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鯨肉の消費減少≒南極海「調査捕鯨」の存続の危機、と言いたいんだろうけど(Mar 28, 2014)

2014-03-28 21:31:13 | 捕鯨騒動
今回は小ネタ。


去年末のことになるが、南極海「調査捕鯨」の母船である日新丸が、イスラム教の戒律で合法とされる製品の生産者の認証ことハラール(Halal:حلال)を取得した。
この件は以下参照(手抜き)。
・Halal certification to Nisshin maru: Road to "Clash Of Civilisations"?(Jan 24, 2014) (2014年1月24日 flagburner's blog(仮))

それに関連して、ムスリムの人達を対象に鯨肉の試食会が行われてたらしい。
・イスラム教徒がクジラ肉を試食(2014年3月28日 nhk.or.jp)

どうにも、「文明の衝突(Clash of Civilisations)」という構図に持ち込みたい意図がうかがえるこの話。
以下、2014年3月28日分 nhk.or.jp『イスラム教徒が~』を全文(略

---- 以下引用 ----
調査捕鯨で捕獲したクジラの肉の消費拡大を図ろうと、イスラム教徒でも食べることができるよう特別な処理をしたクジラの料理の試食会が、都内で行われました。
この試食会は、調査捕鯨で捕獲したクジラ肉の販売を委託されている会社が行い、都内の会場には日本に住むイスラム教徒およそ250人が参加しました。

イスラム教徒は、豚肉が禁じられているほか、特別な処理をした肉しか食べてはならないとされています。

このため会場には、特別な処理をしたクジラの肉を使ったカレーやステーキなど、3つの料理が用意されました。
料理は、臭みを消すため香草やスパイスなどで味付けされていて、試食したマレーシア出身の女性は「初めて食べたが柔らかくておいしい」と話していました。

日本が行っている調査捕鯨の費用は、捕獲したクジラの肉の売り上げなどで賄われているため、安定的な消費拡大が課題となっています。
試食会を開いた共同船舶の伊藤 誠社長は「イスラム教徒だけでなく、できるだけ多くの人にクジラ料理を食べてもらいたい」と話していました。

調査捕鯨を巡っては、南極海での調査中止を求めるオーストラリアの訴えに対する判決が、3月31日に国際司法裁判所から出される予定で、結果によってはクジラの肉の流通にも大きな影響を与える可能性があります。
---- 引用以上 ----

できるだけ多くの人に、か。
一体どこの誰に向かって言ってるのやら(苦笑)。

ってのはともかく。
この nhk.or.jp の記事もなんだか妙な書き方だわな。
わざわざ南極海「調査捕鯨」に関する裁判の話を持ち出してるのは、「鯨肉の消費減少≒南極海「調査捕鯨」の存続の危機→「日本の食文化」の危機」という意識が見え隠れしてるというか・・・。


その、南極海「調査捕鯨」に関する裁判について、今日の記者会見で林 芳正(YOshimasa HAYASHI)農林水産大臣が少しだけ語っていた。
・林農林水産大臣記者会見概要(2014年3月28日 maff.go.jp)

以下、2014年3月28日分 maff.go.jp『林農林水産大臣~』からその部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
記者:あの、話は変わるんですが、あの、来週、ICJで、あの、捕鯨に関する判決が出ますが、あの、これに関する、あの、日本政府の立場と、あと、大臣の所感を教えてください。

大臣:はい。
あの、31日に、国際司法裁判所(ICJ)における南極における捕鯨裁判の判決言渡し、これが予定されております。
正に、判決ですから、裁判官の審議の結果ですね、まあ、決まるということで、我々、当事国でありますので、日本としてですね、何か予想すると、予断をするということは差し控えたいと、こういうふうに思っております。
(以下略)
---- 引用以上 ----

確かに、当事者が裁判の結果の予想はうっかり公言できないんだろう。
とはいえ、裏では、裁判の結果を予想してる政府関係者(・・・)もいるわけで。
・土俵際の調査捕鯨 国際司法裁、31日判決(2014年3月26日 asahi.com)

参考までに、2014年3月26日分 asahi.com『土俵際の~』からその部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
判決について、複数の政府関係者は、国際捕鯨委員会(IWC)でこれまで争っており、「日豪どちらかが完勝あるいは完敗となる判決は出ないのでは」と予想する。
日本の捕獲数を「当面半分(400頭台)以下に」との妥協案になるとの見方もある。
もし豪州の主張が全面的に認められれば、南極海での捕鯨を続けることはできなくなる。
(以下略)
---- 引用以上 ----

完勝あるいは完敗となる判決でなくても、日本政府にとっては勝利というのが実際の所なのだが。
要は、どういう形であれ南極海「調査捕鯨」は合法と認められる上に、今後それへの異議申し立ての手段がほぼなくなってしまうというものだから・・・。
この辺りについては、kknekoさんが去年7月の時点で指摘してた。
・国際クジラ裁判報道ランキング/鶴岡発言の真意(2013年7月17日 クジラ・クリッピング)

以下、2013年7月17日分クジラ・クリッピング『国際クジラ裁判~』から、その部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
可能性は少ないものの、AUS・NZ[引用者注:オーストラリア、ニュージーランド]側の完勝に近い判決が出れば、母船式調査捕鯨はほぼ「ジ・エンド」でしょう。
北西太平洋の〝裏作〟だけでは〝商業的に〟成立しません。
(本物の)調査捕鯨をやることは可能でも。
長きに渡り背負い続けてきた理不尽な重荷を、日本はやっと降ろすことができるわけです。
後1年で打ち切られる「儲かる漁業」補助金に代わるカンフル剤を探す必要もなくなり、多くの水産関係者はさぞかしホッとするでしょう。
おそらく、良識ある一部の水産官僚・外務官僚も含め。

中途半端な判決となった場合、そして同じく可能性はかなり少ないですが、日本側のほぼ完勝となった場合、当初日本側が思い描いたとおりにことが運ぶだけです。
そして、AUSもNZも実効的な対抗策を失います。

 もし完勝したら、外交上日本はとてつもない得点を稼いだことになります。
大金星を挙げた鶴岡氏[引用者注:例の裁判における日本政府代理人こと鶴岡 公二外務審議官]の株も急上昇するでしょう。
「AUSやNZのために必要もないのに身を削って、筋を曲げて数を減らしてやるなんて、日本ってなんて素晴らしく奥ゆかしい国なんだろう!」と当分の間自画自賛しまくりでしょうね・・・。
美しいのが大好きな誰かさんなんか大はしゃぎでしょう。

赤字を解消するのが本当の理由なのに。

最初は超攻撃的にAUSをこき下ろしていた日本が、しまいになって謙虚ぶったからといって、ICJが甘い点を付けてあげる必要はありません。
(以下略)
---- 引用以上 ----

おそらく、日本政府の中では、南極海「調査捕鯨」が合法と認める判決が出るという前提で、捕獲数について制限を課されるとか「調査捕鯨」の科学的信頼性に疑問符を投げかける見解を出すか否かを注視してると思われる。
仮に、ICJが「調査捕鯨」の科学的信頼性に疑問符を投げかける見解を出した日には、「司法による科学への干渉」云々と言い張りそうだが・・・。


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