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米国の連邦金融機関検査協議会(FFIEC)や米銀行協会が金融機関のCOVID-19のパンデミック化に備えた改正ガイダンスを発布 (新型コロナウイルス対応:その4)

2020-03-08 08:14:28 | 国家の内部統制

 筆者の手元に3月6日付けの米国の金融監督機関の1つである連邦預金保険公社(FDIC)の「パンデミック計画に関する金融監督機関向けガイダンスの共同声明(Interagency Statement on Pandemic Planning )」に関する金融機関向けリリースが届いた。これは、そのほかの連邦金融監督機関協議会(Federal Financial Institutions Examination Council's:FFIEC )からの通知と同様の位置付けにあたるもので、また同時に米国銀行協会(ABA)も「Coronavirus Disease 2019 (COVID-19):Pandemic Planning and Business Continuity Resources for Banks」専用サイトを立ち上げている。

 今回のブログは、これらの関係機関の取組み内容の概要を取り上げ、わが国の経済金融活動のコアである民間金融機機関のパンデミック時の対応に向けた先行的課題につき警報を鳴らすものである。
 とくに、ABAのCOVID-19のパンデミック対応サイトはかなり詳しく網羅的な内容である。
わが国の金融機関や一般企業の事業継続性確保のための準備はこれからという現実を見ると、不安感を覚えるのは筆者だけであるまい。


1.2020.3.6 FDIC 金融機関向けニュース「パンデミック計画に関する金融監督機関向けガイダンスの共同声明(Interagency Statement on Pandemic Planning)(全10頁)を発布
 FDICのリリース文を仮訳する。
 ニュースCOVID-19のパンデミックへの備えは、金融機関の事業継続計画の重要な部分である。 米国の規制監督を受ける金融機関は、継続的な計画を含む関連するリスク管理計画を定期的に見直し、かつ幅広いシナリオで最小限の中断で自行の製品とサービスを提供し続ける能力を確保する必要がある。 健全化計画は、こうした不測の事態が発生したときに、消費者、企業、コミュニティへのサービスの中断を最小限に抑えるのに役立つ。 米国連邦金融機関検査協議会(FFIEC)は3月6日、パンデミックの潜在的な悪影響を最小限に抑えるために各金融機関がとるべき行動を特定するガイダンスを更新した。

 パンデミックが施設に及ぼす可能性のある影響は、各金融機関がその運用環境でどのように管理するかの計画を確立することを正当化する。最近の出来事は、条件が必要な場合にこれらの計画を実行する準備ができている機関の重要性を強調している。

 各金融機関は、事業継続計画をレビューし、次のような慎重な初期アクションを実行する必要がある。

①  パンデミックのアウトブレイク時のリスクを伝え、病気にかかる可能性を減らすために従業員がとることができる手順を議論することにより、従業員の認識を促進する。

② 業務継続の目的で、組織内および他のビジネスセクター全体で重要な機能、従業員およびリソースを特定し、優先順位を付ける。

②  経営陣、従業員、主要サプライヤーおよび顧客の役割と責任に関するテストの実施。

③  主なパンデミック計画の引継ぎ。

⑤ オンラインバンキング、テレフォンバンキング、およびコールセンターサービスへの依存の増強。

⑦ リモートアクセスと在宅勤務(telecommuting)の機能強化。

 このガイダンスは、2008年2月6日付のタイトル「パンデミック計画に関する省庁間声明:パンデミックの潜在的な悪影響を最小限に抑えるためのガイダンス」(FIL-6-2008)の内容を更新し、また2006年3月15日付の「インフルエンザのパンデミック対策に関する省庁間諮問」(FIL-25-2006)に優先する。

2.2020.3.6 米国銀行協会(ABA)「Coronavirus Disease 2019 (COVID-19):Pandemic Planning and Business Continuity Resources for Banks」サイトの概要
 以下で仮訳する。
 この専用ページには、銀行が2019年の新規コロナウイルスを慎重に計画および準備する際に役立つ一連のリソースが含まれる。 最新の状況の評価と公衆衛生当局からのガイダンスを含むように定期的に更新される。また、事業継続計画上の推奨事項、金融規制当局からのその他の関連情報、および従業員、顧客、公衆とのコミュニケーション方法に関するガイダンスも含まれている。

(1) 金融業界における規制ガイダンスなどによる規制
① 新型コロナウイルス対応をめぐる金融業界の予備的・共通的な演習・訓練(Preliminary Coronavirus Financial Industry Common Practices)
FBIIC (筆者注1)/ FSSCC(筆者注2) 2007パンデミック・インフルエンザ訓練時の行動後の報告(FBIIC/FSSCC 2007 Pandemic Flu Exercise After Action Report)
③ 演習・訓練結果の概要(2020年2月、金融サービス情報共有および分析センター(以下、FS-ISAC)ビジネス復元委員会に提出した)(Exercise Summary (as presented to FS-ISAC(筆者注3) Business Resilience Committee, Feb. 2020)

④ 米国証券業界最大の自主規制組織であるFINRA(金融取引業規制機構)はパンデミック対策に関するガイダンス(FINRA Provides Guidance on Pandemic Preparedness:Business Continuity Planning)を提供-規制通知09-59

FINRAの2009年パンデミック調査結果(FINRA 2009 Pandemic Survey Results)
⑥ California Resiliency Alliance 2019 Novel Coronavirus(2019-nCoV)クイックリンク先の一覧(注4)(California Resiliency Alliance 2019 Novel Coronavirus (2019-nCoV) Quick Links Collection)

FFIECの IT検査ハンドブック-ビジネス継続性管理ブックレット(2019)(FFIEC IT Examination Handbook - Business Continuity Management Booklet (2019))

FFIECの IT検査ハンドブック-ビジネス継続性計画ブックレット付則D:パンデミック計画(FFIEC IT Examination Handbook – Business Continuity Planning Booklet、Appendix D:Pandemic Planning) 

パンデミックの潜在的な悪影響を最小限に抑えるためのパンデミック計画ガイダンスに関する金融監督機関合同声明(2007 Interagency Statement on Pandemic Planning Guidance for Minimizing a Pandemic's Potential Adverse Effects (2007) ) (注5)

大災害:大災害の影響を受けた金融機関に対する関係省庁審査官ガイダンス(2017年12月(Major Disasters: Interagency Examiner Guidance for Institutions Affected by Major Disasters (Dec. 2017))

法定休日または自然災害の宣言への対応:自然災害およびその他の緊急事態に関する監督ガイダンス(2012年9月)

(2)感染状況および感染事例情報の更新情報機関
・疾病管理予防センター2019新規コロナウイルスの状況の概要(Centers for Disease Control and Prevention 2019 Novel Coronavirus Situation Summary)
・ジョンズ・ホプキンスCSSEによるコロナウイルスCOVID-19グローバルケース(Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE)
・DHSサイバーおよびインフラストラクチャ・セキュリティ機関SitRep(2020年3月4日)(DHS Cyber and Infrastructure Security Agency SitRep (Mar. 4, 2020))

(3)利用可能なガイドと推奨事項
・疾病管理予防センター
・2019新規コロナウイルス(2019-nCoV)(2020年2月)の計画と対応に関する企業
と雇用者向けの暫定ガイダンス
・ビジネスパンデミックインフルエンザの計画チェックリスト
・CDCトラベルガイダンス
・CDCコミュニケーションリソース(無料のビデオ、ファクトシート、ポスター)
・CDC PSA:2019-nCoV:国民がすべきこと
・CDC PSA:細菌の拡散を阻止
・CDCの米国パンデミック間隔フレームワーク(PDF)
インフルエンザ・パンデミックの計画をガイドし、米国でのリスク評価、意思決定、および行動の推奨事項を提供します。インフルエンザパンデミックの進行状況を説明し、さまざまな段階の指標と評価の概要を説明している。

(4)世界保健機関(World Health Organization)
・WHOの一般大衆向けアドバイス(WHO Advice for the Public)
・パンデミック・インフルエンザのリスクと影響の管理のチェックリスト:パンデミック対応能力の構築(Checklist for Pandemic Influenza Risk and Impact Management: Building capacity for pandemic response)

・コロナウイルス病(COVID-19)の一般向けアドバイス:神話バスター(Coronavirus disease (COVID-19) advice for the public: Myth busters)

(5)労働安全衛生局Occupational Safety and Health Administration
・2019-nCoVへの潜在的な暴露から労働者を保護する。
・インフルエンザ・パンデミックに備えて職場を準備するためのガイダンス)

(6)米国商工会議所
・従業員のためのコロナウイルス(COVID-19)にかかる職場のヒント
・雇用主がコロナウイルスを計画的に対応するためのガイダンス

(6)詐欺(fraud)および詐欺まがいの不正行為(scam)
 米国内ですでに以下の犯罪行為が見られる。
・米国シークレットサービスのグローバル調査オペレーションセンターのアラート:コロナウイルス詐欺(3月4日)
・WHOのふりをする犯罪者に注意してください
・コロナウイルス:詐欺師は見出しを追う(2月10日)
・コロナウイルスをテーマにした電子メールを使用してマルウェアを配信するサイバー犯罪者(2月10日)
・投資家アラート:コロナウイルス関連の投資詐欺に注意(2月4日)
・米国、英国でのコロナウイルス・フィッシングメールは、保護安全対策に関するアドバイスを提供すると主張(2月3日)

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(筆者注1) Financial and Banking Information Infrastructure Committee(FBIIC)の概要を仮訳する。
金融市場に関する大統領の作業部会の下で認可された「金融および銀行情報インフラ委員会(FBIIC)」は、金融規制当局間の調整とコミュニケーションの改善、金融セクター内の官民パートナーシップの促進、および金融セクター全体の回復力の強化を担当している 。

(筆者注2) Financial Services Sector Coordinating Council (FSSCC)の概要を仮訳する。
 重要な金融インフラの保護として2002年に金融セクターによって設立されたFSSCCは、主要な政府機関と協力して、サイバーおよび物理的な事件から国家の重要なインフラストラクチャを保護している。

(筆者注3)  FS-ISACの概要を仮訳する。
 信頼がビジネス、貿易、商取引の重要な資産になった現在、金融サービス情報共有および分析センター(FS-ISAC)は、グローバルな金融システムのサイバーリスクを軽減することに専念している。
 金融機関とその顧客にサービスを提供するこの組織は、インテリジェンス・プラットフォーム、回復力リソース、信頼できる専門家のピアツーピアネットワークを活用して、サイバー脅威を予測、緩和、対応する。
 FS-ISACの本部は米国にあり、英国とシンガポールに支部がある。 

(筆者注4) リフォルニアビジネス回復同盟(California Resiliency Alliance: CRA)のCOVID-19 / SARS-CoV-2 Quick Links Collectionの該当ページを以下、仮訳する。

 このページは、以前は2019 Novel Coronavirus(2019-nCoV)と呼ばれていたCOVID-19(疾患)/ SARS-CoV-2(ウイルス)に関するリソースへのリンク集である。カリフォルニアビジネス回復同盟(California Resiliency Alliance: CRA)は、このページに新しいコンテンツを投稿し続ける。 ページの下部にある変更ログは、新しいコンテンツを示す。 これは進化している状況であり、情報は変化している。最新情報については、CDCや公衆衛生機関などの公式ソースを参照されたい。

(筆者注5) 筆者なりにURLを確認したが、内容からみて2007年ではなくて“Interagency Statement on Pandemic Planning :Guidance for Minimizing a Pandemic's Potential Adverse Effects FIL-6-2008” が正しいと思う。筆者はFDICに別途確認する予定である。

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