カディスの緑の風

スペイン、アンダルシアのカディス県在住です。

現在は日本の古い映画にはまっています。

オバマ大統領、広島スピーチ

2016-05-28 17:15:49 | 日記

なんという素晴らしいスピーチであろう、

なんという表現力であろう、

なんという言葉の力であろう、


それが、27日の広島におけるオバマ大統領のスピーチを

YouTubeで見たわたしの率直な感想である。


献花したあと、目を閉じて黙祷するオバマ大統領の表情に

一種の緊張感を感じながらも映像を見ていくと、

安倍首相が献花してお辞儀、そしてオバマ氏を

演説台に誘導する所作も優雅に思われた。


大統領の演説としてはめずらしく、プロンプターを使わず、

もちろん老眼鏡などもかけず、台に置いた原稿にときおり


目をやりながら、ゆっくりと実にわかりやすい英語で話す

オバマ大統領の表情は微笑みのかけらさえ見せず、つねに

深刻であった。


71年前の晴れ渡った明るい朝、空から死が舞い降り、

世界は一変した…。


そう始まる、まるで大抒情詩のような文章、

人間の悲しい本質としての戦争、それを肯定するでもなく、

否定するでもなく、あるがままとして受け入れるかのような

淡々とした表現、つまり、人間はおのれの正義や調和、真実

という概念、思想をもってそれぞれの文明をはぐくんできた

その背景にあるのは他部族への支配、征服、そういう本能が

なせるものであった、という認識を、

自己への反省とともに、現在の人類全体の性の悲惨さを

明らかに語りかける、自らへ、そして世界に対して。



そういう性をもつ人類が過去に犯してきた過ち、それを一掃することは

まず不可能である、ということ。

しかしそうした過去の過ちから学び、これからの世界を

少しでもよくしていく努力は、われわれ一人一人が追及していく

道義的責任があるのだ、という心構えをわかりやすい言葉で

話していることに、多くの人たちが感動したことと思う。


もし英語がわからなかったとしても、オバマ大統領の言葉は

言語を超えて聞いている人々の心に染み入ってきた、と思う。

わたしも途中から涙が止まらなかった。

感傷的、と思われるかもしれないけれど、

広島、長崎への原爆投下への謝罪云々、などといった

政治的な、俗っぽい議論より、なによりも、

オバマ大統領の広島訪問、17分の及ぶスピーチの意義は

もっと精神的なものである。

これこそ、言葉のもつ力、というものである。

書かれた言語の意味などどうでもよい。

一人の人間が真摯に心をこめて語る言葉、

発声された言葉のもつ威力にわたしは感動したのである。

そして広島の人々のオバマ大統領広島訪問に対する

寛容な態度、これこそ、熟成した文化を誇る国の民の

心意気である。




英語がわからなくても、日本語訳にたよらず、

ぜひ、オバマ大統領の生の英語のスピーチを

みていただきたい。


https://www.youtube.com/watch?v=zxyrWvwVPAI






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