言の葉・音の葉

名古屋バリガムラングループ
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ラ・ファンファーラ人形劇

2011年08月04日 | 公演・ライブ・個展見聞
スペインから来日した【ラ・ファンファーラ】人形劇公演を観に行ってきた。


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高さ2m×幅1.5m程の箱形の舞台。その上には丸い物(20cm程)が設置されている。照明に照らされ赤く、青く光っている。何だろうあれは、飾りだろうか?箱の中からは影絵、箱の上では人形劇とダブル演出。影絵は場面転換時などに巧みに浮かび上がる具合で、人形劇がメインだった。
これを【ラ・ファンファーラ】の設立者である【トニー・ルンバウ氏】が全て一人で演じる。バリの影絵芝居ワヤンクリ(以後ワヤン)の人形遣いダランと一緒だ。

主人公のプルチネラ(人形)の小犬のような声が愛らしい。人形はプルチネラの他に、仲良しの犬や警官。それに悪魔やガイコツ(少し間抜けな悪役と言った所か)がプルチネラと絡んで所狭しと暴れまわる。悪魔達はプルチネラを亡きものにしようと仕掛けるのだが、逆に散々やっつけられてしまう。
特筆すべきは、例えばプルチネラと犬が飲み物を奪い合う場面。押し合いへし合い、お決まりのドタバタ劇だ。お互いがぶつかり合う動きと、犬が、プルチネラが倒れる動き。その押し合いへし合いの動きで生じる音(ぶつかる、倒れる音)のコンビネーションできっちり16ビートを奏でているのだ。この演出は素晴らしい!
また、ドタバタ劇の時に人形が吹っ飛んで上記した丸い物に当たった。当たった瞬間丸い物が何か判明。太鼓だったのだ。左右高低差をつけた太鼓に、これまたコンビネーション良くぶつかっていく。暗くてよく見えなかったが、左右の太鼓の間にはミニ銅鑼があった。人形が太鼓にぶつかる。テンポ良く「ドンタンドンタンドンタン」。最後に銅鑼にぶつかって「ポワン」倒れる。面白い演出だ。
セリフは英語だったので全ては分からなかったが(日本語も結構駆使していました)、観ているだけで理解出来た。そして理解出来ない子供でも大喜びする演出。舞台はこうあるべきだ!と改めて思った。

どうしてもバリのワヤンと比較してしまうのだが、人形劇中は音は無し(時々ハープを入れてはいたが)だったが、場面転換して影絵になった時は音源を使用していたのが残念…生演奏だともっといいだろうなと思ってしまう。
人形も影絵も正直バリのクオリティには叶わないと思う。バリの影絵人形のクオリティ(芸術全般と言っても過言ではないだろう)は世界でもトップクラスなのでは。
しかし総合的にとても合っていたと思ったし、特にあの人形の愛らしいキャラクターは必須だったであろう。

インドネシアのワヤンは、ヒンズーの古代叙事詩ラーマーヤナやマハーバーラタを元に作られていて、人智を超えた神の世界。勿論そこから人間が学ぶべきことが描かれているのだが、その超絶さについていけないと感じてしまう時がある。(あくまで個人的見解です)舞台を作る者としては、もう少し人間寄りの設定がベストだなぁと思う。元がそんな視点なので、この芝居は人間と異界との設定のバランスが今の自分にはピタリとハマった。とても良く出来た人形・影絵芝居だと思った。
参考になったし、刺激にもなった。やはり影絵はいい、あのワクワク感が堪らない。機会があれば他の影絵芝居も色々観に行こう。

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