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Pete Bethune 氏の裁判の判決が出たわけだが

2010-07-07 20:01:02 | 捕鯨騒動
つーことで、先月から始まった Pete Bethune 氏への裁判の判決が今日言い渡されたのだが・・・。
Greenpeace Japan のメンバー2人への裁判より早く終わったってのはどういうことよ?
・シー・シェパード元船長に猶予つき有罪判決 東京地裁(2010年7月7日 asahi.com)
・シー・シェパード:抗議船元船長に有罪判決 東京地裁(2010年7月7日 毎日jp)
・捕鯨事件ベスーン被告、猶予付き有罪判決(2010年7月7日 YOMIURI ONLINE)
・【SS元船長 判決】シー・シェパード調査捕鯨妨害事件 ベスーン被告に有罪(2010年7月7日 MSN産経ニュース)
・Whaling activist Bethune gets suspended sentence(2010年7月7日 3news.co.nz)

まぁ、「迷惑行動する保守」の方々は Bethune 氏への求刑が「たったの2年」と怒っていたのだが・・・。
実は、この裁判の判決結果は、やや理解に苦しむ所があった。
以下、2010年7月7日分毎日jp『シー・シェパード:抗議船元船長に~』の前半部分を(略

---- 以下引用 ----
艦船侵入や傷害など5罪に問われた反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ベスーン被告(45)=ニュージーランド国籍=に対し、東京地裁(多和田隆史裁判長)は7日、懲役2年、執行猶予5年(求刑・懲役2年)の判決を言い渡した。
傷害罪についても認定した。

 検察側は論告で、調査捕鯨への妨害行為について「調査捕鯨は違法という主張に基づき組織的に行ってきた活動の一環で、危険で悪質」と指摘。
弁護側は傷害罪について無罪を主張、ベスーン被告も「けがをさせることは望んでいなかった」と日本語で述べていた。
(以下略)
---- 引用以上 ----

う~ん。
傷害罪が成立するには、「直接危害を与えた」ことを証明する必要がありそうなもんだが。
この裁判では、被告側の内面にある『未必の故意(未必的故意)』を認定することで傷害罪が成立したとみなしたそうな。
しかし、『未必の故意』って正直わかりづらい概念だと思うけど・・・。

そんな今日の判決の内容について、ご丁寧に取材してくれたのが(Greenpeace Japan の裁判は放置していたけど)天下の 3K新聞(笑)
・ベスーン被告、“定番”の黒スーツ姿で登場 判決には身じろぎせず 【SS元船長 判決(上)】(2010年7月7日 iza.ne.jp)

以下、2010年7月7日分 iza.ne.jp『ベスーン被告~』から問題部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
《ベスーン被告は初公判で、「いかなる人にも傷害を負わせる意図はなかった」と傷害罪のみ否認。弁護側も「酪酸が人体に危害を与えるという認識はなかった」と主張しており、傷害罪の成否が焦点となっていた》

 裁判長「被告は、第2昭南丸の甲板上に複数の船員がいることを現認しながら、命中精度が高いとは言い難いランチャーを使って酪酸入りの瓶を発射している。この行為によって、船員に瓶を直撃させる危険性や、瓶内の酪酸を飛散させて船員らに浴びせることで、人体に有害な影響を及ぼす危険性を認識していた」

 《さらに、ベスーン被告が「酪酸は人体に無害だと思っていた」と話した点についても、裁判長は「被告は酪酸が非常に強い臭気を持つ物質であることを認識していた。つまり、このような物質が人の目に入るなどすれば、生理的機能に障害を生じさせるという程度の認識は十分にあったと認めることができる」と述べた》

 裁判長「被告はこの(酪酸入り瓶を発射するという)行為が、甲板上の船員らに向けた不法な有形力の行使であるという認識、つまり暴行の故意を持っていたばかりでなく、瓶の破片や酪酸が飛散することで船員の生理的機能に障害を生じさせる可能性を認識しながら、かつ、そのような障害が生じてもかまわないという傷害の未必的故意も有していたと認められる」

 《「未必的故意」とは、行為者が犯罪事実の実現を積極的に意図・希望していなくても、「実現することになるかもしれない」ということを理解し、なおかつ、「実現してもかまわない」と考えて行動する心理状態のことで、故意の一種とされている》

 裁判長「したがって、本件での傷害罪の成立は優に認めることができ、弁護人の主張は採用できない」
(以下略)
---- 引用以上 ----

なんだろうな。
Bethune 氏に対する傷害容疑について、検察が立証責任をきちんと果たしたんだろうか?
仮に「調査捕鯨」団の乗組員がケガをした原因が、Bethune 氏じゃなくて Sea Shepherd の別のメンバーが投げた瓶だったとしたら、ただの責任転嫁になるんじゃね~の?
もっと悪く書くと、集団懲罰(Collective Punishment)って奴になるんじゃ?
この辺りについては、裁判所の判断に疑問を感じざるを得ない。
(Bethune 氏が問われた4つの容疑は当然だとしても)

なんかこの判断って、今後「迷惑行動する保守」のメンバーが誰かにケガさせた場合にも適用されそうな悪寒。
「迷惑行動する保守」にしてみれば、そんなことはお構いなしなんだろうけど・・・。


もっとも、そんなことはお構いなしだったのは、Sea Shepherd も同じだったけど。
なんせ、Bethune 氏がニュージーランドに戻って来る(日本から国外追放)というのだから・・・。
・Whale Warrior “Captain Pete Bethune” Free to Return Home(2010年7月6日 Sea Shepherd)

この声明の中では、Bethune 氏を見事なまでに称えていた。
先月自分達でクビにしたメンバーへの言葉とは思えないくらいに(苦笑)
リップサービスかも知れんが・・・。

以下、2010年7月6日分 Sea Shepherd『Whale Warrior~』から最後のオチを(略

---- 以下引用 ----
(中略)
Global support for Captain Bethune and negative publicity about Japan’s whaling program has led to this success.
With Captain Bethune, the Japanese government was well aware that each day it held him would be a day that would generate protest against its abominable whale slaughter.
This fact, coupled with protests over the showing of the Academy Award winning film “The Cove,” has helped to make the whale and dolphin slaughter the most embarrassing foreign affairs issue currently scandalizing the Japanese government.

The Japanese court acknowledged that Captain Bethune never intended to hurt anyone and was operating under his conviction to save whales from illegal whaling.
The truth is that Japan wants Captain Bethune out of Japan and with the sentence suspended they can quickly send him home.
Sea Shepherd is proud of Captain Bethune’s achievements and satisfied with the results of this ridiculous trial that saw a man incarcerated for saving the lives of whales, yet ignored the crimes of a Japanese poacher who sank a ship and almost killed six conservationists.

Captain Bethune is free, and that is what matters.
Sea Shepherd is free to return to the Southern Ocean again to defend the whales, and we intend to be even more effective next season than during our last highly effective season.

Captain Bethune is an inspiration in courage and dedication, and his efforts, his sacrifice, and his resolve will not be forgotten.
---- 引用以上 ----

うはは。
「なるべく早く Bethune 氏を連れ戻す」という目的を(執行猶予付きとはいえ)達成できたことを踏まえれば、これはこれでいいのか。
当初の求刑より密かに刑期が長くなってるけどな・・・。


改めてこの裁判を振り返ると、本当に早くケリがついた感が否めない。
それに比べると、Greenpeace Japan のメンバー2人への裁判の進み具合といったら・・・(溜息


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