戦後70年の今年、歌手の元(はじめ)ちとせ(36)が最新カバーアルバムに「平和」への思いを込めた。

 タイトルは「平和元年」。収録曲は15日(終戦の日)、「旧広島市民球場跡地」(広島市中区)で開催される音楽フェス「うたたね」で披露する。元は「平和を願うメッセージの“橋渡し”がしたい」と力を込める。

 平成14年にメジャーデビューし、シングル「ワダツミの木」がヒット。同年夏、広島市中区の世界遺産・原爆ドームや広島平和記念資料館を訪れた。「あの悲しい建物を見つめながら、広島の人たちが平和を伝えてきてくれたことに感謝しました」。「平和」を唱えていく歌手の使命を意識した。

 その熱い思いが結実したのが、7月22日発売の最新カバーアルバム「平和元年」だ。政治的な意図を問うと、「歌い手として素直に『平和』を願いたかっただけ。誰もが平和になってほしいとは思っていますよね?」。

 口調は柔らかいが、目の輝きから意志の強さが感じられる。声が響くのは「小学生のときから島唄を習っていた」からだろう。その声で、俳優の佐野史郎(60)と出征前の男と女の別れを描く曲「最后のダンスステップ」をデュエット。「死んだ女の子」など「平和」にまつわる12曲を最新カバーアルバムに収めた。

 「平和を望むメッセージの伝え方は多様だと思った。命を尊ぶ曲、愛しい人を思う曲…。(戦争に)行く側と待っている側でも思いは異なる。それを表現することで平和への願いを表しました」(竹中文)