12月3日(6)
夜は冷えるが昼は暑い。朝から暑い中を遺跡巡りをしているとかなり疲れる。ハンピバザールなどの門前市のような遺跡の中の緑の少ない食堂で、ただ空腹を満たせばよいというような気にはなれない。それで町の中心を避けて、バナナ畑などを通り抜け、昨日と同じマンゴツリー・レストランに来てしまった。
何本ものマンゴの巨木があるから、マンゴツリー・レストランと名付けたということだ。1本の高いマンゴの枝からブランコが下がっている。昨日は、大人が独占していたが、今日は、二人の子供が並んでブランコで遊んでいる。、
(マンゴの樹のブランコ)
お客は、やはりヨーロッパ人が多い。食事を終えた後、川を眺めながら何時までもだべっている。川向こうの安宿に泊まっている連中らしい。

(上も下もヨーロッパ人に占められている)
食事のときは、運転手も一緒だ。運転手は、イスラム教で、ガイドはヒンズー教。宗教や歴史の上では、相容れないはずの二人、しかもヒンズー教のガイドは、バラモンという気位の高そうなカーストに属する、その二人が仲良く食事をする。ガイドは、大学で観光を学んで歴史や地理に大変詳しいが、運転手はそういう教育の機会には恵まれなかったが、サービス精神は身につけている。写真で見る顔は、恐く見えるが性格がいい二人だった。
(運転手とガイド)
運転手の食べているのがチキン焼き飯。中華料理味で少し分けて味見したが、ホテルのものに比べるとずっとおいしい。オーナーは、ガイドの友達だ。紹介してもらって話をしたが、なかなか気の利いた男だ。家族全員が力をあわせて働いている。働くだけなら誰でも働くのであろうが、料理や味付けはどうして覚えたのだと聞くと、ある時、ふらっと立ち寄ったフランス人の若い女が、この場所を気に入って長く滞在することになり、その彼女のアイデアで店を始めたということだ。
それで分かった。道理で、ヨーロッパの観光客好みのレストランが出来上がったわけだ。
(焼飯に生の玉葱。レモンをかければ焼飯があっさり食べられる。インドの玉葱は日本のものより辛くない)
この二人を見ていると、昨日と同じものをオーダーする。ただし、彼らが、インド料理を頼まないのは、家で食べ飽きているのだろう。
私は、インド料理のジャガイモ炒めが美味そうなので、それに決める。スパイス、特に丸のままのクミンの種(実)がジャガイモの味を引き立てて、シンプルな料理としては絶妙な調和あるものに仕上がっている。。
そのほかに、一皿、昨日食べたミックス・フライドライスを取り、みんなで分けて食べる。これで日本円にすると700円もしないのだから、なんとも申し訳ないくらいに安い。こんなに安くて儲かるのだろうか。しかし、ガイドに言わせたら、儲かっている。数年経たずにここのオーナーはハンピ1の金持ちになりますよ。確信しています、ということだ。
(ナンとジャガイモ炒め)
ホテルに帰って、しばらく休んだ後、ハンピ特急でバンガローに引き返すことにする。チケットは、ベラリから乗ることになっているが、ホスペットの駅が近いことが分かった。
このホテルからホスペットの駅まで10分もかからない。2時間もかけてベラリまで行く必要はないのではないか。寝台車だから自分のベッドは決まっているはずだから、仮にベラリまで立っていたとしても、ベラリで自分のベッドに行けばいい。
ところが、ここはインドだ。何にしても規則一辺倒で話を切り出してくることがある。昼間のタクシーを所有している旅行会社の社長に言うと、ホスペットでは乗れないという。やはりそうか。だが、特急に乗り込んでしまえばこちらのものだ。次の駅はベラリ。途中に駅はない。途中で特急から放り投げられるはずはないので、とにかくこの町の駅で乗ることにした。
こうなったというのも、デリーの旅行会社が地理をよく知らなかったからだろう。インドは広大な国だから仕方がないかとも思うが、今後は旅行会社は旅行会社として、こちらでも独力で調べることも必要だろう。
運転手は、「大丈夫ですよ。乗れますよ。社長は金がほしいので、ここで乗せたくない。ベラリまで行かせようとしているのですよ」という。確かにそうかもしれない。そういえば、社長の言葉の歯切れが悪かった。
(私のリュックを担ぎホームに出る運転手)
(ホームのキオスクでミネラルウォーターを売る少年)
1時間もホームで待っていると、10分遅れで特急がやってきた。ボトルを買って、自分のベッドらしいところに座っていたら、TTがやってくる。Ticket Collector(TC)が正しいのだが、この辺りでは、みなTTと呼ぶ。大変な権限のある職務らしい。TTは、隣のコンパートメントに来てくれという。私のコンパートメントにはすでに二人いて、話が聞かれてはまずいと判断したのだろう。
隣のコンパートメントに行くと、領収書は必要かと聞くので、要らないと答えると、正規料金は560ルピーだが、500ルピーに負けようと言う。500ルピー札(1500円)を渡すと、どのベッドがいいか、とまた聞くので、上だとベッドを指すと、それがいちばんいいベッドだとにっと笑って機嫌よく出て行った。私が旅行会社から買って持っているチケットの値段が1050ルピー(3150円)だ。これが、ベラリからバンガローまで一等寝台車の値段だ。それなのに、ホスペットからベラリまで500ルピーとは、高すぎる。ぼられたとは思ったが、ベラリまでタクシーで2時間も掛けていくことを思えば、安いものだ。
(ベッドとリュックサック)
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