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Performance Engineering

会心の特注製作

2017-12-10 23:19:57 | コラム
おかげさまでコンスタントに製作している特注エンジン部品ですが、会心の完成度のブツが出来たので紹介します。

アメリカのメーカーでは特注製作が一般的で、中には受注数の7割が特注品という所もあるそうです。そういった環境を羨ましがるだけなのは勿体無いと特注を開始したのが早十数年前。特にピストンの場合、図面を内製して形状を指定することでノウハウを蓄積し、なかなかのレベルになっていると思います。

今回のお題はホンダの名機、B16B型用のピストン&コンロッド。未だに高いポテンシャルを持つエンジンですが、20年前のエンジンなので設計の古さも各部で目に付きます。その辺を見直すことで性能向上の余地が有ります。

はじめにコンロッドから。

ノーマルで連桿比3.69を誇る高回転型エンジンですが、ピストン側の寸法を見直す事でさらにコンロッドを延長、連桿比は3.8を超えます。Carrillo社のAタイプにて製作。


H断面と比べるとビームは薄く、形状も空力に優れます。エンジン内の限られた空間内を高回転時には時速100km以上で動いているので空力も馬鹿に出来ません。

続いてピストン。

最近では省燃費を狙う実用エンジンでも一般的なスリッパータイプのスカート形状になっています。


薄型のリングを採用し、鍛造ならではのランド高の設定により、ピン上のハイトを大幅に短縮、スカート長もそれに合わせて変更。今回はDARTONのスリーブを使用するのを前提に3mmのボアアップ。



ボアが広がっても大幅に軽量化が可能です。ASSYで95g近く軽量化できています。軽いだけでなく、燃焼の改善やフリクションの提言にも留意して設計しています。



コンロッドも当然、十分な強度を確保した上で軽量化。ピストン&コンロッドが大幅に軽くなることで、コンロッドベアリングの負担が軽減されるのに加えて、大端部の剛性が上がっているのでメタルの当たり方も改善され、結果としてメタルの寿命はかなり有利になります。


手違いで指定してしまった裏面軽量加工wなので費用はサービス。上面の形状に合わせて切削する事で無駄肉を削ぎ落としてあります。
眺めながら酒が飲めそうなレベルの格好良さです。


残りは写真のみでお楽しみ下さい。







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