米副大統領の女性側近、次々と退職

2021年07月08日 12時56分25秒 | Weblog

 7月4日、独立記念日を迎えた米国。首都ワシントン市内はワクチンの接種が進み、本来の姿を取り戻しつつある。
 ジョー・バイデン大統領は、新型コロナウイルス感染症対策に従事する医療関係者など1000人余をホワイトハウスに招き、演説した。新型コロナの克服に自信を示した。
 
 最新の世論調査では10人に6人がコロナ対策を支持している。バイデン支持率は50%(不支持は42%)と4月以降変わっていない。
 バイデン政権は、独立記念日までにワクチンを1回以上接種した18歳以上の割合を70%にする目標を掲げてきたが、実際には67%にとどまっている。
 
 ドナルド・トランプ前大統領支持者たちのバイデン嫌いや副反応への懸念、注射を忌み嫌う風土が、接種率伸び悩みの要因になっている。
 その背景には、政府が上から目線で命ずることに激しく反発する「州の権利」や「個人の自由」を尊重する気風にありそうだ。理解できないのは、若年層が接種を躊躇していることだ。党派的な保守派若者は除いても、科学への信頼が篤い若者がなぜなのか。
 若年層(18歳から25歳)の25%は、今や体の一部に痛い痛いタトゥー(入れ墨)をしているのに、だ。
 
 フロリダ州に住む女子大生は筆者の質問にメールでこう答えてきた。
「コロナにかかるのは高齢者だと思い込んでいるのよ。ヤングはかからないという強がりもある。デートできない、セックスもできない。コロナ疲れの元凶はチャイナ、その次は米国政府。そのうっぷん晴らしかもしれない」
 
「タトゥーは別よ。別に注射するわけではないし。産んでくれたのは母親だけど、生まれた後自分の体にデザインできるのは自分だわ。強制的な注射とは違うわ」
 接種率の伸び悩みに対処するため、バイデン政権は宝くじやドーナツなどの「褒美」をちらつかせている。
 
 今や「今世紀最大のヒーロー」になってきた大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手らがプレーする球場に接種特設所を設けるなど知恵を絞っているが、効果はあまり出ていない。
 そうしたさなか、変異ウイルス「デルタ型」が米国にも上陸し、拡大し始めている。 

 
「このままだと、冬には再びロックダウンに追い込まれるリスクがある」(英フィナンシャル・タイムズ)との指摘も出てきた。
 バイデン大統領としては、国民の接種に対する不安を解消させ、接種の意義を説くリーダーシップが求められている。
「政策立案、実施はバイデン以外」56.5%

 だがバイデン氏がすべての政策を立案し、実施に移しているのだろうか。米国民はどう見ているのだろうか。
 
 比較的党派色の薄いトラファルガー・グループが最近行った世論調査(6月23日から25日に実施)ではこんな結果が出ている。
 バイデン氏以外(副大統領はじめ閣僚や補佐官ら)が「行っている」と回答した人は56.5%だった。
 
 党派別にみると、バイデン氏が「すべての政策を行っている」と答えた民主党支持者は58.6%、共和党支持者は11.0%、無党派では36.1%という結果が出ている。
 なんと半分以上の米国民が「バイデン政策は他の人間が行っている」と答えているのだ。

(https://thetrafalgargroup.org/COSA-National-Biden-Full-Report.pdf)
 米国民の大多数が、就任と同時に始めた「インド太平洋戦略」構想も強硬な対中政策も、地球温暖化や移民政策も経済回復戦略も、実は各政策分野の国務、国防、財務各長官や補佐官が立案し、実施してきたと思っているのだ。
副大統領府から女性スタッフ相次ぎ離脱

 トランプ前大統領の「影の政治顧問」として知られるフォックス・ニューズのアンカーマン、タッカー・カールソン氏が7月3日、この世論調査を取り上げた。
 
 カールソン氏はサイトに掲載した記事で指摘する。
「驚いたのは、大統領の最初の『緊急事態宣言』を発令したのはバイデン氏ではなかった。副大統領のカマラ・ハリスだったのだ」
 
「ワシントン・ポスト紙上で『緊急事態だ。職場で働く女性たちが大量にエクソダス(離脱)している』と警鐘を鳴らしたのだ」
「ウォールストリートで働くキャリア女性が離職している。セクハラや不当な職場環境に怒って辞めている。これは一大事だ。緊急事態だ、というわけだ」

「はしゃぐだけで対応策を打ち出したわけではない。ところが、(政治専門サイトの)『ポリティコ』によれば、彼女が長である副大統領府で今、女性が相次いで辞めている」
「その理由は、上司とスタッフとのコミュニケーションの欠如、信頼関係ゼロ、士気の低下などなど。ハリス氏の管理能力の欠如だ」
 
*1=『ポリティコ』は22人の副大統領府の現・元スタッフを取材し、主席補佐官のティナ・フロノイ氏(ビル・クリントン元大統領の首席補佐官)が独断専行で政策遂行を図り、異論を唱える者は辞めさせたり、辞任させていると報じた。同種の話を『アクシオス』も報じている。
(https://www.politico.com/news/2021/06/30/kamala-harris-office-dissent-497290)(https://www.axios.com/kamala-harris-office-dysfunction-2024-e2f9a9c0-f391-4c1d-8042-aa4f24a292e3.html)
 
「彼女が初の女性副大統領であることや最初の黒人女性・インド系副大統領であることから主要メディアは彼女を批判するのを避けている」
「批判されたハリス氏は批判した者をレイシスト(人種差別主義者)だと食って掛かるのは目に見ている。だから批判できないでいる」
 
「私はあえて言う。彼女は自分が何をやっているのか分からないのだ。政治家としての経験も浅く、政策にも精通していない。彼女は単なる『権力欲の強い道化師』(Power-hungry buffoon)に過ぎないのだ」

(https://www.foxnews.com/opinion/tucker-carlson-nobody-thinks-joe-biden-actually-runs-the-white-house)
「多様性のシンボル」から「権力亡者」に

 バイデン政権発足と同時にハリス氏は圧倒的な存在感を見せつけた。「最も多様性に富んだ政権」の象徴になった。メディアの中には「バイデン・ハリス政権」と呼ぶ者もあった。
 
 バイデン氏はハリス氏に以下のような「特命」を次々に与えた。
一、男女平等に関する政策を審議する組織の長に任命。(3月8日)
 
二、移民問題での不法越境対策の長に任命。(3月25日)
三、訪米した外国首脳の表敬を受け入れる前例を菅偉義首相の表敬訪問で確立させる。(4月16日)
 
四、労働者の不当賃金などを解消するための労組結成促進のためのタスクフォースの長に任命。(4月27日)
五、バイデン氏の名代としてグアテマラ、メキシコを訪問、首脳会談を行った。(6月7日、8日)

六、ジョージア、アリゾナ各州の投票権の厳格化に対抗した投票権擁護対策の長に任命。6月1日)
 これだけ多岐にわたる重要アジェンダを任せられた副大統領はこれまでいない。
 
 バイデン氏が高齢であることもその理由だが、なぜこれほどハリス氏に権力を移譲したのか。
 移民問題は民主、共和両党の歴代政権が取り組んできたが、解決できなかった難題。ハリス氏にとっては「政治的リスク」を負うアジェンダばかりだ。
 
 労組結成問題にしても経済回復・安定化のカギを握る中産階級の縮小と密接な因果関係がある。
 投票権擁護問題は、ジョージア、アリゾナ各州が黒人有権者に投票権を減少させる州法を制定したことに対し、バイデン民主党がどう出るかの試金石だ。
 
 というのも、共和党が州議会を牛耳っているこれらの州は、民主党支持の中核である黒人が投票権を取得する際に提示する身分証明や郵便投票条件の厳格化させたからだ。
 これもバイデン政権にとっては死活的重要課題だ。

バイデン氏はそれを全部ハリス氏に丸投げしたのか。2024年に自分は出馬せず、ハリス氏を大統領選に出すために実績を積ませようとしているのか。
今戦えばハリス47%、トランプ40%
 
 前述のカールソン氏はそう信じて疑わない。
「バイデン・ハリス政権の150日を見てくると、ハリス氏が日増しに物事を動かすようになってきている」
 
「民主主義を信じる人には、これは問題だ。非常に多くのグループの人たちがハリス氏に国政を任せたくはないと思っている」
「2020年の民主党予備選時、彼女の選挙区だったカリフォルニア州民は彼女が早く予備選から撤退することを望んでいた」
 
「同州民主党員の7%しか彼女が同党大統領候補に指名されることを望んでいなかった。彼女をよく知る人は彼女に尊敬の念など払っていなかったのだ」
「それがなんと、副大統領になってしまったのだ」
 
「公共放送PBSなどは、ハリス氏が副大統領になったことを当然のことのように報じているが、これはノーマルなことではない」
「問題なのはバイデン氏が米国大統領だということだ。これは我が国の政府システムがとてつもなく大きな変化をしてしまったことを意味する」
 
「バイデン氏の認知症が進めば進むほど、カマラ・ハリスが巨大なパワーを持ち出すことを意味している。そして誰もバイデン氏が2024年の大統領選に再出馬するなどとは考えていない」
「バイデン氏が再出馬しなかった場合、確かに民主党の最有力大統領候補はハリスだ。その時、トランプ氏が共和党大統領として出てきたら結果はどうなるか」
 
 最新の世論調査「エシェロン」によると、ハリス氏47%、トランプ氏40%。
 マイク・ペンス前大統領が出れば、ハリス氏45%、ペンス氏36%という予想になっている。
 
(https://projects.fivethirtyeight.com/polls/president-general/national/)
 一寸先は闇なのが政界。4年後にどうなるかなど誰も予測はできない。一つだけ確かなことは、ハリス氏が日増しにその存在感を強めていることだ。

米主要紙のアジア系の女性ベテラン政治記者は、こう言う。
「黒人・インド系の女性が大統領になることはラクダが針の穴を通るようなもの。民主党にしろ、共和党にしろ、今度大統領になるのはストレートな(同性愛者などでない)白人の男でしょう。ハリス氏がなったら奇跡だ」
 
「ハリス氏が大統領になったら今の分裂国家は完全に二分されて2つの国になってしまう」

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