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マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

Overreaction against DPRK "rocket" or "missile" launch・・・?

2012-04-10 21:30:21 | 時事ネタ(海外)
先月から日本国内でしつこく伝えられてる話題の1つに、北朝鮮(DPRK)による「人工衛星」だか「ロケット」だか「ミサイル」みたいな何かの打ち上げってのがある。
正直、この件についてあーだこーだ騒ぐのは馬鹿馬鹿しいと思っている。
何しろ、「すわ戦争か」と言わんばかりの報道が相次いでいるもので・・・。

普段なら、この手の話題で比較的穏当な東京新聞ですら、今日付の社説で「ミサイル開発→核兵器転用」云々って言う始末だし。
・北ミサイル予告 核兵器への転用許すな(2012年4月10日 TOKYO Web)

以下、2012年4月10日分 TOKYO Web『ミサイル予告 核兵器への転用許すな』を全文(略

---- 以下引用 ----
北朝鮮が人工衛星と主張するミサイルの発射が迫っている。
並行して核実験準備の動きもある。
本当の目的は核弾頭を搭載できる長距離弾道ミサイルの実験ではないか。疑いは強まるばかりだ。

 北朝鮮は十二~十六日の発射を予告し、八日、北西部・東倉里の発射場を一部外国メディアに公開した。

 「平和的な宇宙開発のため」と主張し、衛星を運ぶというロケットは全長三十メートルで既に発射台に設置された。
しかし二〇〇九年六月に採択された「弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射も認めない」という国連安全保障理事会決議に違反する[おまけ参照]。
衛星だと主張しても、認めることはできない。

 北朝鮮は二月末に、米国との間で弾道ミサイル発射や核実験の一時停止で合意したばかりだ。
反古(ほご)にするなら、米国だけでなく国際社会全体の信用を失うだろう。

 日本、中国、韓国の外相会談では発射自制を求めると確認し、安保理の対応についても意見交換した。
残された時間は少ないが、中国がもう一度、北朝鮮を説得するよう強く望む。

 各国は射程延長を警戒する。〇九年の「テポドン2号」の飛行は三千キロ以上と確認された。
今回、射程が延びれば大陸間弾道ミサイル(ICBM、射程五千五百キロ以上)に近づく。

 さらに気掛かりな動きがある。
韓国各メディアは米衛星写真に基づき、かって二回核実験をした北東部・豊渓里で新たな坑道が掘削されるなど、三回目の実験を準備中だと報じた。

 北朝鮮は核兵器の原料となるプルトニウムを二十数キロ、核爆弾にして五、六発分保有するといわれる。
ウラン濃縮も続けている。

 軍事優先の路線を進める限り、発射の目的は小型化した核弾頭を載せる「核ミサイル」の開発だと言わざるを得ない。
配備されたら周辺国には深刻な脅威になる。
国際社会は包囲網を固め直し、ミサイル技術が核兵器に転用されることを阻止しなくてはならない。

 発射されるミサイルの部品や破片が沖縄県近くの日本領海に落ちる危険性もある。
自衛隊はイージス艦三隻を派遣し、石垣島などに地上発射型迎撃ミサイル「PAC3」を配備した。

 故金正日総書記の三男、正恩氏は十一日に労働党総書記に就任すると予想される。
権力世襲の最初の仕事がミサイル発射になるのなら、外交は完全に逆風を受ける。
---- 引用以上 ----

・・・上の社説は、今回の一件についてまだ「マシ」なレベルである。
正直、論評に値しない(放送禁止用語)なブツが多すぎるので、東京新聞の社説の問題点が目立たないだけだったり。

上の社説では「衛星だと主張しても、認めることはできない」って言ってるけど、形式的には DPRK は国際民間航空機関(ICAO)や国際海事機関(IMO)などに(「ロケット」(中略)みたいな何かの打ち上げ日程や破片落下などに関する)通告を行った上でのことだしな~。
2009年6月の国連安保理決議で宇宙技術に関する実験も(略)って書いておけば話が違ったんだろうが、「弾道ミサイル技術なんて使ってないもん」なんて言われればそれまでだし。
しかも、「ロケット」(中略)みたいな何かに搭載する「人工衛星」(の模型)まで公開するという念の入れよう・・・。
日本や韓国・米国にしてみたら、DPRK に「してやられた」感は否めないか。

だいたい、「権力世襲の最初の仕事がミサイル発射になるのなら、外交は完全に逆風を受ける」って言ってるけど、DPRK の過去の履歴を踏まえればこれも怪しいかと。
なにせ、1990年代から DPRK は外交に関して似たような姿勢をとってるにも関わらず、(中国の支援、正確には米国の「敵失」もあって)致命的な失敗はないし。
日本や韓国・米国などは、「ロケット」(中略)みたいな何かの打ち上げが行われたら国連安保理で非難声明を採択させる云々っと述べてるが、それも DPRK は織り込み済みだろうし・・・。
長期的に考えても DPRK の外交にはあまり影響がない、というオチになる悪寒。


それはそうと。
日本政府は、去年になって武器輸出三原則(正確には外為法の運用らしいが)を緩和して、兵器の共同開発を各国と行おうとしてるんだよな。
この後、野田 佳彦日本国首相は James CAMERON 英国首相と会談して、日英間での兵器共同開発や機密情報管理などについて協力強化を打ち出すらしい・・・。
・日英 防衛協力強化を共同声明へ(2012年4月10日 nhk.or.jp)

一方で、独立法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の構成について定義した独立法人宇宙航空研究開発機構法(JAXA法)の活動目的(第4条)を軍事目的に広げる修正案なんてのもあるんだよな。
JAXA 法の修正に関する技術面+軍事面での問題点は以下参照(手抜き)
・JAXA法改正の問題点は?(2012年3月13日 spikemilrev.com)

「ロケット」(中略)みたいな何かの発射を巡る騒ぎは、日本における宇宙技術の軍事転用について無頓着さの裏返しに思えるのは俺だけか?


おまけ:
↓2009年6月に採択された、国連安保理での決議(S/2009/301, 1874)。
・SECURITY COUNCIL, ACTING UNANIMOUSLY, CONDEMNS IN STRONGEST TERMS DEMOCRATIC PEOPLE’S REPUBLIC OF KOREA NUCLEAR TEST, TOUGHENS SANCTIONS(2009年6月12日 un.org)

以下、2009年6月12日分 un.org『SECURITY COUNCIL~』から、ミサイル発射に関して触れてる項目を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
“2. Demands that the DPRK not conduct any further nuclear test or any launch using ballistic missile technology;

“3. Decides that the DPRK shall suspend all activities related to its ballistic missile programme and in this context re-establish its pre-existing commitments to a moratorium on missile launches;

(中略)
“18. Calls upon Member States, in addition to implementing their obligations pursuant to paragraphs 8 (d) and (e) of resolution 1718 (2006), to prevent the provision of financial services or the transfer to, through, or from their territory, or to or by their nationals or entities organized under their laws (including branches abroad), or persons or financial institutions in their territory, of any financial or other assets or resources that could contribute to the DPRK’s nuclear-related, ballistic missile-related, or other weapons of mass destruction-related programmes or activities, including by freezing any financial or other assets or resources on their territories or that hereafter come within their territories, or that are subject to their jurisdiction or that hereafter become subject to their jurisdiction, that are associated with such programmes or activities and applying enhanced monitoring to prevent all such transactions in accordance with their national authorities and legislation;
(中略)

“20. Calls upon all Member States not to provide public financial support for trade with the DPRK (including the granting of export credits, guarantees or insurance to their nationals or entities involved in such trade) where such financial support could contribute to the DPRK’s nuclear-related or ballistic missile-related or other WMD-related programmes or activities;
(以下略)
---- 引用以上 ----

決議案 1874 第2項(?)における "not conduct~any launch using ballistic missile technology" の補足として、"e.g. launch satellite(s)" と書いておけば話は違ったかもしれんが・・・。


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