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Performance Engineering

1NZ H断面コンロッド逃げ加工

2014-08-21 21:21:08 | トヨタ 1NZ
1NZのチューニング用に開発したオリジナルのH断面コンロッドと純正コンロッド。最近のエンジンの部品は定格使用に対して少な目の安全率でなるべく軽く作られてる為、ある程度のパワーアップを行うと簡単に壊れます。コンロッドが折れると悲惨でオイルをぶち撒き、エンジン全損。飛び散ったオイルに引火する可能性もあり危険です。

そんな訳で迷わず交換するのですが、社外の頑丈なコンロッドに変更すると寸法が大きくなるため逃げ加工が必要になる場合があります。うちの1NZ用のコンロッドだと、上限として300ps程度を想定し、なるべく軽くスリムに作って有るのですが、それでも干渉します。


寸法差はこんな感じ。


シリンダー加工前(純正ボア)なので純正ピストンを使用し仮組みして軽く干渉させた様子。マーカーの線の内側に接触痕があるのがわかる?多少、寸法マージンを取って逃げ加工を行うのでその分広めにマーキングしてあります。


逃げ加工の途中、仮組みして確認している様子。珍しい干渉の仕方ですが、1NZの場合、ロッド部分が接触します。なぜなら…


クランクオフセットがこんなにあるから。ざっくり計測しても13mmものオフセット。燃焼サイクルでピストンの側圧を低く出来、フリクションを低減するのが狙いです。

その為、オフセット側のシリンダー下端とロッド部分がもともとぎりぎりのクリアランスになっています。逃げ加工も片側のみ。

ボーリング&ホーニング前に加工を済ませる事で仕上がったシリンダーに傷をつけるリスクを無くせます。


1ZZエンジンも加工に出す前に終わらせておく作業がありました。


右上からシリンダー上面の石刷り(トレーシングペーパー)、仮図面を印刷したもの、半完成図面の寸法チェック用(OHPフィルム)、完成図面。

ノーマルでは140PS程度のオープンデッキアルミブロック。今回の目標は450馬力+なので、シリンダーの振れでトラブルが出ないようブロックガードを製作&組み込み、補強します。

1ZZも2ZZも半割りタイプのブロックでクランク回りの剛性は高いのですが、パワーが上がるとシリンダー回りでトラブルが出やすいように思います。

準備が一通り出来たので、本日加工屋さんに引渡し。
「1NZのダミーヘッドある?」
「確認します」「ありませんでした」
「何時作るの?」
「以前、次に来たら作ろうかと」
「今回ですね」
「…チッ」(半フィクション)
という事で、ダミーヘッド付きでのボーリング&ホーニングになったものの、製作に少々時間がかかるとの事でした。1ZZの加工も複雑な手順で行うため通常より時間がかかります。(Tさん、今回もありがとうございます)

近年主流のアルミブロックも、オープンデッキも、有限要素法を使用した最適設計も、純正では良いんですが…。クランクの強度&剛性、ブロック(特にクランク回り)の剛性が高いエンジンは回転フィーリング(NVの感性評価に他ならない)が良くなります。ベースが強いエンジンだと、パワーアップの限界も高まります。メーカーの中の人、頼みますぜw

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2 コメント

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Unknown (らもをん)
2014-08-22 09:58:33
これは面白いですね(^^)
オフセットシリンダー知らない人には衝撃的だと思います。
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Unknown (たくみ)
2020-06-14 15:34:55
初めまして。

本件の、次のブログ更新は他アプリで行われているのでしょうか。

450psという衝撃の目標値に、次回を大変楽しみにしています。

takumi.auto.t@gmail.com
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