弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

安倍総理の憲法96条改正とアメリカの憲法について

2014年02月11日 | 日記

安倍総理が憲法改正をしやすくするために96条の改正手続きの条項を
改正すべきだとの意見を持っていると
聞いたときに少々違和感を感じました。

もともと総理は自衛権等についての9条を改正したいのだと思います。
私も個人的には自国の平和を他国任せにするという発想には疑問を感じています。

96条を改正するためにはそもそもそのために憲法を改正する必要があるわけです。
96条の改正を目指すというなら、ストレートに9条の改正を目指すといえばいいと思うのです。

そこまでストレートにいうのは抵抗がきついと判断して、ジャブのような感じで
96条の改正に言及したのかもしれません。

96条ですが、私も大学では基本的には改正はしないという趣旨でハードルを極めて
高くしてあると教えられた記憶があります。

改めてアメリカの憲法を見ました。
アメリカの憲法も、憲法改正の発議は「連邦議会の両議会の3分の2」または
「3分の2の州の立法部の請求」が必要とされています。
そして成立には「4分の3の州の立法府」の承認が必要とされています。
ということはアメリカでも憲法改正は簡単ではないということです。
原則的には連邦議会の上院か下院のどちらかの3分の1の議員が反対すれば発議できないわけで、
日本と事情はそう変わりません(連邦議会ではなく州の議会の場合もありますが)。
それでもアメリカでは何度か憲法の改正が行われています。

やはり、一番大きなネックは安倍総理もいうように国民の
『憲法に指一本、触れてはならない』というある種の気持ちに国民全体が陥っていたこともあると思う」
というような国民意識にあるのだと思う。
そういう国民意識を変えたいというのが安倍総理の真意かもしれません。

しかし、憲法がしばしば変更になるのも困りもの、やはり正攻法で行くべきではないか
と思う。

日本の憲法9条はアメリカの憲法の修正2条に相当するものではないかと思う。
アメリカでは銃による被害がこのところ多発しています。
それでも修正2条に保障された銃を保有する権利を制限しようする法律の制定すら
できない状況です。

やはり、改正するかどうかを含めストレートに本題について議論すべきだと
思います。

憲法の改正手続きの厳しさは日本だけではない、しばしば改正が行われている
と思っていたアメリカでさえ、日本同様に厳しいということのようで、
新しい発見でした。なお、アメリカでは200年かかって改正できた条項もあるとか。
やはり国民の忍耐強い意志が一番ということでしょうか。