マンガは五官をだめにする! (東海戯言)

気ままに読んだマンガのことを。タイトルは『チョコレート工場の秘密』の「テレビは五官をダメにする」から

三田紀房 『ドラゴン桜』

2005年05月07日 | わくわくする
受験生だけでなく、親も教師も読むべし



一言で言うと、落ちこぼれ生徒が東大進学を目指す、そんな漫画。
設定は荒唐無稽に思えるかもしれないけれども、そこに描かれている受験勉強のあり方は実にリアルです。ドラマというよりは受験情報誌みたいな側面がある。
受験勉強の目的や意義、効果的な勉強方、参考書や問題集など。また受験生を支える大人たちにむけても、効果的なほめ方、叱り方など解説されている。今はやりのコーチングも紹介されています。

そう、ここにあるのは等身大の受験生とその周囲の人間たちの姿。
受験勉強だからといって、ライバルを蹴落とすとか、人間性がゆがんでいる人間が出てくる、安っぽいヒューマニズムな、学園ドラマではないのです。

ですからこんな人に是非読んで欲しい。

第一には、もちろん受験生。そして高校1年生、2年生も。目標を高く持つことの意義、持続させるためのメンタル面での注意事項など、現役の学生諸君にはとてもためになります。

次に親御さんたち。ご自分の子供たちがどんな世界で生活しているのかが分かります。

そして、最も読んでもらいたいのはこれから教師になる人。
教師になるその目的や理想は各人あると思うのだけれど、きちんと周りを見ていますか? その目標は、理想は自己満足になってませんか? 自己満足では困るのです。
生徒あっての教師、生徒が主役の学校なんですから。
「金八先生」はたしかに素晴らしいドラマです。しかし現実にあんな先生がいたらすごく困る。自己の理想を語るのは結構。人間性を語るのも結構。でも学校というひとつの社会であのような横紙破りの行動を取るのはいただけません。

この漫画にもヒューマニティあふれる若き教師が登場します。
普通のドラマなら主役を張るところでしょう。でもその彼は現実には十分力が発揮できていないのです。

各方面で話題になっている漫画ですが、受験指南書ということだけでなく、実際の学校という社会を、そこに集う子供と大人たち、特に大人のあり方を見事に描いています。

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