Duke MBA 日本人ブログ

Duke University - Fuqua School of Business(非公式)

就活におけるTeam Fuqua

2018-02-07 21:04:46 | 就職活動

二年生のCSです。

 

今回はDukeでの就活について少しお話します。就活に興味がない方も、Fuquaの文化がどんなものかなどという視点で読んでいただければ幸いです。もともと私がDukeを志望した大きな理由の一つが「就職に非常に強い学校」ということでしたが、実際に入学してみてこれが本当であったことを実感しました。学校が発行するEmployment Reportのデータや、同級生達の就職先からその実績を確かに肌で感じるのですが、ではなぜ、Dukeではこのような就職実績を残せているのでしょうか?私なりに色々と考えてみた結果、やはり”Team Fuqua”ではないかと思っています。”Team Fuqua”は非常に便利な言葉で、「また、あのTeam Fuquaか」と感じる方も多いかもしれませんが、実際これ以上に表すベターな言葉がないというのが正直なところです。今日はその詳細について、自分なりにまとめてみたいと思います。

 

手に入りやすい膨大な情報量

ご存知の通り、就活では情報がかなりものを言います。アメリカでは特にそうですが、就活中はありとあらゆるイベントがあります。会社説明会、コーヒーチャット、クラブ情報交換の場、アルムナイナイト、ハッピーアワー、など公式のものから非公式のものまで多種に渡るイベントが行われています。どの学校にも就職センターのようなものがあり、学生の就活をサポートしてくれると思いますが、この就職センターからは得られない情報というのが実はかなりあります(アメリカ就活も日本就活も)。これらを自分の力だけで把握しようとしても膨大すぎてとても難しいのですが、Fuquaではクラスメイトが積極的に情報を持ってきてくれますし、気になる企業のイベントについてクラスメイトに聞けば躊躇なく教えてくれます。

アメリカで大手の企業を受ける場合、基本的に就活は自分の学校のクラスメイトがライバルになります(例えば、BCGのダラス・オフィスではデュークに年間約15人前後の枠が設けられているので、この枠を求めてデューク内の学生が競います。もちろん、他校との兼ね合いもあり枠は上下しますが、基本的にデュークの学生はデューク内の学生がライバルとなります)。にも関わらず、情報提供を拒んだり、有益な情報を秘密にしようとしているクラスメイトを私を見たことがありません。

私と同じような会社を受けている同級生から「今この会社のこんな人と話したんだけど、最近ニュースになったこんなことが話題になったから調べておくといいと思うよ!」なんていうアドバイスをもらう場面もありました。Team Fuquaの大きな信念となっているSupportive Ambition(どんな状況下であっても仲間に必ず手を差し伸べるという信念)がしっかりと染みついている証拠ではないでしょうか。

少し余談にはなりますが、ある会社の面接を受けたクラスメートが「この会社はFuquaと同じくらい親切な人が沢山いる・・・」と、とても驚いたという話をしてくれたことがありました。これはどういう意味かと言えば、学生の中でもFuquaは親切な人がとても多いという認識があり、これ以上にお互い協力する環境はなかなか無いという共通認識があるということです。お互いがライバルになり得る就職活動においても、Dukeでは協力し合うということがごく当たり前のこととして行われています。非常に肉食性が強いネイティブの中で就活をする海外組にとっては特にありがたい雰囲気です。

 

大きくて強いネットワーク

こうした協力の文化は、同級生同士だけのものではありません。世代を超えてこの文化が浸透しているため、卒業生へのアプローチが非常に容易です。例えば、私がある企業のある部署に興味があるとします。LinkedIn内でそこに関係のある卒業生の方を探し、突然メッセージを送った場合でも、ほとんどの先輩方が快く話を作る時間を作って下さいます。実際私はそうやって何人もの先輩からお話を伺い、アドバイスを頂きました。

MBAの就活はUndergrad卒業時に比べて、採用する企業が限られています。限られた企業の、限られた枠を求めてビジネススクールの学生が殺到するため、非常に狭い世界です。そのため、志望する企業のキーパーソンを知ることはとても大切になります。特にアメリカは日本以上にコネ社会なので、内部から採用担当の方に推薦するといったことが当たり前に行われていています。Fuquaにはコミュニケーション能力が非常に高い人材が多く(入学面接においてはその点もかなり重要視されているように思います)、そういった先輩方は仕事の場でもやはり周囲と強固なネットワークを持っている場合が多く、先輩方の方から、積極的にキーパーソンに繋いで下さり、とても大きな助けになります。

少しアメリカでの就活に話が偏りましたが、日本での就活においても、先輩方からのサポートは非常に大きな意味を持ちます。ビジネススクールへの合格切符を手にするまではそのゴールに向かって必死に走り続けますが、実際に合格すると私費留学生にはまた別の就職活動という挑戦が目の前に広がります。合格から渡米の数ヶ月の間に、サマーインターンシップのための企業説明会、面接などが行われます。同時に退職・渡米準備をこなし、実際に渡米すると生活のセットアップをあっという間に済ませ、いよいよ授業が始まります。世界中から集まった学生達との学生生活は刺激的ですが、ハイレベルな現実を目の前に、既に受験で残量ゼロに等しい自尊心が一気にマイナス値を叩き出すという洗礼を受けます。そんな中で同時に就職活動を進めなければなりません。その時に、実際に同じ道を通った先輩方のアドバイスのもとポイントを絞って準備を進めるのと、自分だけで手探りで準備をすることにどれだけの差があるかは、簡単に想像ができると思います。大きいというネットワークだけではなく、サポートしあうネットワークの強さのおかげでFuquaの学生は就活でも差別化をすることができています。

 

面接の練習量

面接は必ずと言っていいほど準備が必要になります。どの情報をどのタイミングでどのようにデリバーするか。早くしゃべりすぎていないか。説明が長くないか。説明が分かりやすいか。相手の目を見ているか。見すぎていないか。相手の話を聞いていないと勘違いされていないか。ときに笑顔で対応できているか。ジェスチャーが多すぎないか。貧乏ゆすりをしていないか。突っ込まれたときに目を背けてはいないか。しっかり結論から喋れているか。など、細かく言えば沢山ありますが、これら全てを一人で上達させるのは極めて難しく、非常に時間がかかってしまいます。Dukeではこれらのことも、クラスメイトや上級生がサポートしてくれます。

まずCareer FellowやCOLE Fellowといった、キャリアやリーダシップのメンターとして1学年上の学生が1年生全てにアサインされます。Fellowは何度でも面接練習に付き合ってくれますが、業界に特化したクラスメイトや上級生、卒業生にお願いして面接の練習をすることも日常的に行われています。特にアメリカのコンサル向けのケース面接を練習している学生達はサマーインターンの面接前に計60ケースこなしたりしており、既に内定をもらっている上級生や現役で実際に働いている卒業生にお願いをしたり、ライバルであるはずの同級生と一緒に面接の練習を絶え間なくやっています。もちろん練習するのは楽ではありませんが、練習相手を探さなくてはいけない、といったストレスが少ない環境はなかなか珍しいのではないでしょうか。誰でもやろうと思えば何十回も面接の練習が出来るFuquaならではの環境、はやはり就活に強い理由の一つと言えるでしょう。

 

的確なフィードバック

面接練習は、場慣れするためにひたすら量をこなすわけではありません。的確なフィードバックを得ることができます。Dukeに来る前は、自分のコミュニケーション能力はそこまで低いほうではないと感じていましたが、それが大きな勘違いだったと思わず謝罪したくなるくらい、Fuquaにはコミュニケーション能力の高い人間が多いように思います。それらの学生からもらうフィードバックに、何度目から鱗が落ちたかわかりません。後々よく考えると結構ひどいことも言われていたりしますが、非常に的確で、毎回痛いところをきっちり突いてきます。日本人同士では決して気がつかないようなことも多くありました。またマイナスな部分を相手に伝えるときの言い回しも上手なので、嫌な気持ちになることなく純粋にフィードバックを受けることができます。フィードバックの文化は実はTeam Fuquaの文化でもあり、入学して結構早い段階でチームメンバーにフィードバックをしなければならない場面が幾度となく用意されています。それらを通してフィードバックの大切さや上手なフィードバックの方法を学んでいるため、面接練習では非常に有益なフィードバックを得ることができます。また、フィードバックを得るだけでなく、自分自身が相手にフィードバックをするというスキルも同時に磨かれます。

 

強いブランド

これはTeam Fuquaとは少しずれたカテゴリーになりますが、Dukeブランドには非常にお世話になりました。Dukeは日本での知名度はあまり高くありませんが、アメリカでは屈指の名門校として認識されています。これはUndergradのランキングが非常に高いことによるとも言えますが、メディカルスクール、ロースクール、ポリシースクール、環境系の学問やバイオ関連など、多岐にわたる分野の大学院が非常に高い評価を受けており、日本で想像するよりもずっと(特にアメリカでは)Dukeブランドは強く、就職活動をして行く中でそれを実感することができます。また日本のMBA採用をしている企業内でもDukeブランドは浸透しており、ブランド不足で就活が難しいということはまず無いといっていいでしょう。日本で就職活動をされる方も、アメリカで就活する方も、今後仕事上アメリカと関わりをもつ可能性がある方も、今後必ずそのことを実感されるかと思います。

 

まとめ

ビジネススクール受験時代、様々な学校を調べていく中で、Duke大学の特色はTeam Fuquaであることは分かったのですが、それが一体何であるのか、その実態を掴むまでにとても時間がかかりました。何故ならTeam Fuquaは協力・尊重の文化そのものを指す言葉だからです。もしも学校の特色が、ある分野に特化している・授業スタイルが非常に独特である・名物教授が多いなどであれば、入学前からその特色を掴むことは簡単だったかも知れません。しかしTeam Fuquaが生み出すDukeの特色は、実に様々です。受験時代に必死にサポートしてくださった先輩からその文化を感じ取ることもあれば、授業が始まってチームメートからそれを学ぶこともあるでしょう。私の場合は、長く辛かった就職活動を通じてTeam Fuquaの文化が生み出すDukeならではの様々な特色を感じました。このブログで、それらを少しでもみなさんにお伝えすることが出来れば幸いです。