能登半島地震は、地域のインフラ(社会基盤)に大きな被害を与えた。発生から1週間がたっても、多くは復旧が見通せない。
北陸電力によると、石川県内ではなお約2万戸が停電したままだ。地震翌日の2日には一時、約3万4000戸が停電した。
2016年の熊本地震は、最大48万戸が停電したが、6日後にほぼ全域で復旧している。斎藤経済産業相は5日、「道路の被害が想定以上に厳しく、いつまでに復旧すると申し上げる状況にはない」と述べた。
携帯電話の通話やデータ通信も不通か、つながりにくい状態が続いている。総務省によると、7日午後3時時点で、輪島市や珠洲市など5市町の携帯基地局544局が機能を停止している。
通信障害の原因は、主に、停電による基地局の機能停止や回線の損傷にある。基地局の機能停止は3日の約840局をピークに、徐々に減ってきたが、完全復旧の見通しは立っていない。
停電の対応と同様に、発電設備の搬入が難航しているという。KDDIの高橋誠社長は金沢市内から能登半島への移動について、「片道4時間ほどかかる。朝4時に出発して、現地で対応して夕方に戻るということを繰り返している」と話している。
鉄道は、JR七尾線が高松―和倉温泉間で運休し、七尾と穴水を結ぶ第3セクター「のと鉄道」は全線で運休している。能登空港も、滑走路にできた多数のひびわれの復旧工事中で、全便が欠航している。民間機の運航再開は早くても25日以降となる見通しだ。
一方、ガソリンや灯油の供給は徐々に再開している。
経済産業省の7日朝時点の集計によると、能登半島北部6市町では全69か所の半分にあたる37か所のガソリンスタンドが営業可能になった。石川を含む4県では、2日に65か所が営業停止となったが、6日には31か所まで減った。
大型車両の通行が可能になり、7日にはふだんの数日分の量にあたる燃料が被災地域に運ばれたという。石油元売り会社は大型車が入れない地域や避難所に灯油を供給するため、ドラム缶やポリタンクを使った輸送を続けている。
読売新聞