診察室でのひとり言

日常の診察室で遭遇する疑問、難問、奇問を思いつくままに書き記したひとり言

『 83 』

2019年10月19日 | 医療、健康

誰にでも思い入れのある数字があると思う。83・・・ この数字は何を意味するか? この数字に思い入れのある人はいるか? 中学生の頃、素数というものを数学で学んだ。1より大きく、約数が1とその数字そのものしかなく、他の数字で割り切れない数字のことである。83 はその素数である。今晩からプロ野球は日本一を決める日本シリーズが始まる。ジャイアンツの原監督の背番号は 83 である。自身の現役時代の背番号 8と尊敬する長嶋茂雄名誉監督の現役時代の背番号 3を合わせた番号らしい。野球少年であった私は、小学生時代(3年間仙台市) 長嶋茂雄に憧れて背番号 3のユニフォームを着て野球にいそしんでいた。しかしながら、試合になるとピッチャーかショートを守ることが殆どで、試合用のユニフォームでは好きな背番号 3を付けることは一度もなく、ピッチャーの 1かショートの 6を付けて試合に出ていた。当時、ジャイアンツが年1回、仙台に試合に来ることがあった。友人と二人で当時の宮城県営球場にジャイアンツ戦を観戦に行き、試合終了とともに、塀を乗り越えて、守備(サード)から駆け足でベンチに引き返そうとする長嶋選手を目掛けて猛ダッシュで駆け寄った。ほんの一瞬のことではあったが、長嶋選手の左肩をタッチすることができ、その日は手を洗うこともできず凄い興奮の中、床に就いたことを覚えている。 18年?ほど前、幼い二人の娘と家内とで軽井沢にスキーに出かけた。ホテルのエレベーターに乗ってゲレンデに向かおうとしていた時、『 すいません 』 と男性の声。閉まりかけたドアを開け、『 どうぞ 』とその男性に向かって返答すると、なんと 原監督親子が乗り込んできた。唯々 『 は・ら・さんですか?!』 としか発することができず、原監督も 『 え~ 』 というだけの一瞬の空間を味わったことがある。8 と 3 との直接的な接触の二幕だった。 前置きはこれくらいにして、毎日診察していると すごく 83 が気になる。83 歳のことである。女性が 83歳になると、かなり多数の人は急に体力がなくなり、『 しんどい、しんどい病 』 が始まる。多数の検査をしても特に異常もないが、兎に角 『 しんどい、しんどい、なんでですか?』 を毎回連発される。クリニックも18年目になると、初年度 65歳であった患者さんも、今では 83歳になっておられる。『 あんなに元気だったのに、歳を取られましたね! お尻や太ももの筋肉がやせ細ってしまって、立ち上がるのも、歩くのも大変になってきてますね。下半身の筋肉がげっそりして来ているので上半身を支えられなくなってきています。自分の体を思うように動かしたり支えたりすることができなくなってきているのでしんどく感じているのだと思います。』 70歳台にジムにでも通って筋肉を鍛えておかないと 80歳台になったら、このようにしんどくなってしまう。それも 83 歳を超えてくると必発?のように感じる。比較的男性は筋肉が女性より多いので、『 しんどい、しんどい 病 』 は少ない。世界平均寿命 71歳であることを考えると厳しいようではあるが、仕方のないことのように思えるのだが。