか、将棋もよく分かっていない身には
分かり辛いかな??と危惧しつつ・・・

相変わらず、流麗・端整な文章。
チェスのことは分からないままに、
描かれているひとつひとつの対戦が、チェス盤上に生み出す
詩や音楽や彫刻や宇宙のごとくの描写に引き込まれて、読破。




もうひとつは、玉岡かおるの『銀のみち一条 上・下』
前回も読んだ『お家さん』に次ぐ、郷土兵庫歴史モノ第二弾?
明治の生野銀山(兵庫県)が舞台の、長編恋愛&やや日本の産業史&ドラマものかしら。
登場人物がみな丁寧に書きこまれ、ドラマティック。
大河ドラマにピッタリかも。
中盤の大盛り上がりに比べ、終盤はやや不満アリ


桐野夏生 『女神記』

2009-04-21 22:03:21 | 本読み

「めがみき」ではなく、「じょしんき」。
『古事記』をベースに、桐野女史が作り上げた創作新・神話バナシ。

表紙も私の好きな加山又造サンで、『花明り』の気品溢れるエロティックな女体。

最近の女史の作品は、どうも「先生、トランス状態ですかい?」みたいな
印象なのだが、とうとう神話まで来ましたか、と・・・

『東京島』は正直、なんだかなぁだったけれど、
こちらはよろしかったデス
典雅なかほりと古代の神々の生きざま、古代の人々の生きざま、
などなどが盛り込まれ、
生と死と男と女と、光と闇と。

久しぶりに女史のエログロ系ではない小説で、
気持ちよく読めたのも高感度高し

イザナギだのイザナミだの黄泉国(よもつこく)だの、
難しく考えずとも楽しめる

ラストは、少々不満が残るのだが・・・

『ナインストーリーズ・オブ・ゲンジ』&『田村はまだか』 etc.

2009-02-08 22:26:22 | 本読み

ここ最近二か月ぐらいの間に読んだ本の備忘録・・・

◆『ナインストーリズ・オブ・ゲンジ』

9人の人気作家が、それぞれ源氏物語の中から一帖ずつを
勝手気ままに?現代訳あり、勝手訳あり、創作バナシあり、で
綴る画期的な小説。
江國香織、角田光代、金原ひとみ、桐野夏生、小池昌代、島田雅彦、日和聡子、町田康、松浦理英子
と結構すごい面子なのかも

『葵』の金原ひとみは、六条御息所の怨霊に取りつかれる葵の上を
現代の妊婦のマタニティブルーに置き換えてしまってて、
それはちょっとぶっ飛び過ぎかいって感じで。

町田康の描く『末摘花』は笑えて面白かったなあ。


◆『田村はまだか』 朝倉かすみ



朝倉かすみの著作は初めて。
何となく宣伝を読んで面白そうだったので。
短編連作なのだが、この作品のキモとなる、第一編が一番傑作だった。
あとはまあ・・・って感じかな。
サクサク読めてよかった。

◆『やさしい訴え』 小川洋子



大好きな小川サンの作品。ほとんど読んでしまっているので
ようやく長編で未読だったのに遭遇
この作品は好きだなあ。
『ホテルアイリス』と『薬指の標本』もお気に入りだが、
それ以上かも
珍しく恋愛を描いているし。で、いつも通り、ひんやり、しっとり、残酷・・・

◆『刺繍する少女』 小川洋子

◆『残虐記』 桐野夏生
 
読後感はよろしくないけれど、相変わらずノンストップ読書を
してしまう桐野女史の作品。
すごくエグいんだけど、どこからか爽やかな風が吹くのはいつもながら。

◆『錆びる心』 桐野夏生

短編集。やっぱり女史は長編でしょっ と思いはするものの、
小品でもお上手だしなあ。
◆『ローズガーデン』 桐野夏生
ミロシリーズで、これだけ読み忘れてたので。

◆『レイクサイド』東野圭吾
 『仮面山荘殺人事件』東野圭吾
 『ウインクで乾杯』 東野圭吾


◆『辰巳屋疑獄』 松井今朝子

◆『夜叉桜』 あさのあつこ

 何だか、途中でやめちゃった
『バッテリー』ともうひとつふたつ読んだけど、
この作者は登場人物が少年少女の方がええんとちゃうのん??

見事に読みやすい小説ばっか