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辺境の旅・・・ガルーダを追って

インドの鮨 インド-タイ 平成18年2-3月

2006-05-04 16:30:00 | ■インド

3月1日(水)

海外では、生ものを食べると腹をこわす危険がある、ましてインドでは食べるのは止めた方がよい,と旅行案内書には書いてある。それもそうだが、インドではインド料理が美味いので鮨を食べることなど考えたこともなかった。

ところが、昨年、シャングリラ・ホテルがオープンしてからは、そのホテルのレストラン・オリエンタル・アヴェニューの鮨コーナーに時々通うことになった。この何年かでニューデリーでもホテルの日本料理店には鮨を出すところも現れたが、どういう人が握っているのか分からないのが不安で鮨はほとんど食べた記憶がない。

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(私の定宿のメリディアン・ホテルのコーヒーショップから眺めたシャングリラ・ホテル)

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(シャングリラホテル・和食コーナーの鮨カウンター)

ここでは、日本人シェフの橋本さんが鮨を握っている。築地から空輸した魚を日本人が扱っているので、安心感がある。夜は日本酒をつけて、大体1万円くらい。高いと言えば高いが、ちょっと気が休まるところもあるので、顔を出すことになる。シャングリラ・ホテルの総料理長はオーストリア人。この料理長と一緒に、橋本さんはウィーンから移ってきた。日本を出て各地を転々としてもう9年になる。日本には時々帰っているので、今の日本の料理事情は知っているそうだ。

昼には、3000円くらいの鮨ランチがある。日本人は、ほとんどこの鮨ランチをとるが、これは赤字でのサービス。築地から仕入れれば、それはそうなるだろう。うまくしたもので、フランス人などは、ウニがあると聞くと喜んで昼間からウニをバンバン食べ、シャンペンを豪快に空ける。インド人も高いものを好んで注文するので、何とか赤字にならずにやっていけるということだ。

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(橋本シェフとインド人スタッフ)

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(鮨セット竹)

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JALのビジネスクラス インド-タイ 平成18年2-3月

2006-05-02 13:30:00 | ■インド

2月28日(火)

突然インドに行くことになった。今度は、ニューデリーだけ、4、5日間、短い滞在予定だ。

インド線は、多くの航空会社が撤退して、今では日本航空をよく利用するようになった。インド線で使っているJALの機材、特に、ビジネスクラスのシェル・フラットというシートを気に入っている。JALでも他の路線では、まだ昔ながらのシートを使っているところが多いようだが、インド線では、2003-4年グッドデザイン賞を受賞したというこのシートを使っている。170度までフラットになるので快適だ。

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(シェル・フラット・シート)

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(PCも使いやすいシート)

室内や座席はよいが、食事はいまいちだ。大体、機内食に期待する方がおかしいのだが、それにしてもどの航空会社の食事も美味いと思ったことはない。駅弁の方がずっと美味いのは間違いないが、コンビニの弁当だって機内食よりはましだ。どうも機内食は塩が利いていないように感じられる。塩を使わないと材料の旨味が引き出せない。何か塩を少なめにするという取り決めがあるのだろうか。どの航空会社の食事も似たり寄ったりの不味さだ。ビジネスクラスとエコノミークラスも食事の味という点では同等だ。ただ、ビジネスクラスの方が品数が多いだけのこと。

だが、ファーストクラスは違う。ファーストクラスの食事は高級な食材をふんだんに使い、手が込んでいるし、ここぞとばかり勝負している。自分の経験では、ファーストクラスでは、タイ航空の食事がよかった。客が二人しか乗っていなくてもオードブル、スープ、魚、肉などフルコースをキャリーで運んできて取り分けてくれる。キャビアやホアグラなど断ってもいやと言うほど盛ってくれるから、食事に2時間以上もかかってしまう。容器もウェッジウッドを使っているという具合で、これにはJALもお手上げだ。しかし、これは、タイ航空の良き日のことで、最近はどうだろう。

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(JAL・ビジネスクラスの和食)

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インド20 花売り娘 平成17年11月-12月

2006-02-02 06:30:00 | ■インド

12月5日

まだ暗いうちにタクシーでホテルを出たが、マイソールに着いた時には、もう10時だ。マイソールといえば何といっても王宮だ。イギリスの援護を受けて出来上がった藩王の宮殿だ。部分的には、ヒンズー、イスラム、ヨーロッパの建築様式を取り入れているが、インドにいるせいか、全体的な印象としてはヨーロッパの印象が強い。見物客に混じって歩いていると時々ふとヴェルサイユ宮殿を見学しているような気にさえなる。

しかし、ヨーロッパ風の絵画などが多い中で、私の興味を惹いたのは、やはり、双頭の鷲の油絵や360体のガルーダの浮彫りで飾られた柱のある舞踏室だった。

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(マイソール王宮の入り口)

チャームンディの丘に、チャームンディ女神を祀る寺院がある。チャームンディ女神は、マイソール王家の守護神だ。駐車場には女神が殺した悪魔の一人、マヒシャースラの派手な像が建っている。

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(駐車場脇の土産物市とシュリー・チャームンディーシュワリ寺院のコプラ)

近くには高さ5メートル、インド最大のナンディーがある。こういうことからもこの丘全体がシバ神と深いつながりがあり、チャームンディ女神はシバ神の妃がカーリーという形をとった女神の変化なのだろう。

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(マヒシャースラ像)

広場にはお供え物(プラーサド)を大勢の売る人たちが座り込んでいる。

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(お供物を売る)

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(お供物を売る)


インド21 インドの生蛎 平成17年11月-12月

2006-02-02 06:04:00 | ■インド

12月5日~8日

旅行会社から手配してもらった航空券をなくしたらしい。どこを探しても見つからないので、17時20分発のキングフィッシャー航空のチケットを買い、それで行くことにする。キングフィッシャー航空のキャッチ・フレーズは、スカイグルメだ。つまり美味しい機内食が売り物なのだ。インドは、国内航空が民間に開放されたので、競争が激しくなり新設各社はあれやこれやの手で客の心をつかもうとしている。キングフィッシャー航空は、キングフィッシャー・ビールのUBグループが経営している。

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(バンガロー空港。作業に従事する婦人の後方に出発を待つキングフィシャーの機体が見える)

ニューデリーでは、私の泊まっているホテルの前に新規オープンしたシャングリラ・ホテルで毎日食事をすることにした。カニシカ・ホテルを買い取って香港に本拠のあるシャングリラ・ホテル・グループが買い取ったのだ。

ここのランチは価値がある。今のところニューデリーではいちばん豪華でバラエティーがあるビュッフェーだ。料理の種類数知れず、デザートだって何十種類か選べる。値段は、4000円弱。

インド料理のセレクションはインド人にはどうかと思うが、辛さやスパスが抑えてある。料理長がウィンから来たばかりのオーストリア人だからだ。このホテルの日本料理部門には、その料理長から引き抜かれた日本人で、彼もウィンで働いていた。

夜は、このホテルの日本食に行く。品数が少なくてそれほどよくない。日本人シェフとの話では、鮨の材料は築地から輸入している。鮨は一人前3000円ちょっとで、日本人客は主としてこれを注文する。しかし、この一人前は赤字サービスだという。豪勢に注文して食べるのはフランス人だそうだ。生ウニを出したら喜んで昼間らか惜しげなく白ワインを何本もあけて大騒ぎだそうだ。

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(ビュッフェーのセレクション。生牡蠣、蒸しえび、かに)

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(インドで生牡蠣を食べたのは初めて、インド洋に面したゴアから来ている)

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(テーブルの備えられたパン)

8日に天皇誕生日のパーティが日本大使館で開かれたので、それに出席した後に、深夜のタイ航空でインドを発つ。ガーデン・パーティは、賑やかだった。何人ものインド人の知人に出会ったが、偶然に日本寺を建てた中村行明師に会う。


インド19 年金生活者の旅 平成17年11月-12月

2006-02-01 01:11:00 | ■インド

12月4日(3)

運転手と一緒に食事をすませると、すぐにべルールに向かう。ハレービードからベルールまでは、16キロ。

ベルールには、チェナケーシャヴァ寺院を見に来た。12世紀の始にヴィシュヌバルダナ王がチョーラ王朝に対する戦勝記念として建てた寺院だ。当時からずっと、今でも生きた寺院として使われているのでコプラ(楼門)を始め、いろいろな建物が増築されてきた。

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{コプラ(楼門)}

王の名前のヴィシュヌバルダナやチェナケーシャヴァ寺院のからも察しがつくが、王がヴィシュヌ神に帰依していたようで、したがってこの寺院には、ヴィシュヌ神の乗り物であるガルーダが多く見られる。そのガルーダを見るためにここまで来たのだ。

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(入り口の右の柱にガルーダ、左の柱にハヌマン。門衛となって寺院の中のヴィシュヌ神を守護しているのだ)

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(壁面のガルーダ浮彫ー肩にヴィシュヌ神とラクシュミ妃を乗せている)

緻密な高品質の緑色結晶片岩が素材に優れた技術が組み合わさって作品は完成度の高いものとなっている。これが本堂の壁に隙間がないほど彫られているのだから堪えられない。

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(ガルーダ立像)

暗くなってホテルに着く。部屋まで行くのに奥深い暗い木立の影を何度も通らなくてはならないのであまり気持ちのよいものではない。そこを再びレストランまで戻り、何種類かの料理にえんどう豆プラウとキングフィッシャーで遅い夕食とする。

レストランは、がら空きだ。遠くの席にイギリスから来たという二組の老夫婦が談笑している。おそらく年金生活者だろうが、世界遺産に登録されているのでもない、このあまり有名ではなさそうな寺院しかない、こんな辺鄙な田舎を、団体旅行ではなく、二組の老夫婦で旅しているというのが、知的な余裕を感じさせる。話しかけるのもちょっとはばかれたので、ウェイターと雑談しながら聞いてみた。

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(タンドリ窯で焼いたジャガイモ)

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インド18 裸のマハビーラ座像 平成17年11月-12月

2006-01-29 23:00:00 | ■インド

12月4日(2)

ホテルに荷物だけを置いて、そのままその車で出掛ける。

今日、観る予定の寺院は、デカン高原の、この地域を11-13世紀(ハンピのヴィジャナガル王国が支配するちょっと前)に支配していたホイサラ朝の時代に建てられた。これらの寺院の装飾彫刻は、カジュラホやコナーラクに匹敵すると言われる。

ホテルから、それほど遠くないところに、ハレービードのホイサレーシュワラ寺院がある。この寺院は、搭状の屋根が壊れて今はなく、平屋根になっているのでややさびしい概観ではあるが、内部に入るとその彫刻の繊細さには驚かされる。

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(ホイサレーシュワラ寺院)

内部空間は、彫刻装飾の密度が高く目を見張るようだ。また柱であるが、それは、よそにはあまり例がない。柱は、ろくろを用いたデザインで高級な黒い碁石のように光沢がある。

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(寺院内部の柱)

ジャイナ教は、仏教と同じ時代にインドで生まれた宗教で、開祖はマハービーラ。その像は裸体。着るものすら一切持たないという、無所有戒の表現である。

ジャイナ教の戒律は仏教とよく似ているが、厳しいのは不殺傷戒。誤って虫を吸い込まないようにマスクをして、箒で地を掃いて虫を逃せた後に歩くなど、奇行ともみえる修行者の話が面白可笑しく伝わってくる。

ジャイナ教は、インドではジェーンと言う。ジェーンの友人で上のような変わった行動をとる人は見たことはないが、生活態度は厳しく、仕事に成功している人が多い。ジャイナ教の信者は、全人口の0.5パーセントと少ない。

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(マハービーラ坐像)

外に廻って寺院の壁面を見ると、精緻なヒンズー教の神話の浮彫りがびっしりと施されている。鵞鳥に乗ったブラーマン(梵天)とねずみに乗ったガネシャなども見られる。

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(左にブラフマン、右にガネシャ)

また壁面の浮彫りからは、当時の生活の様子が偲ばれ、ホイサラ朝で音楽や舞踏が非常に尊重されていたことが察せられる。

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(当時の風俗を表した壁面の浮彫り)

この寺院のある辺りは、ホイサラ朝の首都のあったところらしいが、今では宮殿の跡も残っていなし、大きな町もない。それでも、インド国内から観光に来る人が多いので、いくらかましなレストランもないことはない。

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(ベジタリアン向きセット料理)

 

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インド17 ポインセチア ガルーダの旅 平成17年11月-12月

2006-01-26 22:50:00 | ■インド

12月4日(1)

 アナウンスがないのでベッドから起き上がらないでいたが、何時までも発車しないので、おかしいと思いデッキに歩いて行く。

 「ここは、何駅だ」と乗務員に聞くと「バンガローだ」と言う。これには参った。

 こちらは、バンガローは終着駅だから心配ないだろうと、のんびり寝そべっていたのだが、危うく車庫まで連れていかれそうになった。

 列車乗務員は、どうして車内を廻って客が残っていないかどうか点検して歩かないのだろう。

 降りていくと、まだ明けやらないホームにピンク色のコートを着た若い男が立っている。 

 ニューデリーの旅行会社が手配した地元の観光会社の運転手が迎えに来ていたのだ。私が出てこないので、探し回って、3度もコーチの前を通り過ぎたそうだ。

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(荷物を担いでホームの階段を下りる運転手)

 小雨が降ってきた。バンガローの市内で、インドにしては、こぎれいなコーヒーショップに寄り朝食をとる。7時過ぎになっている。

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(コーヒーショップ)

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(ワダとイドゥリ )

 雨が上がり、11時近くホイサラ・ビレッジ・リゾートに着く。このホテルは、付近に人家がない淋しい道路に沿って作られている。広い庭の中に建ったいちばん遠くのコッテージに案内される。

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(ホテルの庭。ポインセチア)

 庭には、バラの花のような真っ赤な花が咲いている。しかしよく見るとバラではない。庭師に聞くと、ポインセチアだという。クリスマスのときに見るポインセチアと違って丸まった小さな葉は、遠くから見ると花弁に見える。

 他の株に近づいてみると、なるほどポインセチアに見える。他のところでもっと日本のポインセチアに近い形、色の大きな庭木を見たような気がするが、それはゴアだったかあるいはミャンマーだったかよく思い出せない。これは、本当にポインセチアなのだろうか?

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(ポインセチア)

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インド16 ハンピを去る ガルーダの旅 平成17年11月-12月

2006-01-23 08:57:41 | ■インド

12月3日(6)

夜は冷えるが昼は暑い。朝から暑い中を遺跡巡りをしているとかなり疲れる。ハンピバザールなどの門前市のような遺跡の中の緑の少ない食堂で、ただ空腹を満たせばよいというような気にはなれない。それで町の中心を避けて、バナナ畑などを通り抜け、昨日と同じマンゴツリー・レストランに来てしまった。

何本ものマンゴの巨木があるから、マンゴツリー・レストランと名付けたということだ。1本の高いマンゴの枝からブランコが下がっている。昨日は、大人が独占していたが、今日は、二人の子供が並んでブランコで遊んでいる。、

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(マンゴの樹のブランコ)

お客は、やはりヨーロッパ人が多い。食事を終えた後、川を眺めながら何時までもだべっている。川向こうの安宿に泊まっている連中らしい。

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  (上も下もヨーロッパ人に占められている)

食事のときは、運転手も一緒だ。運転手は、イスラム教で、ガイドはヒンズー教。宗教や歴史の上では、相容れないはずの二人、しかもヒンズー教のガイドは、バラモンという気位の高そうなカーストに属する、その二人が仲良く食事をする。ガイドは、大学で観光を学んで歴史や地理に大変詳しいが、運転手はそういう教育の機会には恵まれなかったが、サービス精神は身につけている。写真で見る顔は、恐く見えるが性格がいい二人だった。

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(運転手とガイド)

運転手の食べているのがチキン焼き飯。中華料理味で少し分けて味見したが、ホテルのものに比べるとずっとおいしい。オーナーは、ガイドの友達だ。紹介してもらって話をしたが、なかなか気の利いた男だ。家族全員が力をあわせて働いている。働くだけなら誰でも働くのであろうが、料理や味付けはどうして覚えたのだと聞くと、ある時、ふらっと立ち寄ったフランス人の若い女が、この場所を気に入って長く滞在することになり、その彼女のアイデアで店を始めたということだ。

それで分かった。道理で、ヨーロッパの観光客好みのレストランが出来上がったわけだ。

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(焼飯に生の玉葱。レモンをかければ焼飯があっさり食べられる。インドの玉葱は日本のものより辛くない)

この二人を見ていると、昨日と同じものをオーダーする。ただし、彼らが、インド料理を頼まないのは、家で食べ飽きているのだろう。

私は、インド料理のジャガイモ炒めが美味そうなので、それに決める。スパイス、特に丸のままのクミンの種(実)がジャガイモの味を引き立てて、シンプルな料理としては絶妙な調和あるものに仕上がっている。。

そのほかに、一皿、昨日食べたミックス・フライドライスを取り、みんなで分けて食べる。これで日本円にすると700円もしないのだから、なんとも申し訳ないくらいに安い。こんなに安くて儲かるのだろうか。しかし、ガイドに言わせたら、儲かっている。数年経たずにここのオーナーはハンピ1の金持ちになりますよ。確信しています、ということだ。

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(ナンとジャガイモ炒め)

ホテルに帰って、しばらく休んだ後、ハンピ特急でバンガローに引き返すことにする。チケットは、ベラリから乗ることになっているが、ホスペットの駅が近いことが分かった。

このホテルからホスペットの駅まで10分もかからない。2時間もかけてベラリまで行く必要はないのではないか。寝台車だから自分のベッドは決まっているはずだから、仮にベラリまで立っていたとしても、ベラリで自分のベッドに行けばいい。

ところが、ここはインドだ。何にしても規則一辺倒で話を切り出してくることがある。昼間のタクシーを所有している旅行会社の社長に言うと、ホスペットでは乗れないという。やはりそうか。だが、特急に乗り込んでしまえばこちらのものだ。次の駅はベラリ。途中に駅はない。途中で特急から放り投げられるはずはないので、とにかくこの町の駅で乗ることにした。

こうなったというのも、デリーの旅行会社が地理をよく知らなかったからだろう。インドは広大な国だから仕方がないかとも思うが、今後は旅行会社は旅行会社として、こちらでも独力で調べることも必要だろう。

運転手は、「大丈夫ですよ。乗れますよ。社長は金がほしいので、ここで乗せたくない。ベラリまで行かせようとしているのですよ」という。確かにそうかもしれない。そういえば、社長の言葉の歯切れが悪かった。

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(私のリュックを担ぎホームに出る運転手)

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(ホームのキオスクでミネラルウォーターを売る少年)

1時間もホームで待っていると、10分遅れで特急がやってきた。ボトルを買って、自分のベッドらしいところに座っていたら、TTがやってくる。Ticket Collector(TC)が正しいのだが、この辺りでは、みなTTと呼ぶ。大変な権限のある職務らしい。TTは、隣のコンパートメントに来てくれという。私のコンパートメントにはすでに二人いて、話が聞かれてはまずいと判断したのだろう。

隣のコンパートメントに行くと、領収書は必要かと聞くので、要らないと答えると、正規料金は560ルピーだが、500ルピーに負けようと言う。500ルピー札(1500円)を渡すと、どのベッドがいいか、とまた聞くので、上だとベッドを指すと、それがいちばんいいベッドだとにっと笑って機嫌よく出て行った。私が旅行会社から買って持っているチケットの値段が1050ルピー(3150円)だ。これが、ベラリからバンガローまで一等寝台車の値段だ。それなのに、ホスペットからベラリまで500ルピーとは、高すぎる。ぼられたとは思ったが、ベラリまでタクシーで2時間も掛けていくことを思えば、安いものだ。

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(ベッドとリュックサック)

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インド15 赤のまんま ガルーダの旅 平成17年11月-12月

2006-01-22 10:45:31 | ■インド

12月3日(5)

東洋人の顔が珍しいのか、子供たちがまとわりついくる。そのせいで、この家族と話を交わすようになった。近くの町の小学校の先生の一家だ。今日は学校が休みなので家族でハンピ遺跡を見に来たということだ。赤い帽子を被っているのがガイド。運転手は車の中で休んでいる。

ガイドは、ヒンズー教のバラモンだという。この都を焼き払い、破壊したのでイスラム教徒が大嫌いだと言う。

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(小学校の先生一家とガイド。遠く後ろに王宮の基壇が見える。上部にあった木造の宮殿はイスラム軍によって焼き払われた)

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(王宮の基壇の上から眺めた近くの遺跡。木造の建物はすべて焼き払われた)

遺跡を辿る道の草叢に犬蓼(いぬたで)の地味な花穂を見つけた。俳句では「花蓼」「赤のまま」とか「赤のまんま」と使われ、秋の季語とされているように、至って日本的な草花と思っていたが、こういうところで見つけたのが面白かったので写真を撮っておく。

妻の留守児と摘む花は赤のまゝ  虎尾苔水

赤まんま墓累々と焼け残り      三橋鷹女

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(犬蓼の花穂)

この後、昨日のマンゴ・ツリー・レストランで食事することにする。車から降りてバナナ畑を歩くと5分でレストランに着く。

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(バナナ畑)

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インド14 王妃の浴場 ガルーダの旅 平成17年11月-12月

2006-01-20 00:36:20 | ■インド

12月3日(4)

広い荒地の中に、八角形の列柱が立っている。柱に囲まれた中にプールがあり、その真ん中にやはり八角形の鉢のような島がある。もちろん今は水がないが、使われていた当時は、なみなみと水が湛えられていたのだろう。

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(八角形の浴場)

これをガイドはOctagonal bath (八角形の浴場)と呼び、一般の人の浴場と言った。この神殿風の列柱は、漆喰で覆われていたというし、二つの宮殿の基壇が発掘されていることからして、一般の人といっても、身分の高い人のための水浴場だったのだろう。

柱廊の日陰に夫婦らしい男女が休んでいる。何をしているのか、ガイドに聞いてもらうと、この二人は羊飼いの夫婦で、近くに羊を放った後、ここで時間を過ごしているのだそうだ。息子が家出して、昨年、今年と心配で心配で悩みの多い一年半だったが、最近、息子が帰ってきたので、今はとても幸せだと言っている。

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(羊飼いの夫婦)

芝生で覆われた宮殿地区の中に刑務所のように殺風景な壁が立っている。ここが英語でQueen’s Bath(王妃の浴場)と言われる場所だった。ガイドは、王には二人の王妃があって彼女たちが交互に水浴びした、と脚色して面白く話を聞かせてくれた。

外と比べると内部は、ヒンズー・イスラム様式のこった意匠である。作られた当時は白い漆喰が塗られていたそうなので、随分と華やかな浴場だったのだろう。

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(王妃の浴場ー外観)

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(王妃の浴場内部)

王宮の中心部に王の浴槽がある。5層の段がついた深い浴場だ。ここでは、水を浴びる特別な宗教儀式が執り行われたと言う。この浴場が発見されたのは、1980年代の半ばで、それまでは深い土に埋まっていた。

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(水槽には水が貯まっている)

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(浴場を見下ろす女学生)

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(女学生たちは、王宮跡を見に去っていく。上の長い石の構築物は、給水のための石樋)

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インド13 巨石の上の寺院 ガルーダの旅 平成17年11月-12月

2006-01-18 00:47:11 | ■インド

12月3日(3)

ハンピ・バザールから東南の方向にマリヤヴァンタ・ヒルという丘がある。車でのアクセスがよく、あまり歩かなくても比較的眺望がよい丘に上れるいうので行くことにした。やはり、ここもヘマクタ・ヒルと同じく1個の石でできた山のようだ。

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(丘には巨石が転がっている)

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(棒で岩を叩きながら歩くガイドに従って登ってきた)

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(丘からの遠望。遠い山にも石が転がっている)

このマリヤヴァンタ・ヒルの頂上にあるのがラグナタ寺院の本殿だ。本殿は、保存状態があまり良くないので、床をくぐって歩く。

この寺院は、東と南にはゴプラ(楼門)があり南側の楼門から入ると柱廊のある前堂がある。ラグナタは、ヴィシュヌ神の別名だそうで、それだけにヴィシュヌ神との関係が深い蛇、魚、亀などの水性動物の彫り物が多い。当然そこにはヴィシュヌ神の乗り物のガルーダもあった。

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(本殿から眺めた石の上の寺院。手前下方に見えるのはゴプラ・楼門)

石の上の寺院は、それほど大きなものではない。自然の岩の裂け目に沿って数多くのシバ・リンガとシバ神の乗り物のナンディー牛が彫ってある。その先の大きな石の上に立つのがその寺院だ。

近くまで行って確かめなかったが、シバ神に関係のあるシバリンガやナンディー牛が近くに彫ってあることからこの塔は、シバ神を祀っているのではないかと思われる。

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(石の上の寺院。向こうまで続いているニッチにリンガとナンディが彫ってある。)

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(柱廊のガルーダ)

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インド12 運河で洗濯 ガルーダの旅 平成17年11月-12月 

2006-01-17 09:40:16 | ■インド

12月3日(2)

豚のいた空き地の脇に橋が架かっている。橋から眺めると川に沿って女たちが洗濯をしている。家庭の主婦の毎日の日課なのだろう。ちょうど通学の時間にあたっているので低学年の手を引っ張り、もう一方の腕に幼い子供を抱いて歩く父親の姿もある。

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(運河で洗濯)

通学の生徒が歩いて来る。清潔な身なりで怜悧そうな子供たちだ。人に対する警戒心がなく自然な態度で接してくれるので、こちらの気持ちまで洗われるようだ。日本の子供とは大違いで「知らない人から声を掛けられたら相手にせずに、早くその場から逃げよう」など、と教えられていないらしいのがいい。

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(通学の子)

孔雀の羽で出来たおもちゃを持った子の写真を撮ろうとすると、青い制服の年長の生徒たちが寄ってきて自分たちも写真に入りたいと、その子を囲んでしまった。

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(小さな子を囲んで)

橋の下から女の子が顔をのぞかせた。みんな写真に撮られるのが大好きだ。この子は、親の洗濯の手伝いをして、学校には行っていないのだろう。

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(洗濯をする少女)

そこへ洗濯籠を持った夫婦が通りかかり、自分たちも写真に撮ってくれと頼んだ。ちょっと首を傾げたりして愛嬌がよい。

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(洗濯帰りの夫婦)

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インド11 インドの豚 ガルーダの旅 平成17年11月-12月 

2006-01-16 23:02:04 | ■インド

12月3日(1)

8時半に出発することにしたので、7時過ぎに別棟の食堂に行く。朝早いので、掃除にかかっていた掃除夫が箒を持って入り口で迎えた。

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(レストラン棟)

洋食のトーストもあったが、インドのメニューからウッタパを選ぶと、サンバともう一種類のスープがついてくる。ウッタパは日本のお好み焼きのようなものだが、もう少し透明感がある。この中に玉葱が入ったのを注文した。サンバは、味噌汁のようなもので、朝食には必ず付いている。インドには、お決まりの辛さだ。その上、タマリンドが入っているので酸っぱい。他のスープも辛い。しかし美味い。

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(ウッタパ)

中庭では、改装工事が行われている。男が上で作業し、サリーを着た女がセメントや石を運ぶ。男女の分業体制が出来上がっている。

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(工事現場)

ホテルの外に出ると、豚が荒れ地で餌を漁っていた。ちょっと意外だったのは、豚たちの毛並みと大きく肥えていることだった。

豚と言うと、私たちは太っているのがは当然のように考えるが、しかし、インドの豚は栄養失調ではないかと思うくらいやせていて汚い。今まで見てきたのは、そういう豚だった。

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(ホテルの横の空き地の豚。栄養が行き届いている)

下に、一昨年、ラジスタンのジャイプールで撮った豚の写真を見せよう。痩せて汚い。この写真を見ると、とても食べたくはならないだろう。マホメットがコーランで豚を食べるのを禁じたのは、豚が汚くて病菌を振りまくからということを言う人がいるが、ジャイプールの豚を見ると分かる気がする。

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(ジャイプールの豚 1 )

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(ジャイプールの豚 2 )

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インド10 選ばれた象の部屋 ガルーダの旅 平成17年11月-12月

2006-01-14 20:28:14 | ■インド

12月2日(5)

Matanga Hill の南側を東北に横切って人工の川が流れている。 この運河によって聖と俗の地域が分かれている。北側が寺院の多い聖域、南側が王宮を中心とした俗世界である。

王宮には、女だけが配され、その数は5千人だったという。訓練された象は2千頭もいたというのに、特別に選ばれた11頭の象のためには、回教風の建物が当てられた。ヴィジャナガルは、16世紀の始には100万人の軍隊を擁した堂々たる帝国だった。

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(選ばれた象のための建物)

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(王宮の基壇。この上に木造の王宮があった。これは、イスラム軍の侵攻によって破壊炎上させられた)

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(王宮の基壇に登る女学生)

夕食は、一人、ホテルのレストランで。8時にこれだけ混んでいる。ニューデリーでは考えられない。ニューデリーのような都会では、客が混みだすのは10時過ぎだからだ。

Dinner

(レストランの隣の席)

お決まりのキングフィッシャーのほかは、下のような料理を食べて税込みで245ルピー(約750円)。ニューデリーのホテルだったらこの4倍から5倍はとられるだろう。

キングフィシャー  1本 65ルピー(200円)

カシミリ・プラウ(果実の種、野菜のピラフ) 50ルピー(150円)

タンドリ・チキン(鶏タンドリ窯蒸焼)  半身 70ルピー(210円)

ヴェジタブル・ムライ (インド風野菜炒め) 40ルピー(120円)

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(カシミリ・プラウ、タンドリ・チキン、ヴェジタブル・ムライ)

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(キングフィッシャー・ビール)

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インド9 柱楽器とマンゴツリー・レストラン~ガルーダの旅 平成17年11月-12月 

2006-01-11 06:51:00 | ■インド

12月2日(4)

川を下っていくとそこにVitthala 寺院がある。

ハンピは、ラーマ王子がスリランカに攻め入る最後の基地になった土地だという言い伝えがある。この寺にもラーマ王子の元の姿、ヴィシュヌ神とその化身の石像や浮彫りがたくさん見られる。そして、味方として戦ったハヌマン(猿)やガルーダの像も多い。

一昨日、「世界不思議発見」というテレビ番組を見ていたらたまたまハンピが出ていた。ハンピもそこまで知られるようになったかと思っていたら、クイズの中で「この柱は、何かに使われました。それは、何でしょう?」という問いが出た。触るとお経を読んだことになるとか、お経を読むときに叩くという答えの中に、「楽器」という正解もあった。

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(Vitthala 寺院・柱廊の中- 石の柱は全部、楽器として使われました)

この番組では、残念なことに、ハンピの荒々しい雄大な自然と廃墟の一体となった魅力を伝えておらず、惜しいことだった。

2ヶ月前に映画のロケがあって、ジャッキー・チェーンが来た、とガイドが言った。The Myth in Hampi(ハンピの神話)という題で、ハリウッド映画か、中国、香港映画らしい。この風景の中で、ジャッキー・チェーンの活劇なら凄いだろう。撮影を見たというガイドと運転手はすっかりジャッキー・チェーンのファンになっていた。そして、中国人を尊敬している。日本人の影は、ここでは薄い。

ここでも学生が、寺院の水彩画を描いている。絵を描いている人たちの中を通って本殿に上がり、おびただしい数の柱を叩いていくと全部、異なった音が出る。別に止めろと制されることもない。今は、まだ観光客が少ないからよいが、これから増えてきたらもっと規制を厳しくするに違いない。

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(寺院の石柱、楽器です)

オリッサ州のコナーラクに、馬車をかたどった巨大な寺院がある。太陽神、スーリヤを祭った寺院である。Vitthala寺院にも本殿の前に、同じく馬車をかたどったガルーダ寺院がある。規模では問題にならないが、両者に神話の上の共通性がある。

スーリヤ寺院は、ヴェーダの神話によっていて、馬車に乗っているのはスーリヤ神、御者は足がないスーリヤである。Vitthala 寺院コンプレックスの馬車(ガルーダ寺院)は、御者またはその旗はガルーダの紋章であり、それはマハ-バラタとラーマーヤナ物語によっている。ガルーダは、アルンの兄といわれている。なお、ついでながら、スーリヤは、仏教に取り入れられ日天となった。

ハンピは、ユネスコの世界遺産に登録されているが、コナラクもまた世界遺産に登録されている。

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(ガルーダ寺院)

歩き回っているうちに、2時になった。この辺りにちょっと食べられるレストランはないようだ。今泊まっているホテルのレストランが街中でいちばんいいレストランだとしたら、ほかに食べられるところがあるはずない。「どこでもいい」と言うと、車で人家のあるところを抜けて、水が流れるバナナ・プランテーションの中をしばらく歩き、マンゴ・ツリー・レストランという看板が見えるところまで来て、「ここがいい」と言う。

なるほど、川が見張らせる緑の多い気持ちのいいところだ。今までの石と土との世界から来ると、別天地だ。客は、ほとんど白人。しかも若い人が多い。3人で700円ほどでしかも美味い。

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(マンゴ・ツリー・レストラン入り口) 

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(レストランの客。どこから湧いて来たのか込み合っている)

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(フライド・ライス  テーブルは黒い石板で川に面して階段j状に並んでいる)

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