マンガは五官をだめにする! (東海戯言)

気ままに読んだマンガのことを。タイトルは『チョコレート工場の秘密』の「テレビは五官をダメにする」から

山田章博 『人魚變生』 その2

2006年05月20日 | おもしろいよ
前回の続き~~


『人魚變生』(變=変の旧字体)は山田さんの最初の作品集です。
背表紙には「耽美派イマージュ浪漫珠玉集」となんともそそる文句がついておりまして。

耽美!
イマージュ!!
浪漫!!!


なんて素敵な響きなんでしょ。

そのあおり文句のとおり、ため息が出ちゃうよなきれいな絵です。
モノクロ映画のワンシーンを見るような。
時代背景も、大正~昭和初期のものが多く、中には中国ものもありますが、
あの時代が持っている独特の雰囲気が良く出ています。

なにせメジャーデビューがあの少女のための耽美派マガジン、『アラン』だというから、そりゃあお耽美な作品ですよね!

表紙の画像ではシャドウを強調したまぶたの女性が描かれていますが、
それがなんとも言えぬ魅力です。
そういえば森川久美さんもこんなまぶたの女性(そして美少年)を描くのが上手だったですね~。

「水墨画のようだ」と言われることもあるとか。白と黒の使い方がじょうずなんですね。
白っぽいコマなんだけど、夏の日差しの強さを十分に表していたり、
陰影だけで輪郭をところどころ省略したり
最初の作品集だけあって、絵柄もシャープなものから重たいものまでいろいろで、
それだけでも楽しめます。

絵も魅力的ですが、台詞回しも素敵です。
手書き書き文字もその画風に合ったとろりとした感じのもので、写植文字よりもずっといい。
先にも申しましたが、古き映画を見たようなそんな心持ちにさせる漫画です。


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